第6話 愛か金の謎の森

僕は王都を出た。もしかしたら、王都にはいないかもしれない。そう淡い期待を抱きながら、土を踏みしめ、歩いた。どれぐらいたっただろうか。僕は森の中にいた。息が切れる。疲れた。もう一歩も動けない。僕は倒れた。周りには血で染まったような真っ赤な花が何輪も咲いていた。そこで、僕の意識は消えた。


目を覚ますと僕はベッドの上にいた。家の中だ。ここはどこだ?ベッドから出ようとする。その瞬間、体をナイフで刺されたような痛みが走った。痛みに藻掻いていると部屋に人が入ってきた。

「おお、もう目を覚ましたか。やはり若いものというのは治りが早いものじゃのう」

おじいさん口調なのに、見た目は少年の人が来た。ここがどこかもわからない。この人もだれかわからない。僕は、少年にこう聞いた。

「ここはどこ?あなたは誰?」

そうすると少年は言った。

「儂の名はリュージュ。見ての通りのおいぼれですじゃ。ここで一応村長をやらせてもらってる。そしてここは永寧と呼ばれるところですじゃ。かの邪人が作り上げた永遠の安寧。それがここの地ということですじゃ。」

【永寧】?確か、ローマフが言ってたな。

「ということは、ここに邪華が咲いているんですか?」

僕は言う。そうすると、驚いた顔をしてリュージュさんは言った。

「おお。なかなか理解の早い子だな。そう。ここにはかつての邪人が残した邪華が咲いている。それは400年、枯れずに咲いている花じゃ。増えもしないが減りもしない。それが邪華じゃ。邪華は、この永寧の中の住民の中でとても大切にされておる。外からはこの邪華を摘みに人間が来ることがあるんじゃ。だからその人間を追い払っているうちに、永寧はほかの人間が来るのを拒んだ。そして、昔から発動されていた、永寧の結界の力を強めた。そうすると、誰もこの永寧にはこれなくなった。きみはなぜ入れたのか知らないが、永寧に歓迎されたと考えてもよいだろう。」

僕はよくわからないが歓迎されたらしい。僕は一つ聞きたいことがあった。

「リュージュさん、この永寧で紫の服で赤い髪の人を見なかったですか?」

リュージュさんは少し考えた素振りをして落ち着いた顔でこう言った。

「少なくともそのようなものはここには来ておらん。すまない、力になれず。」

「いいんですよ。ありがとうざいます。その情報だけでもうれしいです。あ、一ついいですか?この永寧から出るにはどうすればいいんですか?」

僕がそういうと、リュージュさんは苦虫を噛み潰したような顔でこう言った。

「ここ、永寧からは...出られない。」

僕は気が抜けるような声で「え」といった。

「ちょっと待ってくださいリュージュさん、出られない?どういうことですか」

リュージュさんは苦しい顔でこう言った。

「永寧の結界は昔の邪人の力を使い結界の力を保っている。結界は外からも中からもふさがれる。君がどういう入り方をしたとしても、この結界からはもう出られないと考えたほうがいい。もし出ようとするとああなるかもしれんぞ」

そうするとリュージュさんはある方向を指さした。そこには、ボロボロになった人の姿があった。慌てて僕はリュージュさんに問った。

「なんであんなひどいことになっているんですか?!」

リュージュさんは落ち着いて答えた。

「彼はこの永寧から出ようとしてそれを拒絶された結果じゃ。」

僕はそのボロボロになった人を見て震えた。自分もああなってたんじゃないかと。僕は藁にも縋る思いでリュージュさんに言った。

「何とかして出ることはできないんですか?」

リュージュさんは僕の目をしっかりと見ていった。

「あるにはある。だがしかし君にはできないことじゃ。」

「どういうことですか?」

「この結界は邪人の力から結界を保っているといったじゃろ?だったらその邪人を抹消すればいいのじゃ。だが、君にはできない。邪人を抹消するには邪人の作った【邪聖】というものをやらないのいけんのじゃ。邪聖というのは邪人の前にある結界のようなものじゃ。邪人は3つの結界で自分を守っておる。これをすべて解くには設問をやらねばならぬ。邪聖はまだだれもその設問を最後までやり遂げた者がおらん。君もそのうちの一人となるだろう。そして、その邪人は光の力では抹消できない。光ではなく、闇や炎で消し去らんといけぬ。もし邪聖をやり遂げたとしても、邪人を抹消できないのであれば意味がないじゃろう?」

「じゃあ、この永寧の人がやればいいんじゃないですか!」

「二つ、勘違いをしているようじゃな、君は。まずこの永寧ではかの邪人が光を使っていたこともあり、邪法を使うほぼ全員が光の邪法を使うんじゃ。そして、永寧の人たちはこの暮らしを大切にしておるんじゃ。だから、いくら言ってもそれには協力しないじゃろう。」

僕は絶望した。僕は出る方法がないんだ。がくんと膝をついたとき、聞き覚えのある声がした。

「だったら私ならできるんじゃないかな?」

そう。その声は。

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