第9話 二日で破局(乃蒼視点)

 目の前でフライドチキン、ビッグマックを食べた男と、二日間で破局してやった。


 破局を伝えたとき、男は顔面蒼白になっていた。自分が悪いことをしたとは、夢にも思っていないような顔だった。あいつに限っていうなら、他の女でも同じ反応を取ったと思われる。デート中に油っぽいものを食べるのはありえない。


 ギトギトの手と重ね合わせたこと、背中を触られたことは大きな傷として残った。心を実験台にするためとはいっても、人はきっちりと選んだほうがよさそうだ。


 乃蒼はクラスメイトから告白を受けるも、はっきりと断ってやった。私は超一流の美人、相手は何のとりえもない平凡男。釣り合っていないことくらい、告白をする前に察することはできないのか。釣り合うもの同士でなければ、ものごとはうまくいかないようになっている。多くの人は知らない、残酷な真実といえる。


 イケメン、美人になるために、才能は必須となる。スタイルは努力でなんとかできても、顔はどうにもならない。美人、不細工になるのかは、誕生した状態で99パーセントは決まっているのだ。整形した場合は例外だけど、顔のどこかは曲がってしまっている。生まれからの美人、作られた美人は根本が異なる。


 乃蒼はラインを受け取る。


「乃蒼、男をおもちゃのように扱うのは楽しいね」


 ラインの相手は、三ッ星希来里である。乃蒼と同じく、男にカマをかけてストレス解消をする女だ。趣味が似ているからか、話の合う女性に分類される。


 希来里の振った人数は二人。乃蒼とは異なり、じっくりと時間をかけていたぶるのを趣味とする。深いダメージを与えることで、再起不能に持っていく異常者だ。


「相手は選んだほうがいいかもね。ギトギト男は最悪だったよ。目の前でフライドチキン、ハンバーガーを食べたときは人間を疑った」


「そんな男もいるのか。私も気をつけるようにしようっと・・・・・・」


 乃蒼はラインを終えると、地べたに横たわった。体は疲れていたのか、そのまま眠ってしまった。

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