第10話 乃蒼VSクラスメイト

 乃蒼は男と交際するも、二日で破局した。豊はいつものやり口であることを、なんとなく察する。あいつは男の心を弄ぶことで、ストレスを解消する最低女だ。見た目は完璧、中身はクズである。


 二日で男をふった女は、ミニスカートでこちらにやってきた。あまりにも短く、パンツが見えそうなレベルだった。


 交際をする前だったら、おおいに食いついていた。美人の生足は見ているだけで、心の栄養になる。


 現在は穢れて見えた。性格が腐りきってしまっているからか、足にも仮面をかぶっているように感じられた。


「豊君、もう一度交際しましょう」


 おはようといっている感覚で、交際をしましょうといえる。こいつにとって、非常に軽い言葉であることは確かだ。


「男を傷つけて、ストレス解消をするような女は絶対に無理」


 乃蒼はいつものように、一人で話を進める。


「喫茶店はどう。遊園地なんかも面白いね」


 こいつとの費用は全額男持ち。遊べば遊ぶほど、懐はピンチに陥っていく。


「豊君、帰りましょう」


「美穂さん、そうしよう」


 乃蒼は唇をへの字にして、美穂に抗議をする。


「私の邪魔を何度もしないでよ」


 美穂は強烈な一言を放った。


「あなたの存在が、社会にとって邪魔になっているんだけど・・・・・・・」


 クラス内のあちこちから、拍手が沸き起こった。口にはしていなかったものの、同じように思っていることは伝わってきた。


 美穂の言葉を皮切りに、女たちは不満をぶち明けた。あれだけ自分勝手にやっていれば、顰蹙を買うのは当然といえる。


「賞味期限切れ寸前の不良案件」


「容姿以外は何も取り柄のない女」 


「あと10年で捨てられる女」


 乃蒼は気の強い女だ。影口を叩いた女たちに対して、渾身の一撃をぶち込んだ。


「劣等遺伝子の負け惜しみは見苦しいわね。一度くらいは美人になってから、いってみなさいよ。一度でも憧れの眼差しを向けられたもの、一度すら人間として認められなかったものは大違いだよ。後者については、ただ息をしているだけ、ただ生きているだけに過ぎない有象無象に過ぎないわ。有象無象の価値は0だから、一万倍、一億倍にしても0にしかならないけど・・・・・・」


 乃蒼は数人の女とともに、教室をあとにする。怒りは相当なのか、一歩一歩にドスン、ドスンという音をこめていた。


 乃蒼のいなくなった教室では、女たちの恨み節が聞こえる。有象無象といわれたことは、相当頭に来たようだ


「顔がちょっといいからって・・・・・・」


「性格が腐っていたら、何の価値もないよ」


「そうだよ。あんな女には絶対になりたくない」


 クラス替えをするまでは、かなりの期間が残っている。

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