たまにはそっちにもね。
「現状借金が2つ。自力優勝というのがなくなってしまい、残り3試合Aクラス入りへ後がないレッドイーグルス。
一方ここに来て5連勝。東京、埼玉の優勝争いに割り込んできたビクトリーズとの対戦です。ポイントはどこになりますか」
「両先発の外国人ピッチャーの出来でしょうね。中5日のアルバレスと、中6日のアンデルセン。どちらも充実した内容のピッチングを最近はしてますのでね、もうこの両左腕。2人の出来でしょうね。この試合は」
ビクトリーズ、初回の攻撃。東北さんの先発ピッチャー、アルバレスの持ち味は150キロを軽く越えてくるストレートに、スライダーとチェンジアップ。どのボールでもカウントが取れて、どのボールでも決め球に出来るという理想的な配球を常に繰り広げてくる。
そのピッチャーの弱点とまでは言えないが、攻めどころは立ち上がり。防御率の割には序盤の失点が目立つタイプで、まさに初回の攻撃はこの試合最大のポイントといっても差し支えなかった。
今日も、キレのあるボールがビュンビュン。それを追い込まれた並木君が必死に食らいつく。
追い込まれてからも際どいコースをファウルで粘り、フルカウントまで持ち込むと、最後はチェンジアップが高めに外れてフォアボールとなった。
「走った!!」
1度牽制をもらった後の初球。1塁に歩いた並木君がスティール。いいスタート。ボールは真ん中低めのストレート。キャッチャーの送球が僅かながら高めに浮いた。
「タッチ!……セーフ!!盗塁成功です!!並木は今シーズン20個目の盗塁!自己最多に並びました!チームでは柴崎の23個に次ぐ、リーグ3番目の数字です!」
「スタートがよかったですね。キャッチャーもいい送球をしましたが、あのスタートを切られると難しいですよ」
ノーアウト2塁。もしかして、送りバントもあるのでは?と思ったが、さすがにそれはなく、それでも出たサインは右打ちの指示。
1つストライクを見逃して、次のチェンジアップを合わせた。
カンッ!!
「新井の右方向!!しかし、これはセカンド正面でした。深田が捕って1塁送球。1アウト3塁です」
もうちっとファースト側に転がしたかったが、まあ進塁打ですからいいでしょう。打率は下がりましたが、チームメイト達から褒められながらベンチに戻った。
「スクイズだー!!」
1ー1からの3球目。投球動作に入った瞬間に、並木君がスタートを切り、祭ちゃんがバントの構え。
察したピッチャーが外角高めに外したが、祭
ちゃんがバッターボックスの外に向かって飛び上がりながらバットを伸ばした。
その投げ出すようにして向けたバットの先っぽにかろうじて当たったボールが1塁線にビタン。
見事なバックスピンでラインの上に止まり、キャッチャーが3歩前に出て、素手でボールを拾って振り返ったが、並木君が頭から滑り込んだ。
立ち上がって1塁に向かう祭ちゃんを追い越すように送球するだけ。
初回から決死のスクイズでビクトリーズが1点を先制した。
その1点をアンデルセンが守る。140キロ後半のボールを小さく動かしながら凡打の山を築き、5回までに奪った4つの三振は全て見逃しと、コントロールも抜群。
「選びました!!1アウトから、並木が今日2つ目のフォアボールで出塁します。その初回には初球から果敢に盗塁も決めましたが、バッターとのコンビネーションで攻める形もあるかどうか」
「可能性はありますよね。初回よりもさらに盗塁は警戒されますから、並木を走らせて新井が1、2塁間を狙うという作戦は理想的ですね」
「初球です。………走った!新井は打つ!!低めを拾ってレフト線だ!!右か左か!?………フェア!!フェアです!並木は2塁を蹴って3塁へ向かう!!
打った新井は1塁を大きく回ったところで止まりました!!エンドランという形でした!1アウト1、3塁!!6回、ビクトリーズが追加点のチャンスです!!」
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