第16話 美穂がやってきた

 豊は宿題をやっていると、母から声をかけられた。


「豊、美穂ちゃんがやってきているよ。どのように対応すればいい?」


「部屋に上がるようにいって・・・・・・」


 母は下唇をなめる。


「わかったわ。すぐにいってくる」


 母は駆け足で、玄関に向かっていく。


 豊は部屋に入ってきた女性を見て、顎をあんぐりとさせた。美穂はパンツが見えるくらいの、ミニスカートを着用しているではないか。


「豊君、こんにちは」


「美穂ちゃん、今日はどうしたの?」


「気分転換のために、ミニスカートをはいてみたんだ。あまりに短いから、ちょっと恥ずかしいと思う子こともあるけど・・・・・・」


 乃蒼と比較すると、一回り、二回りもがっしりとしていた。適度な脂肪がついている分、触り心地はいいのかなと思った。骨と皮だけの足では、もちもち感を得るのは難しい。


「豊君、裸になってみたいんだけど・・・・・・」


「美穂ちゃん、頭がおかしくなったの?」


 美穂は頬を赤らめる。


「最低女とのやり取りで、女の子の裸に興味を持っているようだったから。私もここで脱げば、素敵だと思ってもらえるような気がする」


 美穂は普段は温厚だけど、稀に大胆な行動を取る。どちらが本物なのか、区別をつけるのは難しい。


 美穂と話をしていると、外は急に暗くなった。母は慌てたような声で、こちらに指示を出す。


「豊、すぐに洗濯物をしまってちょうだい」


「わかった」


 豊が腰を上げたときには、空から大雨が降り始める。一日かけて乾かした服は、びしょびしょになった。 


 洗濯物がびしょびしょになったときは、母は手抜き夕食を作る傾向にある。ご飯、卵焼きだけなんてことにならなければいいけど。食べ盛りの学生なので、しっかりとしたものを食べさせてほしい。


 雨だからといって、洗濯物を放置するのはNG。豊は豪雨の振っている中、洗濯物を片付けようかなと思った。


「私も手伝おうか」


「美穂さんはここにいて。洗濯物を片付けたら、服はびしょびしょになっちゃうよ」


 豊はすぐに着替えられても、美穂はそういうわけにはいかない。服がスケスケの状態では、男のセクハラ目線をたっぷりと受けることになる。女にとっては、非常に耐えがたい苦痛を味わう。


 豊は一人で階段を降りると、美穂はあとからついてきた。絶対に片づけを手伝うという、強固な意志を感じた。

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