第5話 切迫
余りの寒さに居酒屋に入る。山口といえばフグだ。
フグのから揚げを食べたが、チェーン店だからか骨が多くあまり美味しくなかった。
酒を呑んだために車中泊の間尿が我慢できなくなり、ビニール袋に尿を出す。
寒い。まさか人生において自分の尿で暖を取る日がくるとは思わなかった。
早朝小さな家のような会場に向かう。
試験と言うより学校の授業だ。介護の仕方の実技、勉強、意見交換、感想で終わった。
帰りしなに来ていた男から電話番号を書いた紙を渡され「いらなかったら関門橋に捨ててください」と言われたので、遠慮なく捨てた。
資格は取れたのでもうあのセクハラの酷い職場に行く意味がない。
男たちの野蛮な顔を見る気にならず翌日から仕事は飛んだ。
その後リフォーム会社で働きだした。
毎日身体がきつくて幹人との会話も少しずつ減っていく。
一年が経ったが鬱病は治らないため、ある日重い鬱が襲ってきた日に幹人に「もう別れよう」と告げた。
「嫌だ。何か悪い所があったら直すから」幹人は逢えない亜紗に食いつく。
それから四日ほど連絡を無視したが、鬱が消えていき「ごめんね」と謝り事なきを得た。
ある日差出人不明の荷物が家に届いた。
確認すると一つは亜紗の首の写真と別人の身体を合体させたアイコラのようなもので首が切られているように見える。
もう一つは黄色い布にくるまれた包丁だ。
すぐに警察に持って行き指紋を取ると、犯人はリフォーム会社の親方だった。
しかし警察は「犯人はわかりましたが脅迫にもならないから警察は動けないんですよ」と言い何もしてくれない。
一週間に一度ほど深夜の2時過ぎになると玄関がけたたましく鳴る。
都度警察に助けを求めたが犯人はすぐに逃げて捕まえることができない。
ほぼ確実に親方だろう。
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