第4話 愛か金の邪気使い

ローマフは少し悲しい顔をしていった。

「そうか...。でも君もいつか答えが変わってくると思うよ」

ローマフは最後、にこやかに笑って館に戻っていった。少し変わった人だった気がする。そして、僕はアレシアに館に連れていかれた。館というのはこんなもの日本にはないくらいすごかった。壁の装飾は麗しく、庭には小鳥たちがさえずり、常に花が咲いている。百花繚乱といったところか。日本では見ることができない。内装も、貴族の邸宅を彷彿とさせる。そんな内装に見とれているとアレシアが、

「今日は感謝の気持ちも込めて食事会をしようと思ったの」

という。不得要領だが行くことにした。

「今回はお礼もかねてこの会を開いたんだ。さあ!なんでも望みを言いたまえ!」

ローマフが機嫌よく言う。僕は迷わずこういう。

「僕をここで雇ってくれ!」




そして、僕の使用人生活が始まった。この屋敷には僕以外にも2人が使用人として雇われていた。それは姉のライと妹のリイだった。二人は僕に丁寧に教えてくれた。しかし、たまにこう言うのが玉に瑕だ。

「姉様、あのリアって人ったら愛よりお金が大切らしいですよ」

「リイ、気にしないで、ただのクズよ」

酷すぎると思わないか。この罵詈雑言は1日に一回は聞く。だが、自分だって家庭科をやってきた身だ。最低限のことはできる。野菜切ったり、掃除とかはできる。庭の手入れも前におじいちゃんに教えてもらった。そしてあるとき、リイが話しかけてきた。

「リアは【邪法】とかは使えないんですか」

急にびっくりした。【邪法】?そんな異世界定番のやつが使えるのか。

「使ったことないけど」

淡々と僕は返す。

「じゃあ教えますか?」

リイは言う。

「いいの?じゃあ教えてもらおうかな」

そして始まった【邪法】訓練。

「この世の邪法は空気中に漂う【邪気】を使って邪法を使います。邪気を体の中に通し、それをためて発動することで邪術が使えます。リアの邪気は...まあふつうくらいですね。じゃあ発動してみましょう。この世の魔法には属性があって、火、水、光、闇の4種類です。リアはたぶん光の属性だと思います。じゃあ使ってみましょう。この世の邪気を感じて。自分の中で邪法を意識して。そして解き放って。」

そういわれたのでやってみた。そうすると体の中から膨大な量のエネルギーが出てくる感覚がした。そうすると、まわりが一気にまぶしくなった。まぶしくなったかと思ったら体からふっと力が抜けた。体が動かない。体が鉛のように重い。そうするとリイが呆れたように言った。

「やっぱりそうですか。まだ力の制御ができないんですね。まったく...。やれやれです」

リイが僕を引きずって屋敷まで戻してもらった。まだまだ使いこなすには難しいようだ...。

部屋に戻り、「今日は疲れた...。」そんなことをつぶやいたとき、入り口からバタン!という音がした。驚いてドアのほうを見ると、ライがペンと紙をもって入ってきた。

「リアはまだ全然ここの言語を理解できてないらしいわね。今日から教えてあげるから感謝しなさい。」

相変わらず傲慢な姉様だ。呆れているうちに勉強が始まった。勉強は別に嫌いじゃなかったから特に何とも思わなかった。ライが言う。

「今日までにすべて覚えて頂戴。ライも暇じゃないの。」

なんてやつだ。やる気がそがれる。そうして死ぬ気で5時間勉強した末、とうとうすべてを覚えきった。そして、「よし寝よう」と思い、ベットに入った瞬間、またバタン!とドアが開く。それはアレシアだった。アレシアが叫ぶ。

「リア!大変!リネファちゃんが!」

僕は驚いて答えた。

「どうしたアレシア!おちついて!」

アレシアは焦りがおさまらないようだ。そして、次に衝撃的な言葉を放つ。

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