第6話 幹人の想いと亜紗の想い
幹人にも相談したが、距離が遠すぎて何もできない。
だが「すぐに仕事辞めて。金は俺が頑張るから」と言ってくれた。
その言葉が救いにはなったが、不安と恐怖で鬱病が悪化した。
亜紗は希死念慮が酷くなり、自殺未遂を繰り返す。
ふと思いつき幹人に「さようなら、愛してる」とラインを送り首を吊った。
幹人はすぐに警察と救急に連絡したらしく、家に大勢の人が到着した。
薄れていく意識の中で運ばれ、命を取り留めた。
その後精神病院に強制入院になり半年病院で過ごし、3か月二重扉の奥で暮らす事になる。
最初の二か月はスマートフォンすら取り上げられ幹人に連絡ができず、スマートフォンを再び手に入れて、幹人にラインをした。
「心配かけてごめんね。ありがとう。元気だよ」
すぐに電話がかかってきて幹人から「良かった」と泣かれた。
普段よりも多く連絡してくれる。ありがたいと思う。
亜紗もその日の飯や入院患者の事を話した。
精神の論文を読み漁り、退院の項目を丸暗記し担当医に告げ退院となった。
飛行機に乗ることが出来ず、金も無い。生活保護を受け、質素に過ごす。
幹人に逢いに行くことができない。
一年に一度幹人が逢いに来てくれないと逢えなかった。
下手をしたら一年に一度も逢えない。
こんなペースで幹人は浮気していないだろうかと猜疑心が高まる。
毎年、新潟の長岡花火に男だけで行くと言われてたが女と行っているのではないかと思い、幹人に行かないでと告げた。幹人は花火が好きでも従ってくれたが、そのうちにラインが「おはよー」と「おやすみー」程度しか無くなった。
だが、仮に浮気をされていても構わないと思える。
元気であればそれでいい。ただ愛している。
幹人も同じ気持ちならいいのだが。
代わりに年に一度逢った時は思い切り愛し合った。
幹人が逢えない間、何をしているのかを想像だに出来なかった。
後々に知り、亜紗は自分を責めることになる。
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