第12話 乃蒼の写真集は350万を売り上げる大ヒット

 乃蒼の写真集は、350万部販売の大ヒットとなった。容姿、スタイルだけは評価していたけど、社会現象になるほどとは思わなかった。プロポーズについては、日本内でトップクラスに達している。


 購入した男たちからは、ふてぶてしい態度を評価されることが多かった。豊は欠点だと思っていたため、意外な印象を受けることとなった。


 クラスの男たちは、写真集でもちきりだった。


「乃蒼様の写真集を見たか?」


 350万枚の写真集を売り上げたことで、「乃蒼さん」から「乃蒼様」にランクアップすることとなった。同級生に「様」づけをしているところを見て、どこかの宗教を連想させるのは気のせいか。通学している学校は、危ない方向に向かわなければいいけど。


「ああ。乃蒼様は魅力たっぷりだったよ」


「乃蒼様を生で見られるなんて、俺らはすごい贅沢をしていたんだな」


「ああ。乃蒼様とクラスメイトになれただけで、ガチで光栄だな」


「水着を脱いだら、どうなるんだろうか」


「乃蒼様がヌード写真発売したら、3冊は購入するぜ。一冊は観賞用、一冊は保存用、一冊は布教用にする」


「俺もそうする」


「俺も・・・・・・」


「俺も同じだ」


 写真集を350万部売り上げた女は、自信満々で教室に入ってくる。


「乃蒼様、おはようございます」


「乃蒼様、写真集を拝見させていただきました」


「乃蒼様、最高に美しゅうございます」


「乃蒼様は世界で最大の女性でございます」


「乃蒼様は世界一です」


「乃蒼様、乃蒼様」


 男性たちから信者さながらの絶賛を受け、彼女の鼻は地球の裏側まで伸びようとしていた。私はすごい、私は他と違うというところを隠そうとしないのは、彼女らしさを全面に押し出していた。あれくらいの態度を取れなければ、一流としてやっていくのは難しいのかもしれない。


 女たちからは皮肉の一言も聞かれなかった。乃蒼に意見をしてしまったら、おまえは一枚でも売れるのかといわれるのは明白。勝ち目のなさすぎる勝負については、静観するのが無難だといえる。


 写真集を350万枚売り上げても、きれい、美しいと感じることはなかった。写真集に手を出したことで、より穢れた印象を持つこととなった。

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