第24話 皇帝と話します!

帝都はこの間までいた、ゼルネス領の街よりも比べ物にならないほど大きく、帝都の入り口から、お城まで半日以上かかった


「さすがに帝都内では目立ちなくないから、馬車での移動にしたとはいえ、まさか日が暮れるまでかかるとはねー」


「ほんとだよ。お兄、次からの移動は絶対に徒歩ね!」


「そりゃねー。馬車も思っていた以上に、座るとこ硬かったしね」


「ね。私なんか痛すぎて途中から血をクッション代わりに使ってたし」


「え、なんかずる」


「.....ほら、それよりもいつお城行くの?」

うわあ、露骨に話し逸らされた


まあ、予定についても話さなきゃいけないし、今回は見逃してあげよう.....それにしても絶対に馬車に乗りたくない


「それじゃ、今後の予定について話すよ」


「うん!」


「まずは.....腹ごしらえだ!」


「.....お兄、まじめにやって」


ひっ!怖っ!


「ごめんごめん。でもどちらにしろ深夜にならない限り王城にいくつもいはないから」


「そうなの?」


「うん。とはいっても、一旦ライムを送り込んで、構造とかを把握したうえで、深夜、皇帝が一人になった或いは寝たタイミングで、誰もいない部屋に連れ去り、そこでお話をする」


「そう」


「そこで!それまでの時間帝都の美味しいご飯を探そう!」


「.....うん」


なんかレイの目が死んで来たな


やっぱりおいしいものには目がないからね!


――――――

――――

――


そして、おいしいものを探しながら、夜になった


「それじゃ、皇帝に会いに行くよ」


「うん.....そうだね.....」


「??」


なんかレイがものすごく疲れている世に見えるけど.....気のせいだな!


「一応ライムにもうお城の中は探させて、もう大体お城の構造は把握してあるよ」


「それで?皇帝はどこにいるの?」


「最上階から1つ下の階のいちばん奥の部屋だね」


「あれ?一番上じゃないの?」


「それが最上階はライムでも探れなかったんだよね」


「へーそうなんだ.....」


「だから何か特別なものが眠ってるかもね!」


「.....そうだといいけどね」


じゃ、れっつーごー!


――ファルニル帝国皇帝の視点


そういえばまだ我の紹介をしていなかったな


我の名はクレルド・フォン・ファルニル


15年前、腐った前皇帝を引きずりおろして、我が皇帝になった


まあ今でも、文武ともに実力は健在だと思っている


っと我は誰に説明しているのだ?


「ふう、今日の仕事もこれでひと段落か.....やることが多すぎる!」


そろそろ、休むか......?!


「むがっ!あぇぁ!」


誰だ!


くそっ!不覚を取った!まさか刺客を放たれるとは!


「おとなしくしてよね。ちょっと離れた人気のないところでお話したいだけだから」


なんだ?子供の声か?


我を殺しに来たわけじゃないのか?


「安心しなよ。変なことをしない限り、殺しはしない。ま、せっかくなんだ。いいこと教えてあげる」


.....いやな予感がするな


「僕が指示を出せば、即刻この城の中にいる人全員殺せるけど、どうする?」


「んがっ!」


何ッ?!そんなことが.....わ


我のせいで、城の者を殺されるわけにはいかないか.....


しかたない.....おとなしくするとしよう


「よしよし。いい子いい子。それじゃ行くからおとなしくしててね」


どういう......


「それじゃ.....ひゃっはー!楽しー!」


「ううぅぅぅー!!」


「ほいっ!着地っと」


なんだこいつ!窓から飛び降りるとは思わんぞ!


「じゃ、いこっか?」


「.....」


こいつの言うことには今は素直に従っておこう


さてさて、どんなことが始まるのか、不安だな.....


――――――

――――

――


――シュートの視点


よっこいせ


皇帝をお城の敷地内にあった倉庫に投げて、体を休める


案外、人って重いね


この体になって、力があるとはいえ、いかんせん背丈がなあ.....


「さてと話をしようか」


「ああ」


あ、ちゃんと、騒がないために口にスライムはっておいたけど、今は話すためにとっておいた


「とはいっても、気になること聞いていいよ。できるかぎり答えてあげる」


「.....なに?」


「聞きたいこと、あるでしょ?」


「.....ああ。じゃあ聞かせてもらうが、貴様は何者だ?」


「何者?って聞かれてもなあ、ただの子供と言ったら納得しないだろうし.....」


「それはそうだ!今この帝国で一番力のある我が、手も足も出ぬ相手だぞ!ただの子供であってたまるか!」


わお、すごい剣幕でまくしたてられた


この人もしかして面白いかも?


「うーん、あ!ならこれ使っていいよ」


そういって渡したのは、ギルドとかで使われているスキル鑑定の道具


「これは....」


「なんか一応ゼルネスのギルドから持ってきたんだけど、使い方わかるでしょ」


「今気になることを言った気がするがまずはこれだ.....っ!なんだ!このけた違いなレベルとスキルの量は!というか気様、魔物なのか!」


「うん?なんで魔物ってなるの?魔人でもよくない?」


ほんとに何で?


「人間種にこれを映し出した場合、今のレベルしか出てこない」


「というと?」


「つまりだな、レベルによる固定の存在進化が存在しないということだ」


「なるほど」


いやー、なら危なかったね!


そこらへんで見た、人間に似せたスキル奴にしといて正解だった


「だが、魔物の割には知性を持っているとは....まさか!上位存在か!」


「せーかい!といっても最近ゼルネス辺境伯の近くにある、魔淵の森で生まれたばかりなんだけどね」


「なんだと?!じゃあ、ゼルネス辺境伯を殺したのは....」


「ああ、もうこっちにも情報届いてるのか。まあ僕たちだね」


「なぜ.....」


「まあ彼らに僕のステータス教えたわけじゃないけど.....」


ちゃんと、いきさつを教えてあげた


「.....とまあ、そういうこと。信じるかどうかは別だけどね」


「.....今はその話は信じておくとしよう」


「お、そりゃいいね」


この人結構鋭いね。たぶん今の話に嘘はないってわかったんだろうな


ま、実際嘘は言ってないし


「まあ、ゼルネスを殺されたのは惜しいが、今はそれよりも.....我やこの帝国をどうしたいと思っているのだ.....!」


気になるよねー、まあちゃんと話しますけど


「じゃあ、話すけど、僕たちは......

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