230話 おふろとアイデンティティーと

「ふぃー……」


あー。


生き返るー。


実際1回死んだかもしれないから、あくまでも比喩ってことで。

そういう意味じゃ、ノーネームさんも僕も生まれ変わりしたんだよね。


よく分からない謎の力で。

ほんと、何なんだろうね。


ノーネームさんも肝心なことは言ってくれないし……。


ねぇ?



【極楽】


【♥】



……そんな疑問は、ノーネームさんを見てどっかへ。


桶の中でぷかぷかしてるノーネームさんも気持ちよさそう。

……仰向けで浮かぶのって気持ちよさそうだなぁ……。


幼女だったときの僕の体型がデフォルメされてる感じにすっぱだかでおっぴろげだけども、しょせんは2頭身くらいのお人形さんだから別にやらしい気持ちにもならない。


……でもそれ、別に桶の中じゃなくてもいいんじゃ?


あ、他の子とかがじゃぶってしたらお湯の中に吸い込まれちゃうか、じゃあダメだね。


【ノーネームち゛ゃあ゛あ゛あ゛ん】

【見せてぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛】

【お願い……音声だけでもお願い……】

【なんか素敵なことが起きてるってだけしか分からないの……】



【不可】


【神聖】


【最高】


【♥】



【これがハルちゃんたちを独り占めしてる発言である】

【ずるい!】


【ノーネームちゃーん? あのさ? 私のアカウント、辿れば女って分かると思うんだけどさぁ……?】


【あ、私も!】

【なんなら私のアカウント、ハッキングして個人情報アクセスしても構わないわ!】

【私も! 生物学的に女だから!】


【ちょ!? 姉御たち!?】

【ずるいぞ!】

【こんなときに女って武器使いやがって!】

【普段はショタショタばっか言ってるクセに!】

【恥ずかしくないのか姉御!】


【それはそれ、これはこれ  私、女の子もいけるのよ】

【女ってだいたいそうよね?】

【女子校だとね?  増えるのよ……】

【でもショタっ子のショタっ子が見たいわ!】


【草】

【えぇ……】

【ダブスタの極致で草】

【姉御たちは果たしてハルちゃんを見たいのか、ノーネームちゃんを見たいのか……】


【2人と4人のロリっ子たちと、残る1人のショタっ子のショタっ子よ】

【そうね】

【ついでにハルちゃんがハルちゃんなのかハルきゅんなのか確かめたいわね】

【いいわね】

【正直ハルきゅんならどっちでもいける】

【分かる】


【ひぇっ】

【堂々と言い張る姉御たち……】

【通報しました】


【残念、この国の司法は女に……あ、ちょ、本当には止めてね?】


【えっ】

【えっ】

【あのね? 最近は法律も割と女性にも厳しいのよ……?】

【少年をいたずらしてもおとがめなしというわけには……】

【おねロリでも法律と条令と親御さん的には……ねぇ?】

【えっ】

【草】


【さらば姉御……楽しかったよ……】

【やめて!? どっちもやめて!?】

【姉御……なんだかんだいいやつだった……いや、そうでもないか】

【1回豚箱で反省してこい、ショタコンども】

【草】


ノーネームさん。


両手に軽々と収まる程度の小さなお人形さんみたいな感じ。

でも体の動きとかはどう見ても人間だし、なにより手に乗せてるとあったかい。


普通に生きてる人間なんだね。

羽とか生えてるし、小さいし、普通の人間じゃないけども。


あと、お尻から尻尾も生えてるし。

そこだけはドラゴンさんの名残があるね。


黒い髪の毛に黒い羽……あ、羽収納してないんだ……赤いお目々に、僕のちっちゃいときみたいな体つき。


あ、ちゃんと女の子なんだ……まぁこれで生えててもちょっとねぇ。


「ふぅ……」


ちゃぷっ。


視線を上に向けても、見えるのはダンジョンの壁。


なんかここも窓みたいになってるところから吹きさらしになってて、それがまた絶妙に露天風呂的な雰囲気を醸し出してる。


泉質は……詳しくないけども、お肌がしんなりするから普通のお湯じゃないし、胸から下は見えないくらいには白く濁ってる。


……そういやここ、結構浅いね。


僕がお尻つけて座って、胸が隠れる程度だもん。


そうだ、ちっちゃい体だとお風呂が大変なんだ。

今はともかく、成長する前の僕は本当に大変だったんだ。


「体……戻んないのかなぁ」


もう1年も……いや、1年以上あの体だったもんだから、今の……おっぱいがちょっとあっておしりがおっきくなってる気がする体つきは……なんかこう、なんかやらしくて非常によろしくない気がする。


