第27話 もう一人の自分と会う方法

 佐藤家でも、未成年者を妊娠させた我が息子の愚行について話し合いがあった。


「日本では一夫多妻性では無いし、麻友ちゃん以外の子へのそう言う事をするのは…、父さんは良くないと思うぞ。」


 自分の孫が誕生しそうな事に複雑な意見を述べる父と、


「優樹の趣味がロリコンだと知らなかったわ。お母さんの背もあまり高くないから、優樹が豹変したら、お母さんまで襲われちゃうのかしら?」


 僕と何故か同い年になった母親は自分も襲われるのでは無いかと言って、騒いでいたが、何故か…嬉しそうだ。


「紫音様はロリ巨乳ですが、優樹さんに襲われる傾向はありません。大人っぽい、お義母様が狙われる可能性は少ないんじゃないでしょうか?」


 麻友が紫音をロリ巨乳扱いしたので、「麻友は私をなんだと思ってるのよ。」とぼやいていたが、主なのに完全に無視されていて、少し可哀想だった。


「ロリコンと言うのは、妊娠、出産が出来る最低限の年齢を満たした、12歳から15歳の未発達の少女を指すので、体型的に大人っぽい部分を持つ紫音たちは含まれんだろ…。麻友、幼児体型になる薬を投与してやろうか?」


 上本先生が今日は家庭訪問だと言って、何故か、我が家の家族会議に参加していた。


「結構です、もう一人の優樹さんに子作りを迫られても、私は喜びません。それにあなたのような得体の知れない人間が私たち、佐藤家には関わらないで下さい。」


 麻友はもう一人の僕には興味が無いと話したあと、しっかりと僕の家の一員だとアピールして、上本先生を追い出そうとしていたが、


「麻友ちゃん、上本先生は心配になって、我が家に家庭訪問をしてくださったのよ?そんな言い方をしちゃダメでしょ!」


 麻友は先生への言葉使いが悪いと言われて、母さんに叱られていた。義母に叱られた麻友は拗ねて…、


「まあ、お姉はそこにいる女教師が嫌いやから、しゃあないやん。優~、アタシも妹なんやから、豹変して、襲って~や。」


 ギャルの妹に体の主導権を渡して眠ってしまい、逃げた…。外に出された妹の麻友は僕に自分も妹の設定だから、襲ってくれと頼んで来るが、もう一人の僕は出てくる気配が無かった…。


「フム、麻友の体は身長が高いから、未成熟のロリコン体型には当たらないと言う訳か…。やはり、優樹が豹変するトリガーは貧乳で低身長と言うワードが揃って初めて、発動されるようだな…。」


 上本先生はそう言って、麻友とウチの母さんの平均サイズの胸の大きさを見て、ここにいる女はロリコンと呼べる該当者は無しだと呟いていた。


(見た目で、もう一人の僕が表に出るの?)


 そう言えば、低身長で胸が大きめの紫音に触れられても、反応が無かったし、長身スリム体型の麻友にも反応しない。もっと言えば、上本先生や若返った母さんもそこそこ胸が大きいし、小鈴と鈴音姉妹のような体型の女性は僕の近くに存在していない。


「なら、簡単やん。手頃な貧乳女子を連れて来れば良いだけやん。それとも、ウチのクラスの貧乳女子に頼んだらエエんとちゃうの?」


 ギャルの麻友は安易な発想を上本先生に聞かせると、


「お前はバカだが、私と気が合うな。お前は早く原因を取り除いて、優樹の子供が欲しい。私は豹変する優樹の中にいる何かを観察したい。だが、道行く中学生を襲う犯罪者になられても困るから、早い対処は必要だと思うぞ。」


 上本先生が麻友にそう告げると、紫音と何かを話し合っていた。自分の体の事を知りたい僕が近寄ろうとすると、


「スマンけど、優は大人しいしといてくれへん?アタシら、専門的な事を話し合ってるし、理解は難しいと思うねん。優からしたら、もどかしい思いやろうけど。アタシと紫音ちゃん、極悪女教師が同じ方向に向かう事なんて、二度と無いかもしれへん。まあ、ここは任せとけや。」


 麻友はそう言うと、紫音たちとの話し合いに戻った。任せて欲しいと言われたので、しばらく待っていると、上本先生だけが僕の元へ来て、


「佐藤くん。さあ、特別授業を始めようではないか。」


 先生がそう話すと、服を脱ぎ始めたので、


「特別授業って、もしかして…」と僕が反応すると、


「決まっている、君を男にする授業だ。子供は大人に身を委ねれば良いだけだ。」


 彼女は僕の前に立つと唇にキスをした。すると、急に意識が朦朧とし始めた。そんな僕に、


「あとは夢の世界で過ごすといい…。」


 その言葉を最後に僕の意識は完全に無くなった…。



「起きて、そんな所で寝たら、風邪引いちゃうよ?」


 紫音の呼ぶ声で僕は目を覚ました。


「あれ?紫音さん…、ここが上本先生の言っていた夢の世界?」


 僕が彼女にそう問い掛けると、


「恵令奈さんがそう言ったのなら、そうなのかもね。じゃあ、麻友ちゃん。もう一人の優樹くんに話を聞きに行こっか?」


 紫音さんが僕に向かって麻友と話して来たので、「えっ?」と言うと、


「優樹くんは魂が脳の記憶に引っ張られ無いから、違和感があるかもしれないけど、今の君は麻友ちゃんの中に入ってもらったの。じゃないと優樹くんの中にいる優樹くんとお喋り出来ないでしょ?ほら!」


 そう言って、鏡を見せてくれると、僕は金髪の麻友になっていた…。でも、夢の世界と上本先生が話してくれていたので、


「だから、夢の世界なんですね。なんか、メチャクチャ調子が良いです。」


 僕は立ち上がると、その圧倒的な身体能力、体の軽さと、いつもよりも頭がスッキリしていて、麻友の体にいるのが、不自然な事である事も動じないくらい大人の考えに変わっていた。


「麻友の体は最強女子だからね、それに優樹くんは麻友の体についての解説もされてるし、何より、麻友が優樹くんのすべてを受け入れてるから、本人よりも居心地が良いと思うよ。」


 紫音がそう言って来たので、


「なるほど、麻友ちゃんの体でもう一人の僕を絞めてやっつけるんですね!」


 麻友の体にいる影響なのか、いつもより、テンションがオカシイ僕は紫音を連れて自分の部屋に向かうと、上本先生がぶちギレながら、僕の体を縛り付けていた。先生は、麻友の体にいる僕を見て、


「下手くそだな、もう一人の君は…。私に襲い掛かって、満足させないままで本番に挑もうとするとは…。こんなのに満足するのは、経験が少ない女ぐらいだぞ。」


 どうやら、もう一人の僕は自由に体の主導権を得た瞬間に目の前にいた上本先生を襲って、性的な行為に至り…、下手くそとキレられたようだった。


(我ながら、情けない姿を女性陣に晒しているね…。う~ん、僕がお仕置きしなくても良いかも…。)


 ギャルの麻友の体は闘争本能に溢れていて、強い相手と戦いたい衝動に狩られていたが、情けない自分の姿を麻友の目線で見た僕は色々と萎えていた。

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