第2話 うざい女との過去

 豊はちょっとの期間、乃蒼と交際していた。


 美人とおつき合いできるとあって、毎日は楽しいかと思われた。不純といわれるかもしれないけど、男なら一度はかわいい女の子と交際してみたい心を持っている。


 豊の希望は、すぐに木っ端みじんに破壊された。乃蒼は交際しているにもかかわらず、不満顔を浮かべてばかりだった。彼女の態度を見せつけられるたびに、愛情を持っていないのかなと不安になっていく。


 決定的な出来事は一カ月前に起きる。罰ゲームとして告白をしたことを、彼女たちのグループから聞いてしまったのだ。本気でなかったことを知って、愛情は憎しみへと変化することとなった。


 それからは一度も顔を合わせず、破局するのを待ち続ける。時間を無駄に浪費させることは、男の無言の復讐といえた。


 乃蒼は「私の時間を返して」という毒台詞を吐き捨て、破局をするように迫ってきた。愛情は完全に冷めきっていたこともあり、豊はOKすることにした。こちらから伝える手間を省けたことについては、前向きに評価できる数少ないポイント。別れまでこじれたら、学校生活は地に堕ちる。


 平穏な日々を取り戻せると思った矢先、予想していなかった事態に見舞われることになった。愛情を一ミリも捧げていなかった女はどういうわけか、復縁を迫るようになったのだ。他人の心をいたぶることによって、快楽を得たいという気分になったのかなと思われる。最低すぎる女というのは、羞恥心すら置き忘れてしまったようだ。

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