元天才美少女子役からお風呂で熱い演技指導だと!?
場面転換 秘密基地の別荘内(お風呂)
//SE 蛇口から洗い桶に勢いよく水が流れる音。蛇口を閉めた後で背中へシャワーのかけ湯の音が風呂場に反響する。
//SE シャンプーボトルをプッシュする音。手で泡立てて髪の毛につける音
「お兄ちゃん、
//SE お風呂場の引き戸がガラガラと勢いよく開けられる音。
「ふふふ~ん、ふ~ん!!」//鼻歌交じりで妙に陽気な声が次第に近くなる。
//SE お風呂場の床を歩く波音の素足のペタペタという足音。
「大事なお兄ちゃんの身体が火傷していないか心配で波音、お風呂まで見に来ちゃったの。だから一緒にお風呂に入ってもいいでしょ?」//心配という言葉とは裏腹な甘えた口調が耳元で聞こえる。
「わわっ、お兄ちゃんの背中ってこんなに広かったっけ? 私の手のひらの何個ぶんだろ!! 久しぶりに波音のお
//SE 手のひらでぺたりと背中を触る音。
「いっこ、にっこ、さんこ!!」
//SE むにゅむにゅむにゅ、と波音の言葉に合わせて効果音を入れる。
「お、お兄ちゃん、カッチカチだね!? カチカチ山の狸さんだぁ!! おっぱい呑んでねんねしなきゃダ~メ!!」
//SE ドンガラガッシャン!! と風呂桶や椅子がお風呂場の床を激しく転がる音に水がこぼれる音も重なる。
「急に清楚系の大人しい波音からキャラ変したって!? 私は私だよ!!」
「えええっ何で後ずさりしながら慌てて逃げるのぉ? こ、このお、弱虫!! お兄ちゃんって結構ザコキャラっぽいかも」
「ふうっ!! なんだか妙に身体が熱いかも? お風呂で洋服を着たままだからかな」
「……すうっ」//大きく上半身で伸びをしながら深呼吸、波音が役柄になりきる時の動作が始まる。
//SE ゴゴゴゴゴ、とお風呂場で何かが発動するような効果音
「ろ、
「きゃははは!! お兄ちゃんのざ~こざこ!! 背中を触られたくらいで女の子みたいに黄色い声で悲鳴をあげちゃってさ、かなり幻滅ぅ~~!!」
「波音はもしかして憑依型女優だったの? って、あんた何を訳の分からないこと言ってんの!!」
「今の私はどこをどう見ても立派なメスガキ美少女小学生じゃない、失礼しちゃう」
//SE 声と一緒にペタペタと濡れた床を歩く音 次第に近くなる。
「ちゃんと椅子に腰かけて、背中をこっちに向けなさい。ちゃんと男らしいところを私に見せてちょうだい」
「今日の私はとても機嫌がいいの、お兄ちゃんは命拾いしたね!! ありがたく思いなさいよ、特別に元天才子役から直々に個人レッスンしてあ・げ・る」//背中越しから囁きかける声が耳元に接近してくる。
//SE 衣擦れの音、柔らかな身体が背中に押し付けられる音
「もっと身体の力を抜きなさい。筋肉がカッチカチじゃあ良い発声は出来ませんよ……」//耳元ギリギリで吐息混じりの囁き声が聞こえる。
//SE 衣擦れと共に後ろから腕を回す音。
「こ、これはバックハグじゃないからね!! ちゃんとした発声練習を兼ねた演技のエクササイズなんだから、お兄ちゃんは変な勘違いしないで。私だって児童劇団に所属して厳しいレッスンを経験したの。この格好はカリキュラムの一環なの!!」
//SE きゅうっ、と強く抱きすくめる腕の音。
「お兄ちゃんの私への気持ちを
//SE 次第に背中に感じる心音が高まる。
「ありがとう、やってくれるのね!!」
「……すうっ、はあっ」//耳元で深呼吸を繰り返す波音。
「はあっ、はあっ」//熱い吐息混じりの声。
「……」//お互いの気持ちも高揚する。
「……あっ、背中の力が抜けた。もうカチカチ山じゃない。台詞を言うなら今だよ!!」
「はいっ、アクション……!!」
「……」//波音の驚きの感情を息使いで。
「……お兄ちゃん」//台詞を聞いて思わず感極まってしまう。もとの波音に声色も戻っている。
//SE 背中越しに押し付けられる身体と回した腕の力がよりいっそう強くなる。
「演技指導なんて嘘をついてごめんなさい。波音はやっぱり女の子だからちゃんとしたお兄ちゃんの言葉が欲しかったの……」
「普段の私には言えない大胆な台詞も役柄を借りれば言えちゃうの。へへっ女優って案外悪くないかもね」
「やっぱりこれはバックハグだね。波音から抱きしめたかったの……」
「……お兄ちゃん、大好き!!」
次回に続く。
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