第3話 騎士
いつの間にか仕事は幹人のためではなく愛猫のために変わった。
約一年で300万程治療費がかかり、最期に大きな発作が起き愛猫は息を引き取った。
愛猫との別れは大きなダメージとなり、亜紗は鬱病とパニック障害を引き起こし飛行機に乗ることはおろか、仕事にも外出すらできなくなった。
外に出るのが怖い。
幹人にそれを伝えると金を貯め、半年後に逢いにきてくれた。
幹人はただ落ち込む亜紗を慰めてくれ、空港に幹人を送った後にラインが届いた。
「無事着いたよ。コタツの下見て」
コタツの下を覗くと、手紙がある。
恐る恐る開ける。
「喋る薄い箱の裏」
喋る薄い箱。散々探すとテレビの裏にまた手紙が置いていた。
「夜に時折騒ぐ布の下」
夜に時折騒ぐ布の下。布という事は布団かと思いベッドの下を覗くとまたも手紙が入っていた。幹人のジョークだ。
「ボラクエの中。亜紗を助ける五人の騎士」
ボラクエのソフトの箱を開けると中に5万円が入っている。
幹人にすぐに連絡した。
「これ何!?どういう事!?」
「亜紗今きついから、頑張った。生活費の足しにして」
「…ありがとう…愛してる」自分の口から出た言葉に驚く。
愛してる、などと人に思ったことはない。
自然と「俺も愛してるよー!」と返ってくる。
愛猫が亡くなり半年で初めて笑顔になれた。
それからも毎日仕事の合間を縫っては何度もラインが届いた。ずっと幹人は気にかけてくれている。
もうこの人しかいないと真に感じる。
幹人との結婚もふんわりと頭に浮かんだ。
もし結婚したらと思い、将来幹人の両親の介護を考え努力し資格を取ることに決めた。
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