第11話 彼女たち天敵、妖艶な女教師
僕がクラスで一番の優等生の麻友と付き合い始めて一ヶ月が経った。同じ部屋で過ごすようになってからは毎日、麻友が必死で僕に迫ってくる、まだ学生だからと言う理由でする時は避妊をしようと話すと、
「優樹さん…、子供を作る気が無いのに、する事になんの意味があるのですか?それとも、私をバイ菌か何かの汚い物だと思っているんですか?」
と言って、拗ねてしまったあと、紫音に僕が子作りに協力的で無いと相談し始めて、紫音の方も神里先生はデートしかしてくれないとぼやいていた。
(僕に聞こえるレベルで二人で性に関する話をして欲しくないんだけど…。)
この事に関しては神里先生が一番の被害者だったりする…。ギャルの麻友が英語の授業中、普通に勉強をしている紫音へ神里先生と紫音の事をみんなが聞こえる声で、
「紫音ちゃん、どっかの先生彼氏とデートの先が無いのはなんでなん?耳も大きいし、尻尾生えてるから、エッチせえへんの?」
と二人の交際情報をわざとらしく大きな声で漏らし、騒ぎ始めるからだ。
さすがの温厚な神里先生も麻友と何もしていない僕を理事長室に呼び出して、そう言う会話は授業中にしてはいけないと話すのだが、逆に、
「蓮…、紫音ちゃんを妊娠させないあなたが悪いのよ?だから、麻友に授業中にわざと騒がせているのに…、あれだけ恥を晒されているのに、なんで行動をしないの?」
と意味の分からない説教を神里先生は母親の神里理事長に言われ、叱責されていた。
(英語の時間にギャルの麻友が出席してるのは、理事長の指示でわざと騒いで、授業の妨害をしているの?)
「それから…、佐藤くん。あなたも何故、同居してる麻友に手を出さないの?学生だからって、夜の事を遠慮する必要はないのよ?」
僕がセットで呼び出されるのは、夜の営みをするように催促するためだった。
「なんか…、ウチの母さんがゴメンね、佐藤くん。」
と神里先生に謝られるので、
「いえ、麻友がいつも授業中に騒いですみません…。」
僕は彼女の代わりに先生に謝罪していた。
この日は中間テストの結果が僕の元に知らされた。点数は表示しないが、一年の総合成績トップは麻友。でも、部門別で言うと、紫音が数学以外の四教科が満点で三教科満点の麻友を上回っていた。でも、総合成績上位トップ10に紫音の名前が無かったので、
「紫音さんは数学が苦手なの?」
四教科満点の人間が何故、総合成績で悪いのか分からないために聞いて見ると、彼女は数学の成績を見せてくれた。
「一桁…。」
断トツのビリで、学校で唯一の赤点を取った紫音は将来、義母になる予定の理事長に呼び出しを受けたそうだ。呼び出しをされたあと、麻友と二人で帰って来たので、
「麻友ちゃんはなんで呼び出されたの?」
理由を聞くと、
「主の失態は、従者の責任です。計算問題が出来ない事に早い段階で気付くべきでした…。これは優樹さんとの恋にうつつを抜かした私の失態です。」
赤点の紫音よりも麻友の方がへこんでいた。そんな事を話していると社会科総合の授業が始まったが、見たことない、若い女性が入ってきて、
「本日から、この優等生の集まるクラスの社会科全般を引き受ける事になりました、上本 恵令奈と言います。優等生の子たちばかりと聞いているので…、そちらの席に座る…」
新しい女性の先生はヒールの音を鳴らしながら、歩いて紫音の前に立ち、
「可愛い狐の子にも、容赦はしませんのでよろしくお願いします。」
彼女はそう言うと「特徴的な可愛い耳ね」と耳をクイッと引っ張って微笑んでいたが、紫音の方は顔がメチャクチャ引き吊っていた。
(紫音さんの知り合いなのかな?絶対に理事長のコネだよね?)
不思議な雰囲気の女性だったが、授業は分かりやすく、幼い顔と大きな胸が特徴的で、なんとも言えない美声が耳に残っていて、同級生の男子生徒はメロメロになっていた。
(麻友に比べたら、美人でも無いのに…、なんか好きになってしまう感じなのかな?)
僕は麻友がいる手前、新任の先生なんかをガン見したら、何を言われるかが分からず、怖くなり、なるべく見ないように授業を受けていると、
「君、佐藤くん。先生の話を聞いてた?」
教科書をずっと見ていた僕は何故か、その先生に絡まれてしまい、
「教科書ばかりを見ていないで、先生の話す唇と姿を見て欲しいな~。」
新任の上本先生は僕の前に立ち、手でアゴをクイッと上げられて、
「目も合わせてくれないし、先生の事が嫌いなの?」
上本先生がそう言った瞬間に、
「優から手を退けてくれんか、発情期のエロババア。」
ギャルの麻友が何故か側に来て、上本先生をエロババア呼ばわりしていた。
「ひっど~い、先生はまだ24歳よ?それにさっき理事長室で会ったじゃない。あなたの不手際でそこの可愛い狐がやらかしたから、優秀な
上本先生は紫音の成績不振のために呼ばれた人材だと話したあと、紫音と麻友とは事前に面識がある事を話していた。
「ほんなら、紫音ちゃんにだけ絡んだらエエやん。アタシの彼氏に絡むなや。分かったら、はよ、手をどけや。」
麻友がケンカを売り続けるため、上本先生は僕から手を離して、
「子供っぽくて、可愛いわね、麻友ちゃん。これから先生と仲良くしてね。」
そう言うと、普通に教壇に立ち、再び、心地の良い美声を響かせながら、授業を再開した。
(スゴく焦ってたよね、麻友。)
いつもは適当なギャルの麻友が焦る姿を見て、上本先生は麻友みたいな不思議な力を持つ人間なのは分かった。そして、先生に絡まれてからの紫音の様子がずっとおかしい…。
「麻友、お姉ちゃんはどうしたの?」
普段は社会科の授業の時には出てこないギャル妹に姉はどうしたのかを聞くと、
「お姉はあのババアの顔見て、授業をボイコットしよってん。ホンマはアタシも授業内容には興味ないし、ババアの声は耳障りやし、何よりも見てみ。」
授業が終わり、上本先生は男子生徒に囲まれていて、大人気だった。
「優以外の男は落とされたな…。綺麗な目と綺麗な声で獲物を狙う魔性の女。アイツの授業だけはまともに受けたらアカンで、お姉を悲しませたくなかったらな。」
ギャル麻友は僕にそこまで話すと紫音に絡んでいた。
(紫音さんや麻友ちゃんが拒否するほどの上本 恵令奈って人、何者なんだろう。)
「しっかし、紫音ちゃんは好きな男すら押し倒せへんのかいな。そや、あの魔女に頼んで、精力剤でも作ってもらえや。アタシが頼んで来たるわ。」
そう言うと麻友は上本先生の所に言って、何かを頼み込んでいた。
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