そら、やっぱりアメリカといえばまずはこれですわね。

シーズンオフなので、シャーロットの選手の姿は見当たらなかったが、他にもお偉いさんが何人かやって来たりして、サムライの所作を披露して上手くツカんだりしながら、にこやかに写真撮影などをしながら挨拶を済ませた。




「午後2時過ぎですか。桜井さん、黒崎さん、2人お腹の方は?」



「最近またちょっと出てきた気がするんですよね……」



「私も最近は新井さんのためにシャーロットについての調べものばっかりでなかなかジムに行けなくて、なまり気味で……」



「あの、空腹かどうかを聞いたんですけど……」



アメリカに来た途端、急にボケ出した2人に若干呆れながら、タクシーを呼びつつ、その黒崎さんの努力を発揮する形でおすすめのレストランを紹介してもらった。



グリーンオブシャーロットから、車で10分掛からないくらい。少し大通りから外れたところにある、シックな雰囲気のレストラン。



とはいえ、それなりに可愛らしいキャラクターを広告に起用しているようなお店に比べると、ちょっとばかしお高いところではある。



メニューには、写真付きで欧米や洋食を中心として並んでおり、やはりUSAですから、3人とも、85ドルのステーキセットを注文した。




アメリカ料理と言われてもあまりピンと来ないが、やっぱり1発目はステーキでしょうと、ワクワクしながら待つ。



サラダやスープなどの前菜を運んでくれた、背の高いブロンドのお姉ちゃんや少し赤い髪色のシュッとしたお兄ちゃんに、調子に乗ってチップを渡したりしながら。



ジュワー、ジュワーと、肉汁をほとばしらせながら、お待ちかねのステーキが登場。



俺と黒崎さんの30代コンビが選んだのは、400グラムオーバーのサーロインステーキ。



程よい脂身とのバランスで食べ応え十分。




桜井さんは年齢的にちょっとそれはきつかったみたいで、少し小さめのフィレステーキをオーダーしていた。



そしてチップを渡したことで気分をよくしてくれたのか、選ばなかった方のステーキソースも、持ってきてくれたり、パンのバターをサービスしてくれたりしてもらった。




そんなステーキにナイフを入れ、バクリとひとくち。




美味い。



正直、アメリカのステーキってどうやねんと疑っていた部分もあったが、素直にごめんなさいをした。


文句なくジューシー。脂身もしつこくなくて、ペッパーがよく聞いたソースも合う。パンもふかふかで食べやすいし、付け合わせのマカロニチーズやフレンチフライも絶品。



「黒崎さん、俺もフィレステーキの注文を」



「さすが!よく食べますね!!」



サーロインステーキに続いて赤身の旨味がたまらないフィレステーキもペロッと完食。



ブロンドのウエイトレスのお姉ちゃんにウインクをいただきながら、俺は満足してお店を出た。




その日は、早めにホテルにチェックインして体を休めた。ゆっくり湯船に浸かり、コーラとアイスを食し、晩飯のバイキングでも腹いっぱいにいただく。



翌日は朝から、目をつけていた物件を見に行った。



スタジアムから車で15分くらいの場所にある住宅地の中にある10階建てのそこそこ高級なマンション。



近くには双子ちゃん達が通う予定の日本人学校があり、マンションの横に、日本の食品を扱うスーパーと、ドラッグストア、警察署も側にあって比較的治安も良さそう。



道路も広くて、ちょっと歩いた先にはきれいな公園もある。



それにシャーロットに住んでいる日本人が多く住んでいる区画とのこと。



早速内見に行ったのだが、玄関の入り口からして、白色で統一されたお洒落で洗練されたデザイン。入ってすぐにコンシェルジュルームがあり、正面に4機のエレベーター。1番左が9、10階に住む住人用のエレベーターであり、ほぼ待ち時間はなく、快適に使える。



到着した10階のフロアは、2戸区切りの下のフロアよりもさらに広々とした空間だった。



もうキャッチボール出来るようなロビーですもの。中階層にはジムフロアもありますし。



部屋は1つ1つがゆったり目の3LDKでありまして、こんなに広いなら2Lでもいいかなあと思ってしまったがおおむね気に入ったのだった。




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