試合より疲れそうですわぁ。
朝ご飯を食べるのか食べないのか分からん状況ですから、大皿に乗っけたサンドイッチにラップしてテーブル置いとくのが1番なんですよ。
俺も朝7時半くらいに置きて、寝起きのコーラをいただきながらお正月の早朝お笑いにチャンネルを合わせて、1人モクモクと山のように積まれたサンドイッチを食べる。
洗濯してた母親と庭の水やりをしていたおばあが踊りながら戻ってくる頃、隣の部屋からのっそりと親戚の子供達も起きてくる。
頭の半分は寝癖みたいな状態の癖に、お年玉をもらった直後ですから、分厚い新聞チラシの中から、まるでドラをめくるようにして、おもちゃ屋さんのチラシだけを抜き取っていく。
そして、8時半を過ぎた頃になると、俺を包囲し始めるのだ。
おもちゃ屋さんに向かうアッシーが必要ですから。
サンドイッチをモグモグしながら、小学生の子供達が結託して、テーブルの真ん中に座る俺を取り囲む。
膝の上に、何も分かっていない2歳児を乗せ、パチンコ屋に行かれないように車のカギを隠し、トイレに立てば見張りを出し、寝ようもんなら、丸めた新聞紙で叩き起こされる。
そして、おもちゃ屋が開店する午前9時前になると、連れてけ、連れてけモードになり、テレビの前で大騒ぎ。こっちの、箱根駅伝の、せめて2区が終わるとこまで見させてくれ!
という願いなど聞き入れてもらえることはなく、渋々車を運転させられるのである。
おもちゃ屋に着くと、この世で唯一の楽園に入り込んだかのようなはしゃぎっぷりで、自分のお目当てのゲームやおもちゃやお人形やら、カードゲームやらに一直線。
限りあるお年玉との兼ね合いの中で、選びうる最高のチョイスを狙い、込み合う店内から、ホクホク顔で俺の元へ戻って来るのである。
そして、すぐに帰れば、こちとらゆっくりと正念場の山上りのシーンを観戦していきたいのに、買ったゲームの相手やおもちゃの組み立て担当にさせられ、あっという間に昼飯の時間になってしまう。
そんな子供達が、気付いたら中学生、高校生になり、今度はわたくしの双子ちゃんや妹のナナちゃんの遊び相手になってくれるわけですから、涙が流れますよというお話をしたりで、ラジオの時間はあっという間に過ぎていってしまった。
年内の公式的なイベントが終わると、プロ野球ではドラフトやら、契約更改やら、自由契約やら、新助っ人マン加入やら、そういう話になるのだが、チャンピオンに輝いたチームとして忘れてはいけないのが優勝旅行である。
行き先は、ハワイ。選手はもちろん、家族6人まで旅費が球団持ちとなる待遇にテンションは爆上がりとなるも、新井家は残念ながら不参加。
シンプルに赤ちゃんがいますのでね。飛行機に乗れないことはないのだが、まだ色々と大変ですし、来年の準備があったりするので、見送った形になった。
その代わり!
2度目の打率4割。しかも、記録更新の4割0分6厘をマークした俺は早速球団本社に向かい、話し合いの場を設けてもらった。
何とか部長と経理部の方と、選手管理顧問のおじさまを招き、3泊4日の浦安満喫ツアーの計画書を提出したのだ。
生まれて半年の赤ちゃんがいる新井家、柴崎家、桃白家の3家族が行く、豪華リムジンツアー。
宇都宮中央交通というところと付き合いのある、リムジンカーのレンタル運営をしている会社で所有する最高級の8人乗りリムジンを手配しまして。
昼の10時に宇都宮を出発し、東北自動車道に乗って、川口ジャンクションで一旦休憩とお昼ご飯。浦和まで行ったらそのまま首都高に突入し、浦安のランドに横付けで入場していくという流れ。
多分午後3時ぐらいに到着しますから、まずはショップでグッズを購入し、それを装着して、園内をゆっくり見て回りながら、ライトなアトラクションを2、3個乗る。
頃合いを計りながらベストポジションに移動して、夜のパレードを見て、ホテルに戻ってディナーを楽しむ。
というわけで、次の日の朝を迎えると………。
「おとう!どうしよっ、どっからいく!?」
「まあまあ。もちつけ、もちつけ。ランドは逃げたりしないさ」
「パパッ!2人だけで走っていかないでね!もみじのこともちゃんと連れていってね!」
「にいちゃん、ナナも!ナナも!」
「分かった、分かった。置いていったりしないから、落ちつけって。迷子になるなよ」
双子ちゃんだけでなく、30歳離れた伝説の妹もおっきな耳バンドを付けて大興奮して、朝から大変な騒ぎだ。
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