まだ一応は諦めませんわ!

残り10試合。借金4。



非常にまずい状況である。



しかし、まだ逆転優勝の可能性がなくなったわけではない。



最下位の横浜が借金13ある中で、4位東北は借金3。3位に落ちた北海道は借金1。そして並んで首位の東京と埼玉が貯金5ずつ。



北関東ビクトリーズが参入して以来初めてと言える未曾有の大混戦。とはいえ、ビクトリーズが優勝ないし、Aクラスというところに食い込むためには、冗談ではなく、残りの試合を全て勝つ勢いでいかなくてはならなくなった。




その残り10試合、最初のカードは東京スカイスターズとのビジター3連戦であった。



試合前の平柳君に、優勝への踏み台にさせて頂きますよと言われてしまったが、その横にいる佐藤さんと4番である吉原君の姿がなかった。



どうやら佐藤さんは連戦の疲労からか体調が思わしくなく、球場にすら来ておらず、吉原君は前の試合のデッドボールの影響でバッティング練習も、シートノックも不参加だった模様。



とはいえ、1ヶ月で5位から同率首位に上がっていったチームですから、当然安心など出来ない。



まずは10勝目を目指す向こうの若手左腕から先制点だ!こっちは絶好調のアンデルセンだから、先制すればいけるぞ!という雰囲気だったのだが…………。




シュドッ!!






「レフトー!!1歩も動きません!!何処までいくか!?うわぁー!!看板直撃!!リニア東海道の看板に当たりました!!マテルの満塁ホームランでビクトリーズが先制です!!第21号になりました!」




ごめんなさい。2塁から見ていて、ちょっと打球がどこまで飛んだのか分かりませんでしたわ。



壁なのか看板なのか看板の下だったのか。とにかく特大。



初回にいきなりのお満塁。



並木君がセンターにヒットを放ち、俺が粘ってフルカウントからフォアボール。祭ちゃんが送って、芳川君はつま先をかすめるデッドボール。



そしてマテルがインコースをドカン。




この4点と3回には祭ちゃんにも2ランが飛び出しまして、それで決まったような試合になりましたね。



先発したアンデルセンは、持ち味である省エネピッチングを存分に発揮して、5回62球、無失点でマウンドを降りた。



いくらなんでもと言われてしまいそうだが、ビクトリーズは残り10試合を14日間で戦う。



スカイスターズと3連戦



1日空き。



埼玉とビジターで2連戦。



1日空き。



北海道とホームで2連戦。また1日空いて東北と2連戦。



そして1日空いて、雨で流れたホームのスカイスターズ戦がレギュラーシーズン最後となる。



その14日間で未だ負けなしのアンデルセンを3回先発させようというそんな魂胆である。





もちろん、試合に確実に勝つことが1番の目標ではあるが、序盤のホームラン2本で6点リードは本当に有り難かった。



試合前に肩を作るために投げた数と変わらないね。



とアンデルセンが言っていたくらいの球数で勝利投手の権利だけを持たせてマウンドから下げた阿久津監督。



こうなった時のためにと、いつもよりリリーフを1人多く登録しましたから、6回は2軍から上げたばかりの竹倉。7回は酒屋君。8回はブライアン。9回は高久。



結果猛打賞だった平柳君に最後2ランを浴びるも、試合は4点差で快勝。勝ちパターン温存と、残り10試合の初戦を勝利。逆転Aクラス入りへまずはいいスタートを切ったのだった。





スカイスターズとの2戦目の先発は連城君。序盤3回は4つの三振を奪うなどいい立ち上がりだったが、復帰した佐藤さんと平柳君に連続ツーベースを浴び、ワイルドピッチからこの日はサードでなくDHに入った吉原君に犠牲フライで2失点。



しかしなんとか6回までは投げ、その2失点で踏ん張っていた。



そしてやってきたビクトリーズのラッキーセブンの攻撃。




6番の赤ちゃんセカンドゴロ。柴ちゃんがヒットと盗塁。桃ちゃんがサード強襲の内野安打。ノッチの代打横田が内野フライ。並木君がフォアボールで、2アウト満塁という場面で俺に回ってきた。



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