第11話 写真集の話(乃蒼視点)

 乃蒼は歩道を歩いていると、20くらいの男性に声をかけられた。


「不思議乃蒼さんでいらっしゃいますか?」


 突然声をかけてきた男に、警戒心を露わにする。


「あなたは誰なの?」


 男は不審者扱いされても、とっても落ち着いていた。何度も声をかけたから、こういうことに離れているのかもしれない。


 男は財布から、一枚の名刺を取り出す。


「○○プロダクションの、○○○○と申します。不思議乃蒼さんの写真集を、発売させていただきたいと思い、お声かけをさせていただきました」


 ○○プロダクションは、○○○○、○○○○などといった、たくさんのアイドルを輩出している。女性ならば一度は入ってみたい、プロダクションである。


 乃蒼は相手を知ると、言葉遣いを丁寧にする。絶好のチャンスをつかむためには、これくらいのことは我慢したほうが得策だ。


「写真撮影をしていただけるのでしょうか?」


「はい。乃蒼さんの都合がつけば、今すぐにでも撮影をさせていただきたいと思います」


「わかりました。すぐに撮影させていただきたいです」


 写真集をたくさん売って、クラスメイトのプライドをズタズタに切り裂く。乃蒼の脳内には、成功する場面が思い浮かんでいた。

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