第22.5話 一方その頃の他の人たちは..... Part.3

――ファルニル帝国皇帝の視点


「何?それは本当か?」


「はい。先ほど急ぎで入った伝令によれば、何者かが、ゼルネス辺境伯家を壊滅させたとのことで、その時屋敷にいた仕様人や兵たち、そしてゼルネス辺境伯は死亡。幸いにもアルメリア嬢だけは逃げられたようで、現在王宮の1室で休ませています」


「っ、そうか。それで、そこの今の状況は?」


「町のほうへの被害はないみたいですが.....」


「なんだ?」


「それが、領主邸の外観は無傷で残っているのに、中が荒れ果てていて、さらには、あるはずの死体が一つも残っていなかったのです」


「どういうことだ?」


「わかりませんが.....」


「ゼルネス辺境伯家を壊滅に追いやった者が死体をその場で焼き捨てた、あるいは......」


「その者たちが何かに使ったのか、ですね」


「ああ。後者は考えたくないがな......」


「ゼルネス辺境伯家についてはどうしますか?」


「とりあえずは代官を立てるしかない。至急、代官を送ってくれ」


「かしこまりました」


「それと、壊滅させたものの詳細は?」


「まだ何も情報は.....」


「そうか。なら、代官とともに調査員を送って調べさせろ。少なくともそ奴らはこの国に喧嘩を売ったということだ」


「かしこまりました。そのように手配しておきます」


「うむ」


はあ、こんな時期に厄介ごとを増やしてくれるな.....


人間至上主義のサルどもが異界の兵器を呼び出して、それの対応をどうするかもめている最中だというのに.....


だが、この帝国で上位の力を持っているゼルネス辺境伯家が壊滅したということは相手は相当手練れだろうな.....


それに次の任期についても考えねば.....


ああ!


考えることが多すぎてまとまらん!


とりあえずはゼルネス辺境伯家についての情報を集めなければな!


――勇者の視点


「ふう」


「おつかれ~」


「おう!おつかれさん!」


今日も毎日の午後の訓練が終わり、みんな体を休めながら自室へ戻っていた


「この日々いつまで続くんだろうな.....」


「もうすぐじゃねーの?俺ら、一応聖騎士と同じくらいの強さにはなったろ!」


「まあな.....」


この世界に来てからの生活にみんなだいぶ慣れつつあるし、ある程度の自由と資金は認められているから、あまり苦情はない


だが、この宿舎に来てから、というか、この世界に来てから、この街以外を見たことがない


俺たちには大切な使命があるから仕方ないと割り切ってはいるが気になるものは気になる


だから、そろそろ外に行けるようになりたい


そう思って、次の品の訓練の終了後.....


「よし、お前ら。ちょっと話を聞け」


「なんですか?」


「まあ、うれしいかどうかは知らんが、来週から、この街からちょっと離れた町にある塔型のダンジョンに行き、そこである程度実践訓練を積んでもらう」


?!


これは望んだ展開だ


すると、凛が


「あのぉ~、塔型ってことはほかの形のやつもあるんですか~?」


「ああ、あるにはある。が、難易度としては塔型が一番簡単だろう。ダンジョンには大きく3種類あってな、塔型,洞窟型,迷宮型がある。特徴を簡単に説明するなら.....


塔型は、ひたすら上に登りながら魔物を倒すだけで迷うことは絶対にないし、どの塔へ行っても基本的に湧いてくる魔物の種類は同じだ。ただ回想ボスと呼ばれるユニーク個体は塔によって異なるがな。それにいまだ到達者はいないがどの塔型のダンジョンも250階が最高階層になっている。なぜ判明しているかの理由は知らないが、昔からそう言われている。


次は洞窟型は、塔型とは真逆で、どんどん地下深くに潜っていく。こちらは、ダンジョンによって湧く魔物が異なる。理由は、まあダンジョンの生まれ方にあるが、洞窟型は、魔物の最上位個体が大量の魔素を体内に取り込むことによって半強制的に上位種になることで、その魔物を中心に最低100階層から成るダンジョンが形成される。こちらは到達者は何人かいるが、ダンジョンに当たり外れが大きすぎる。


最期に迷宮型は、基本的に廃墟になった建物や都市がそうだ。生物のいないところで、魔素が異常に溜まることで空間が歪み、ダンジョンが発生する。これは絶対にお勧めしない。階層や広さは全く持ってわからないし、ほか二つと違って、多くの遭難者を出している。それに多くの場合がアンデット系の魔物だからな。


とまあ、こんな感じだ」


「なるほどですね~。確かに私たちは力はつきましたが、実践はまだまだですからね~」


「そういうことだ。だから、行く時までに体調とかはちゃんと整えておけよ」


「はい」


「うっす」


「おう!」


「わかりました~」


「ん」


そして、説明を終えたカルトスは彼自身の宿舎へ戻っていった


「.....楽しみだな」


「おう!ついに鍛えた力が発揮できるってこったろ!」


「筋肉だるまは少し落ち着きましょうね~」


「.....でもわくわくする」


「そうだね!」


ああ、早くダンジョンに行ってみたいなあ!

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