第6話 公園にやってきた

 豊は近くの公園にやってきた。


 公園ではシニアがゲートボールをプレイ中。人数は20人から30人といったところだった。


 腰の曲がったおばあさんは、ボールをショットする。あたりどころはよくなかったのか、ほとんど転がることはなかった。


 おばあさんの次は、75くらいのおじいさんがボールをショット。勢いよく転がったボールは、穴の中をくぐっていく。


 おじいさんは渾身のガッツポーズをしたあと、体の力が抜けたように崩れてしまった。推測ではあるものの、ぎっくり腰であると思われる。年齢を重ねれば重ねるほど、ぎっくり腰になりやすくなる。


 ぎっくり腰になったおじいさんは、なかなか立ち上がることはできなかった。痛み止めを服薬しなければ、立つことはままならないかもしれない。


 他のおじいさんも、地面に倒れてしまった。ゲートボール仲間は緊急事態であることを察したのか、電話をかけていた。話を聞いていないものの、救急車であることは察しがついた。


 高齢者がたくさん遊んでいる中、野球、サッカーをする少年は一人もいなかった。苦情の入りやすいスポーツゆえに、狭い公園で遊ぶのは厳しい。窓ガラスの一枚でも割れば、大問題になる。


 美穂は二分遅れで、公園にやってきた。


「豊君、お待たせ」


「美穂さん、今来たところだよ」


 美穂は水色のワンピースを着用。そのこともあって、いつもより華やかさを感じた。


「ここではなく、別のところに行こう」


 おじいさん、おばあさんに囲まれた中で、男女二人きりになるのは恥ずかしい。場所を移動して、ゆったりと過ごせるといいな。

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