第7話 朝に起きたら、ギャルがいる
「では、優樹さん…、私は初めてですので、優しくしてくれると嬉しいです。」
夕食後、一緒にお風呂入ると言ってくる麻友を制止したのも束の間、今度は僕のベットの前で、性的な関係を強要してくる。
「あの、麻友さん…。恋人になって、初日からこう言う関係になるのは、良くないと思います。それから…麻友さんのスタイルは良すぎるので、薄着でいられると僕の方が恥ずかしいです。」
上下一枚しか身に付けていない彼女を見て、ドキドキが止まらない僕はそれどころでは無くて、自分でも何を言っているのか、分からなくなっていた。
「それもそうですね…。では、今日は隣で眠るだけに致しましょう。お休みなさい、優樹さん。」
麻友は意外とアッサリ諦めて、僕のベットの中に入ると、
「ふふ、優樹さんのベット…。いい匂いがする。もう、夜も遅いですから、隣にどうぞ。」
彼女は僕をベットに招き入れて来たので、ここで断ると傷付くと感じた僕は素直に彼女と一緒にベットで寝る事にした。
(寝れない!絶対に眠れないよ!)
眠れないとド緊張する僕だったが、何故か、その日は疲れていていつの間にか、深い眠りに就いていた。
「お~い、優。起きひんと、遅刻するで~。」
朝になり、麻友の声で目を覚ました僕の前には、ウチの制服を着ている、麻友に似た金髪のギャルがいた。
「えっ!誰!」
僕が思わず飛び起きると、
「あっ、アタシに会うのは初めてだっけ?アタシは麻友だよ。お姉と一緒の名前なんやけどね~。」
彼女は麻友と名乗り、姉も麻友だと言ってきたので、
「ああ、麻友さんの妹さん?」
何となく、そんな気がしたため、彼女へ問い掛けると、
「ウィ~、勘がエエね。さっすが、優やんか。真面目なお姉よりも、アタシの方がエエから、呼んだんやろ?」
彼女は麻友の妹だと認めたあと、僕が呼んだんだと話して、
「あっ、優のパパさん達は7時半過ぎとったし、仕事に行ってしもたで?でも、はよ着替えなアタシらも遅刻するで?まあ、学校なんて、メンドイし、サボりでもかまへんけどな。アタシと遊びに行こうや。」
そう言って、スマホに表示されてる、現在の時間を見せて来ると、8時5分と表示されていた。
「あっ…、遅刻する。急がないと!」
僕が急いで着替えようとしたが、麻友がいたため、着替えるから出てくれないかを頼むと、
「え~、アタシは優の嫁になるんやから、見られてもかまへんやん。そう言う真面目な所はお姉とそっくりやね。顔を伏せといたるし、終わったら言うてくれへん?」
ギャルの麻友は顔をドアの方へ向いてくれたので、急いで着替えを始めた。着替えを終わる頃に気付いたのだが、彼女はこっちを向いていて、全部見られていたらしい。
「アタシの彼氏なんやから、身だしなみは整えへんと家から出さへんで。」
ギャルの麻友は遅刻しそうでバタバタする僕を制止させたあと、僕の顔に軽くメイクをさせたり、髪型を整えたり、変な香水を付けられて、完成した頃には、
「もう、遅刻確定やな、サボって遊びに行かへん?」
家を出る頃には、すでに授業の開始になっていた。
「ダメだよ、麻友さん。遅刻してでも良いから、学校に行くの!」
僕はサボりたがるギャルの麻友を引き連れて、学校へ向かった。
「先生、遅刻してすんません。彼氏とエッチな事をしてたら、時間を忘れてしもてん、堪忍な。」
今日の一限目は英語だった。神里先生にギャルの麻友がとんでもない言い訳をしながら教室に入ったため、クラス全員の目が点になり、優等生麻友のギャル化を見つめていた。
「まあ…今度から、気を付けるように…。」
さすがの神里先生も対応に困って、軽く注意を受けただけで僕らは済んだ。
ギャルの麻友が席に着く時に、
「あっ、紫音ちゃんやん。相変わらず可愛いな~。ヨシヨシしたるわ。」
主のはずの紫音の頭を撫でたあと、狐耳をなで回して、
「アハハハ!けったいな耳やわ!オッパイも大きいし、主様、最高やわ!」
セクハラ紛いの紫音弄りを始めてしまったため、麻友は授業をしていた神里先生にキツいめの叱責を受けていた。
「紫音ちゃんの彼氏も真面目やな、アタシの彼氏も真面目やねん。」
先生の注意を受けても、ひたすら隣の席にいる紫音に絡みまくっていた。
(カオスだよ…、姉とは違って、まるで紫音さんへの敬意を感じないよ。)
休み時間になり、僕は紫音を呼んで、麻友の事を聞いていた。
「優樹くん、昨日はありがとう。未夢ちゃんは目を覚まして、回復の方向へ向かっているらしいし、本当に助かったよ。」
紫音は麻友に絡まれたのに怒りもせず、昨日のお礼を僕に伝えてきた。
「それは良かったんですが、麻友さんのアレって、なんですか?」
今までに見た事の無い麻友の姿の謎を聞くと、
「ああ、麻友の体には二つの魂が混在しているの。真面目で優等生の姉とサボりぐせで普段は体の中で眠り続ける妹。なんで妹が出てきたかは察しが付くけどね~、優樹くん。」
紫音は麻友には二つの魂があると話したあと、原因は僕にあるみたいな言い方をしてきた。
「麻友を好きになるって事は、あの麻友も好きにならないとダメって事なの。」
紫音が指を差すと、
「あ~、なんで、紫音ちゃんが不登校の時の学習資料をアタシがまとめなきゃアカンねん!紫音ちゃんが休むんが悪いんちゃうの?」
ギャルの麻友は文句を言いながらも昨日に姉がやっていた資料作りをしていた。
「記憶と能力は同じ体だから、共有してるの…。だから、姉の麻友は妹の麻友がやった事を覚えてるし、妹も姉のすべての行動を覚えているの。学力も変わらないわよ。むしろ、理数系に関しては妹の方が成績は上だから…。」
そう言うと、次の授業が始まる時間になったため、「詳しい事はまたあとで」と言ってきた紫音と別れて、席に戻るとすぐに数学の授業が始まった。
授業が始まると、さっきまでは紫音に絡みまくっていたギャルの麻友は数学の時間になると、真面目に勉強をし出した。
(えっ…、なんで数学は真面目に受けてるの?)
さっきとは、やる気がまるで違うギャルの麻友に驚いていたが、これも紫音が行っていた通りになったため、紫音が確実に麻友の事が書かれている手引き書を持っていると確信し、昼休みの時間に手引き書の事を聞くと、
「麻友の事が知りたいから手引き書を見せて欲しい?……そんなの無いよ?」
紫音がそんな物は存在しないと言ってきたので、なんで、会ったばかりの麻友の事をそんなに詳しいのか?と聞くと、
「う~ん、それは…、秘密です。」
彼女は答えてくれなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます