238話 子供たちの戦闘

【魔法】


【✕】


【オネガイ】



「もー、だから気をつけますってー」


ノーネームさんが……さっき服の中に居たんだし、多分爆風でどっか飛ばされそうになったんだろうね……あいかわらず僕の目の前にいろいろとポップさせてきてる。


なんかこういうとこは人間味あるよね。


ちょっとかわいい。

もうちょっと見てよっと。


【違う……そうじゃないんだハルちゃん……】

【言ってるでしょ! やめてって! 聞きなさい!】

【無理だよ? ハルちゃんだよ?】

【もうだめだ……】

【草】


【負の信頼が厚いハルちゃん】

【だってハルちゃんだし……】

【そもそも人類には難しすぎる技術を手作業で、あのロケットとか製造してたし……】

【ああ、ダンジョン内の罠とか解体してな……】


【やっぱりこの元幼女、ちょっとおかしい】

【大丈夫? ハルちゃんだよ?】

【だいじょばない】

【草】

【ノーネームちゃん! 子供たちの安全はノーネームちゃんにかかっているんだぞ! もっとアピれ!!】


さてさて、遠くに見えて来たのは……隠蔽スキル的には脅威度なしのモンスターたち。


でもそれがどのくらいなのかは、やっぱり実際に近くで見ないと分かりづらいもの。


さっき全部溶かしちゃったから、今度はちゃんと倒さないとね。

大丈夫、グラム単位でお砂糖とか塩とか調節するときくらい気をつけるから。


「お、居た居た」


【ひぇっ】

【もうおしまいだ……】

【全員対ショック対防御! またハルちゃんのが来るぞ!】

【子供たち大丈夫? 振り返ったら溶けてたりしない?】

【怖いこと言うなよ!?】

【草】


子供たちが騒いでるからか、それともただの巡回ルートなのか、モンスターが2匹こっちに出て来た。


あー、うん。

僕の隠蔽スキルじゃ、いつも通りに近くまで行かないと発見されないもんねぇ。


「よし、じゃあ今度は――……?」


もっとぎゅっと魔力を絞って。


自然に魔法を使おうとしてること自体が楽しいから、ついつい出そうになる魔力を最小限に。


……そう思って突き出した僕の腕に、左右から黒髪の男の子と白髪の女の子がしがみつく。


「え、ちょ、離して、倒せないよ」


重い。

や、今の体だと、重くはない。


けども腕に全身使ってしがみつかれたら何もできないでしょ?


そもそも僕、杖とか持ってないからなんとか手のひらとか指から魔法発射するイメージでやろうとしてるのに……そうやってしがみつかれてちゃ、撃てないよ?


【子供たちがんばえー】

【最年少コンビ?がハルちゃんを抑えている】

【すげぇ……ハルちゃんがモンスターより脅威って思われてる……】

【草】


【ああうん、見えてきたの、弱そうなモンスターだし……】

【ぱっと見普通のスライムとかだもんな】

【弱い敵より強すぎる味方の方が怖いもんな!】

【ああ……】

【なるほど、これが兵法……】

【俺たちでも分かるのに、なぜ分からないのハルちゃん……】

【だってハルちゃんだもん】


「ちょっと……もー」


体もおっきくなってるし、多分振り切ろうと思えば振り切って腕を伸ばして魔法は使える。


でも、しがみ付いて足を浮かせてまで必死に止められちゃあできないよね……危ないし。


【お】

【3人が】


「あ、ちょっとみんな」


2人に構ってるあいだに走り出しちゃった3人。


赤毛の子と白髪のお姉さんの方、黒髪の女の子の方が僕より数メートル先まで走って止まる。


『――――――!』

『――……』


黒髪の女の子は2人よりも1歩前へ……あ、短剣が武器なんだね。

彼女はそれを両手に2本、腰を落として構えている。


『――――、――……――――!』


その後ろから、赤毛の子は短い弓矢を取り出し、モンスターたちへ牽制攻撃。

その隣で白髪の子が杖を構え、ぶつぶつ唱えたかと思うと魔法が放たれる。


……そっか。


この子たちも、これまでは何とかやってきたんだもんね。


見た感じは初心者ダンジョンに出て来るような、いちばんランクの低いモンスターたち……スライムとバットだからか、動きも鈍いしちゃんと当たってる。


まずはスライム相手らしく、遠距離2人はそれに集中攻撃。


さすがに1回じゃ倒せてないし外れてるけども、2人が3回目ずつくらい攻撃するとその半分くらいは当たって、さすがに弱ってる。


……うん、5人揃っててアイテムと装備もあれば、初心者ダンジョンでも25階層くらいまで行けるくらいかな?


3人がちゃんと連携して戦って、この2人も非戦闘員でも荷物持ちとか後方警戒とかしてたら結構良いかもね。


【しゅごい】

【連携取れてるな】

【あ、黒髪の子が切り込んでる】

【なるほどな、黒髪の子が短剣で前衛、赤毛の子と白髪の子が遠距離と魔法か】


【それもそうか、ダンジョン潜ってるんだから戦えはするか】

【まぁ見た感じただのスライムとかだし】

【え? ってことはこのダンジョン、もうちょっと登れば出口?】

【あっ】

【あー】


【いや、この子たちの……ハルちゃんが来る前の服、ぼろっぼろだったろ  多分浅い階層ではあるんだろうけど出られないんじゃ?】


【それか、出られるけど出ない……】

【外の方がもっとやばいのか】

【あー】

【もしかして:地上は制圧済み】

【おのれトカゲ!】


【とりあえずでサンドバッグにされる魔王さん】

【だってハルちゃんのこと孕ませようとしたし】

【おのれイモリ! いつまでも忘れんぞ!!!】

【草】


【まぁハルちゃんの命と貞操、あと視聴者たちの脳の最大のピンチだったからね、しょうがないね】



◆◆◆



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