第4話 男を弄ぶ快感(乃蒼視点)

 男たちを弄ぶため、偽の告白をする→素っ気ない態度を見せる→破局する→遊びに誘ってみるのを繰り返していた。遊び感覚で恋愛することによって、ストレス解消につなげていた。


 男というのは実に単細胞な生き物。かわいい女性が優しく声をかければ、あっという間に恋におちる。思い通りの展開になることで、自分は優れているという気分を味わえる。


 好きではないところを見せつけ、こっぴどいふり方をしても、野獣は未練がましくついてきた。美人を手放したくない、美人と一緒にいたいという下心ははっきりと残っているようだ。私はそんな姿を見て、優越感に浸っていた。


 5人の男たちが同じ反応を示す中、豊だけは明らかに異なっていた。破局しようといったときに、あっさりと応じたのである。未練がましい態度を取る男が多い中、唯一無二の態度を取っていた。


 乃蒼は面白い態度を取った男に、興味を持つようになっていた。何度も何度も声をかけ、復縁させようと試みる。異性にこんなにも夢中になったのは、人生で初めての体験だった。


 豊は鋼鉄の意思で、乃蒼の誘いを断ってくる。それを見るたびに、復縁する意志をより高めさせてくれる。OKという返事をもらうまで、彼のことを追いかけっこする覚悟でいる。


 乃蒼にラインが送られてきた。


「乃蒼、復縁しよう」


 指ですぐさま、却下の2文字を入力する。豊以外の男と復縁するつもりは、一ミリもなかった。


 ラインを送り返したあと、すぐにアドレスをブロックする。何度も何度もラインをされるのは、迷惑行為以外の何物でもなかった。これで収まらないようなら、ストーカーとして警察に通報する。


 豊については、電話番号、ラインのアドレス交換をしていない。それゆえ、連絡先を知らなかった。乃蒼はそのことを強く後悔している。


 おやつのヨーグルトを食べる。気分がよくないのか、いつもよりは甘さを感じなかった。


 おやつを食べたあとに、明日の作戦を考える。どのようにすれば、興味を持ってもらえるようになるのだろうか。


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