第2開店準備
「でもお店を開くにしても そのお店を開くためのお金がないですよ」
「ていうことはまずそのお店をオープンするためのお金が必要ってことですね」
島崎が今のこの現状を分析するような口調で言う。
「そこが一番の問題なんですよ」
ため息をつきながら言葉を口にする。
今日の朝ご飯を買うため商店街のような場所を歩きながらそんなことをぼやく。
するとまたお地蔵様に会う。
「よく会うね」
「昨日は貸していただいてありがとうございます必ずお返ししますので」
2人で頭を下げお礼を言う。
「全然気にしなくていい悪いのはむしろこっちだから」
「この世界に来た人たちをサポートするのが俺の役目、まあこの世界においての仕事みたいな感じかな」
「この世界に来た人たちにお金を渡すのもその仕事の一部」
「それでその仕事の一環として聞くけど今困ってることはない?」
「そもそも私たちこの世界でどうやって働いたらいいとかもまだ分かってないんです」
「あれ最初この世界に来てもらった時仕事の話ししなかったっけ?」
「確かそういう話は聞いてないはずですけど?」
「僕もそういう話を聞いた記憶はないです」
「いやそうだったかすっかり忘れてたよ申し訳ない」
「2人とも何か今やりたい仕事とかある?」
「もし何かあるんだったら今回のお詫びも兼ねて心あたりがあるところを探してみるけど?」
「あの…それなら1つお願いがあるんですけど」
「何?」
実は私たち飲食店を立ち上げようと思ってるんですけど、その飲食店を立ち上げるお金をどうやって貯めたらいいかなと思って」
「飲食店ならここら辺結構いっぱいあるからいいとこ紹介できると思う」
「いえそういうわけじゃなく私たちが自分で飲食店を立ち上げたいんです」
「ってなってくるとちょっと俺の知り合いにはいないかもしれない」
「その代わりってわけじゃないんですけど仕事を探してもらう代わりにその飲食店をどこに立ち上げたらいいかとかアドバイスもらえませんか?
「僕の方からもお願いします」
「飲食店を立ち上げるのに適した場所か…考えたことなかったな」
「どうしても無理ということでしたら僕たちが自分で調べるのでお気になさらず」
「あ!私のところなら大丈夫か」
思い出したような口調で言葉を漏らす。
私のところならという言い方に少し引っかかったが場所を教えてくれると言うならついて行こう。
「今住んでる家から少し遠いけどいいかな?」
「それなら全然構いません」
「って私1人で決めちゃダメか!」
「島崎さんはどう思います?」
「僕も別に少し家から遠いのは構いませんよ」
「それじゃあ早速行ってみようか」
それからしばらく歩いたところで1つの古びた家にたどり着く。
「ここは?」
私たちはその古びた一軒家を見上げながら尋ねる。
「この家は私が大家として管理している家なんだけどここにまだ誰も人が入ってなくて」
「そこで一つ相談があるんだけどこの家をお店の建物として使ってくれないか?」
「この建物自体見ての通りだいぶ古びてるから掃除してもらう必要はあると思うけど手伝うから」
「いいんですか!」
「ただし1つ条件がある」
「条件?」
「この場所を貸す代わりにこの場所の家賃を払って欲しいんだ」
「最近はなかなかちゃんとした収益が入らないから少し困っててね」
「そんなことでよければむしろありがとうございます場所を貸してくれて」
「よかったですね鼎さん」
「ええ」
「これからまた色々買い出しに行かなきゃいけなくて空いてる部屋を掃除するのはその買い出しが終わってからでいい?」
「もちろんです手伝っていただいてありがとうございます」
「買い物に出てる間、時間もったいないから2人でお店を飾り付けするアイテムを色々と買ってくるといい」
「飾り付けがあるだけでお店が華やかになると思うから」
「色々と教えてくれてありがとうございます」
「それじゃあまた後で」
行ってその場を去っていく。
「あの…島崎さん、 これからお店を飾り付けするためのアイテムを買いに行きませんか?」
笑顔で頷いてくれる。
それから私たちは近くのスーパーに向かい色々な飾り付けに使えるアイテムを探し見て回った。
「飾り付けをするための商品ってこんなにあるんですね」
島崎が感心したような口調で言う。
「どうせなら初めてお店をオープンするんだから豪華な飾り付けにしたいですよね」
私はあたりを見回して可愛いデザインの飾り付けがないか探す。
「何だっけなあのパーティーの時とかに使えるアイテム?」
「クラッカーとかですか?」
「そういう人を驚かす系のやつじゃなくて壁とかに飾り付けできるやつ」
しばらく歩きながら自分が求めている商品を探す。
「これなら壁に飾り付けできそうじゃないですか?」
「確かにこれならお店をきれいに飾り付けできそうですね」
その商品をいくつかカゴの中にいれ食材の方を見て回る。
「今日の夜ご飯何か食べたいものとかあります?」
「僕は特に嫌いなものとか今食べたいものとかないのでおまかせします」
「それじゃあもう一つ自分で作って商品にしてみたい食べ物があるので今日はそれを夜ご飯で作ってみますね」
「楽しみにしてます」
それから自分たちの家えと帰った。
さっき大家さんが家まで来て開いている部屋を掃除するのは明日からでいいかと訪ねてきた。
そこまで急いでいるわけでもないのでいいですよと言って明日になった。
「それじゃあ早速新しいメニュー開発に取り掛かりますか!」
買ってきた食材をとりあえず袋から出し包丁でそれを切っていく。
こんにゃくやはんぺんや餅巾着を鍋の中に入れおでんを作っていく。
しばらくするとおでんのいい匂いが鍋から漂ってくる。
おたまで少し汁をすくいちゃんとできているかどうか確認する。
「よしこれなら大丈夫」
「お待たせしました故郷の味を思い出せる優しいおでんでございます!」
店員さんのような丁寧な口調で言いながらテーブルに運ぶ。
「それはメニューの名前ですか?」
「いいえどちらかというとこのメニューのキャッチコピーです」
「いただきます」
私も座り同じものを食べる。
「このおでん僕が今まで食べてきたものとは少し違う味がします」
「はははそれはですね普通のものとは少し違う昆布を使って出汁を取っているからなんですよ」
自慢げな口調で言う。
「昔から料理してたんですか?」
「色々な料理を作っていた記憶はあります」
「具体的にどういうものを作っていたのかまではあんまり覚えてないんですけど」
それから今回買ってきた飾り付けをどうやって飾り付けるか話し合いながらご飯を食べ終え眠りについた。
次の日になり3人で空き部屋を掃除することになった。
「さてみんなで掃除を始める前にまずはこれ起きてもらう」
そう言って大家さんから手渡されたのは掃除の道具と埃をかぶらないようにするためのエプロンと三角筋。
それを身につけいざ中に入る。
中に入ってみると、かなりのゴミ屋敷を頭の中で想像していたのだが意外とそんなことはなくただたくさんの段ボールが積み上げられているだけだった。
「この建物自体はかなり古いけどお店としては十分にデザインすれば使えると思うからみんなで頑張ろう!」
それから3人で役割を決めその決められた場所を徹底的に掃除する。
まずは積み上げられている段ボールをどかしちりとりを使い埃をなくしていく。
それから3時間後。
「中の掃除は大体終わったからこれから飾り付け!」
大家さんに飾り付けまで手伝ってもらう。
ついさっきまでダンボールを積み上げられ薄汚れていた場所とは思えないほど綺麗になり飾り付けもして華やかになった。
「よしお店をオープンだ!」
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