第4話 資格と狼たち

介護の資格を取るのはハードルが高いし、目的はいつか幹人の両親の世話をするためなので”障がい者の在宅介護”の資格にシフトチェンジした。やる事は同じだ。


ようにやく外に出れるようになった身体を引きずって、無資格OKの所に面接に行った。12時間勤務で、思っていたよりかなりハードだ。人一人の世話をするのはこんなにも大変なんだと痛感する。


先天性の障がいなので体重自体は軽く身体も小さいのに、動かない人を動かすのは重労働だった。

やり取りは、簡易なキーボードか聞き取りで行う。

二日目に「見つめないで、好きになるから」と言われた。いいえ、これは「見守り」です。


三日目に初めて夜勤に入るのに先輩が付き添いをする。

深夜になり「亜紗さん、仮眠取ってもいいですよ」と言われ小さな座椅子を倒して横になった。

触られる感覚で目が覚める。

「僕じゃダメですか…?」先輩が亜紗の背中を抱きしめていた。意味がわからず寝たふりをし、何とか朝を迎えた。亜紗はキャバクラでナンバーが取れる容姿をしていたし、もしかしたら気付いていないだけで亜紗が思わせぶりな態度を取っていたのかもしれない。


全従業員は男3人と女3人だった。

歓迎会が開かれ、二次会に移動になった。二次会はクラブで、皆酔っている。

背中を抱きしめてきた男から腕を掴まれ無理やりにキスをされた。


急ぎ荷物をまとめ帰ろうとすると、もう一人の男が胸を揉んできた。

「なんだこの職場は」と強く思う。二人の男の腕を振りほどき帰路に着いた。


翌々日に山口県まで資格を取りに行った。資格と言っても一泊二日で取れる簡易な資格だ。

雪の積もる日で車のヒーターが壊れていて、車中泊だったので死ぬ目に遭った。

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