第20話 乃蒼が痴漢にあった
乃蒼は学校に戻ってくると、いきなりこちらに向かってきた。
「豊君、おはよう・・・・・・・」
かったるい声で挨拶を返す。
「おひゃ・・・よ・・・・・・」
乃蒼は元気のない男の頭を、思いっきり叩いてくる。
「これで元気になったんじゃない」
「朝から頭を叩くなよ」
「あまりにパワー不足だったから、頭を叩いてあげたんだよ。私ってとても親切な女だよね」
相手の嫌がることをして、親切であるといえる女性。元々からぶっ飛んでいたけど、写真集発売でさらにパワーアップしたようだ。
「豊君、今日は一緒に帰りましょう」
豊はいつものように、乃蒼の提案を切り捨てる。
「却下だ・・・・・・」
「私と一緒に帰ったら、手をつないであげるよ。機嫌がよかったら、腕組み以上のことだってしてあげる」
手をつなぐ、腕組みに反応したのか、男たちはうじゃうじゃと寄ってくる。
「乃蒼様と手をつなぎたいです」
「乃蒼様、お供させていただけないでしょうか?」
「乃蒼様、お願いいたします」
「乃蒼様、ご縁をいただきたいです」
男たちが寄ってきたことで、自由を取り戻すことに成功。自由を取り戻したことで、心の中はすっとした。
乃蒼は自由を奪われたものの、かんしゃくを起こすことはなかった。お客様を敵に回すことは、彼女にとって大きなデメリットになりうる。セクハラをされない限り
は、相手をせざるを得ない状況だ。
「痴漢、痴漢、痴漢・・・・・・」
乃蒼のでっち上げかなと思っていると、男の一人がお尻を触っていた。手のふれ方からして、完全に痴漢であるといえる。
乃蒼が痴漢にあったあと、女たちは満面の笑みを作っていた。痴漢被害にあったことに対して、ざまあみろと思っているのは明白だった。敵をたくさん作ると、犯罪にあっても擁護されなくなる。普段から敵を作らないことは、とっても重要だと思った。
お尻を触った男は、ファンクラブらしき人から強烈な鉄槌を受けていた。怒りは強いのか、ボロボロになるまで殴られていた。
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