第21話 乃蒼は自宅療養中

 乃蒼のお尻を触った男は、自主退学となった。あんなことをしたのだから、学校にいるのは不可能だ。


 痴漢をされた女は自宅療養中。強がった態度ばかりみせているのに、中身はガラスのメンタルさながら。心の弱さを隠すために、あんな態度を取っているのかなと思った。


 痴漢をされたにもかかわらず、女たちは同情することはなかった。日頃の行いが悪いと、誰も仲間になってくれない。


「いい気味だよね」


「そうだよ。ざまあみろ・・・・・・」


「逮捕された男、グッドジョブ」


 男どもはとっても寂しそうにしていた。


「乃蒼様、いつになったら戻ってくるかな」


「乃蒼様がいないと、学校生活は楽しくないよ」


「乃蒼様、一日も早くお戻りください」


「乃蒼様の元気な姿を見たいです」


 豊の胸の内は、限りなく女寄りだ。平穏な学校生活を送るためにも、あいつの存在は大きな足枷となる。


 40くらいの男が教室に入ってきた。


「全校集会をしますので、体育館に集合してください」


 体育館で痴漢の話を延々とされ、退屈な時間が続くのを覚悟した。自分たちはやっていないのだから、くだらない話は勘弁してほしい。


 乃蒼という女はどんな状況であっても、生徒に影響を及ぼし続ける。特殊能力を持ったタイプなのかなと思ってしまった。


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