第16話 ギャルの彼女は誰にでも積極的
ギャルの麻友が布団に籠って学校を休むと行った結果、僕は紫音に出会った日以来、一人で学校へ向かっていた。今は一人のため、昨日に上本先生に拐われた紫音の事が気になり、彼女の事を考えていると、元気の無い紫音が前を歩いていて、
「紫音さん、大丈夫?」
彼女は上本先生に夜通しの補習授業をされた影響なのか、いつもより、狐耳と尻尾の毛並みが乱れていた。
「んあ~、優樹くん?麻友は~。ん、まあいいや…。」
半分寝てる彼女でも、横に麻友がいない状態を疑問に思っていたが、とても掘り下げる元気も無いため、トボトボと無言で歩いていた。
(こんな紫音さんを見たの初めてだし…、大丈夫かな。)
教室に入るとすぐに紫音が机に寝そべり始めたが、狐耳は立っていたため、一応は周囲の音を拾っているようだった。でも、社会科の上本先生が入ってくると、天敵の登場に紫音さんの聞き耳を立てていた狐耳がすぐに閉じた。
(分かりやすいね。あからさまに拒否してる…。)
「生徒が一人いないな…、それよりも私の授業を目の前でボイコットする奴がいる。まったく…そんな幼稚な事をしてるから、補習を受けさせられるんだぞ。」
上本先生にとっては休んでいる麻友の事よりも、狐耳を閉じて授業のボイコットをする紫音の方が問題みたい…。
しばらく、授業を真面目に受けていると、教室のドアが開いて、麻友が遅刻してきた。
「先生、朝まで優とエッチな事をしてたら、遅刻しました~。」
普通に遅刻理由を僕とそう言う事をしたからと話すと、
「ああ、健全な若者なのは構わんが、佐藤は遅刻して無いんだから、言い訳にはならんぞ、座れ。」
麻友に席へ座れと促したが、彼女は不真面目ギャルのため、
「紫音ちゃん、毛~、ボッサボサやん、どないしたん?野宿してたん?」
授業を完全に無視して、紫音に向けて喋り始めた。英語の神里先生の場合は優しく叱るが、上本先生の場合は…、
「お前ら、私が若い女教師だからって…、舐めてるな。特に麻友。お前、私が弱いって思ってるだろ?」
女同士なのに、力で解決をしようとしていた。
「あん、アタシが負けるわけないやろ。あんたの場合は男を漁るためにとりあえず社会科の教員免許取りました~みたいな感じやろ、社会科の巨乳女教師…響きだけでエロいやん?」
やな女を全開で出し続けるギャルの麻友は上本先生を挑発して煽りだした。
「あら、可愛いわね。あなたみたいなストレートな物の言い方をする子は分かりやすくて…好きよ。そこの打算的な狐ちゃんよりもね。」
上本先生は麻友の挑発は気にもせず、逆に何故か、ケンカに聞き耳を立てている紫音を睨み付けていた。
(この三人って、どんな関係なんだろう…。上本先生が教師としてここに来る前からの知り合いみたいだし…。)
ギャルの妹はそこまで紫音を慕ってる感じはしないし、だと言って、嫌いかと言うとそうでもなく、紫音はこの麻友といる時は一番機嫌が良い。
「まあ、エエやん。もう反抗的な態度は取らへんし、あんたも紫音ちゃんに酷い事をせえへんって、約束してな?」
麻友はそう言うと、紫音のボサボサの狐耳や尻尾をブラッシングし始めた。
「オカンに外出る時の女の子は身嗜みをちゃんとせえって言われへんのか?アタシがやったるし、大人しいしててな。」
まだ授業中だが、麻友が黙り始めたため、さすがの上本先生も叱るの諦めて、授業を再開していた。
(ブラッシングされて、紫音さんは気持ち良さそう。やっぱり、半分は狐だからなのかな?)
昼休みに紫音と麻友の所へ行くと、
「そっか~、私も二人が一つになるのは反対だったし、麻友は誰にでもなれる人間だから、その選択を選んだ事を私は尊重するよ。でも…」
紫音が麻友の体に姉が出ていった事を聞いていたらしく、
「分かってる、お姉は優しいからな。お互い好き同士のアタシに優の事を譲ってくれたんや。まあ、アタシと優はラブラブやから、すぐに良い報告をしたるわ。」
麻友は心配するなと言って、隣に座る紫音を引き寄せて、犬を撫でるかのように可愛がっていた。
(ギャルは積極的だよね。主様なのに、ペット扱いをして大丈夫なのかな?まあ、紫音さんは気持ち良さそうなんだけど…。)
姉の麻友の時は紫音への詮索を止められていた僕は思いきって、
「紫音さん…、ここには麻友しかいないので聞きたいんですが、紫音さんには、どうして狐耳と尻尾が生えてるんですか?」
出会った初日からずっと、気になっていた事を聞いてみた。
「う~ん…。話せば長くなるんだけどね。話すね…」
紫音は自分の過去を話してくれた。その話では、昔の彼女は最強の人間だったらしく、その力を気に入った狐の神様が彼女の体にさらなる力を与えた。それを知った周りの人間が危険因子になり得る彼女の命を狙い始めて、彼女はすべての力を封印する事にした。その名残が今の狐の耳と尻尾だと言う事だった。
「フィクションで獣系の獣人って、ものスゴく素早くて強そうでしょ?でも、実際は尻尾や耳が敏感になってるから、それが弱点なの、でも、信頼できる相手に撫でてもらうのが気持ちよくて、その感覚は好きかな…。」
感覚が動物に似ていて、麻友に頭を撫でて貰えるのは好きと言って、
「でも、動物みたいには素早く動けるってわけじゃないの。尻尾があるとお尻の比重が変わってしまうから、歩行するだけでも感覚が変わってしまうの。」
紫音は尻尾のせいで、二足歩行のバランスが取りにくく、自分の足なのに上手く動かせないらしい。それを聞いた麻友は、
「確かに紫音ちゃんはドンくさい子やもんな。体育の授業はいつもビリに近い成績だし、お尻のバランスが重要なのは分かるわ。でも、あの巨乳エロ教師もケツがデカイし、トロそうやろ?でもな、メチャクチャ素早いで~。アイツの瞬発力は武術で養われとるから、日本で勝てる奴なんて、100人もおらんのとちゃう?もちろん、アタシの方が強いけどな。」
麻友は能力を封印した紫音が弱い事と、本気の上本先生に勝てるのは。自分くらいだとアピールしたあと、
「メチャクチャ強い子を産んだるし、今日も頑張ろうな~、優。」
さりげなく、子作りを要求してきた。
「アハハハ…、そうだね~、頑張ろうね~。」
昨日の夜の事を思い出した僕は、笑う事で恥ずかしさを誤魔化していた。
(ギャルの麻友って、元気いっぱいだから…。)
気持ちが重い姉に比べるとこちらの事を考えてくれるギャルの麻友と僕の相性は良いのか、僕の方からも徐々に性の事にも積極的になり始めていた。
(もしかして、僕は真面目な女性よりも、明るいギャルの方が好きなのか…。)
恋人は軽くなったが、母親が重くなった事に悩んでいる僕の前に、
「麻友、一般人のモヤシにベラベラ喋っちゃダメよ。」
僕を一般人のモヤシと呼ぶ人間が現れた。
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