なんて言うか……うん。


がんばれば欲情できる。

そんなラインな感じ。


幼女のときは、最初こそどきどきしてたけども……凹凸もないもんだから、子供のときの僕からぷらぷらするのをもぎ取った感じで実に快適だった。


トイレが近いのと何もかもがでっかくて高いのだけが困る感じだった。


けども今は……うん。


ちゃんと女の子って感じだもん……なんで僕、この格好で下着つけてなかったんだろ。


「………………………………」


待って。

待って。


……それじゃ僕、丸出しでみんなの上とか飛んでたってこと……?


痴女ってこと?


見ようと思えば……あるいは光とか風の加減で、僕のおまたがこの子たちに見られちゃってたってこと?


おまたとお尻の穴が、真下から真っ正面から?


「………………………………」


ちゃぷん。


なんだか危険な思考が回り始めたから、必死でどっかへ追いやる。


「……ノーネームさんは良いですね。 悩みとかなさそうで」


桶をつんつんってつついて、ついーっとみんなの方へ流れていくノーネームさん。



【?】



「いいなぁ……」


はてなが浮いたまま、視線だけこっちを向いて仰向けで流れてくノーネームさん。


『のーむ!』

『のうむぅ』


流れた先は3人の手元。


みんなに眺められたりつつかれたりしてるけど、特に困る様子はない。


ノーネームさん、なんだかんだ穏やかだよね。

あの魔王さんもちょっとは見習おうね。


『――?』


あ。


ノーネームさんが黒髪の子たちのところに。


『――……』

『――――』


おっかなびっくりだけども、どうやら仰向けのまま脱力してるらしいノーネームさんをのぞき込んでるみたい。


……うん、ノーネームさん、もう普通にマスコットだね。


「ん? ……あ、ありがと」


黒髪の女の子の方が、桶を持ち上げて僕にアピール。


多分「こっちに流れて来ちゃってるよ」って言いたいんだろうね。


『――――――!?』

『――――っ』


……と思ったら、ばしゃりとお湯に飛び込んじゃった女の子。


あ、桶もひっくり返ってる。



【!?】



ばさばさっと飛び上がってくるノーネームさん。



【○ ○】


【濡】



……なんかびっくりしたって言いたいのかな?


まぁ顔まで濡れたらちょっとやだよね。


というか桶ごと落とされて、ぼーっとしてたらいきなりダイビングさせられたようなもんだし。


「ごめんね、びっくりさせて。 大丈夫だからさ」


『――……』


……女の子の方が……あれ、なんで女の子同士になるのにおまた押さえてるんだろ。


恥ずかしがり屋さんなのかな……他の3人はへっちゃらみたいなのに。


『――、――……』


男の子の方……顔つきは女の子っぽいけども胸はないから男だよね、るるさんじゃあるまいし……は平気そうな顔で、その女の子を指差してなんか言ってる。


「恥ずかしがり屋さんなんでしょ。 良いよ、気持ちは分かるから」


じゃぶじゃぶと、肩に乗ってへばりついてるノーネームさんを引っぺがしながら戻っていく。


……あの子たちも小4とか……10歳くらいかなぁ。


体つき的に、この中で1番おっきくても高学年だし。

そういう意味じゃ、今はここで僕が1番年上なのかな?


「……いやいや違うでしょ……思いっ切り年上でしょ……」



【?】



危ないところだった。


僕は25歳なんだ……あと、男なんだ。


結構幼女に染まってた気がするし、なんとかアイデンティティーを保ちたいもんね。



◆◆◆



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