第13話 ガルドと卵の意思
「じゃあ他の子はここで待っててね〜診断はそれぞれで順番にやっていくので〜」
「では、コトリちゃんこっちへおいで」
「はい!」
「みんな行ってくる!」
「・・・」
「えっ・・・」
「・・・キャキャキャッ」
「あー・・・行ってきます,,,,」
「あはは!コトリ張り切り過ぎだって(笑)」
「楽しみなんだもん!キッカちゃんもでしょ〜??」
「いいから早く行きな〜(笑)先生待ってるよ」
「はーい」
「じゃあ行きますよコトリちゃん」
「はい!お願いします!」
流行る気持ちを抑えて、ハヴァ先生とシグナス先生が待つ扉の前に向かった。
スタスタスタ…
「コトリちゃんあれから卵のことどう?」
「シグナス先生・・・私はこの卵を渡された時にも感じたこと。理由は分からないんですけど守りたいなって気持ちが強くなってきているかなって思います」
「そっか!よかった〜!その気持ちを大事にね」
「じゃあ私はここで待っているからハヴァ先生とこの扉の先に向かってね。そこで診断をしますので」
「シグナス先生はここまでなんですね。」
「はい、待っていますので行ってらっしゃい!」
「はい!行ってきます!」
「じゃあコトリちゃん行きましょ〜!」
「ハヴァ先生よろしくお願いします!」
ガチャ……
扉のドアを開けたハヴァ先生に後押しされ先に進んだ。
スタスタ…..スタ
スタ…..スタ…..スタ
「・・・!」
そこにはまたこれまで見た世界とは異なる空間が、そしてこの世界に来た時に壇上で話していた2頭身のニワトリが少し奥にポツンといる。
この空間はそう世界樹リーファの中心部のような場所。
周りはたくさんの大きな木の根っこが交差して壁になっており、守られているような感覚さえ感じる。
中央には根っこで出来ている台座、その上にはどっしりとした鳥の巣が置かれており、その台座を照らすように真上から光が差し込んでいる。
まるで、この大樹が吸収した太陽のエネルギーが一点に集まり照らしているような。
「・・・すごい‥」
「ここが卵の診断をする"カミノミチシルベ”と呼ばれる場所です」
「コトリちゃんにはこれからあの中央にある台座の上の鳥の巣に持っている卵を置いてもらい診断が始まります」
「はい!・・・先生?診断ってどんなことをするんでしたっけ??」
「具体的には、卵の健康状態と成長度合い、それとあなた自身の状態を調べる感じですね〜」
「診断の結果は奥にいらっしゃるガルド校長先生からお伝えする形ですね〜」
「な…なるほど」
「特に怖いことなどはないから安心してくださいね〜では置きに行きましょ〜」
「はい!」
スタスタスタ
台座の目の前。
どれくらいの時間が経っているのだろうと感じるくらいのオーラがあるそれは、でも古いとかではなく凛としているというか・・・
「コトリさんこんにちは。ではではあなたの卵をその巣に置いてくださいな」
「はい!校長先生よろしくお願いします!!」
ガルド校長と直接会話したのはこれが初めて。
台座の奥にいる校長先生は、見た目の通りで全ての人がそうだと感じるような優しいお爺ちゃんみたいな空気を感じる。
見た目は・・・地面までつく長い真っ白いお髭が特徴的で、小さな丸メガネとフサフサの眉毛をした2頭身のニワトリさん。
ゴソゴソ・・・スッ…
ふろしきに入れて持ってきた卵を取り出した。
「・・・これを・・ここに」
フサッ…
割れない様にゆっくり置いた。
「これで・・・いいのかな・・?」
……
ファー…
「!!!!」
真上から差し込んでいる光が卵にあたりだんだんと光り始め・・・
その光はそのまま卵を包みこみ、この空間自体も明るく照らし出した。
パァーーー
光出した卵と同様に奥で立っているガルド校長も光に包まれ光り輝く。
シュワン……ファン!!!!
……
そして光に包まれ瞬く間にまた同じ空間に戻った。
「・・・・わぁお」
あっと言う間の出来事だった。
これまで経験のない数秒。
上下左右真っ白い世界のような空間。
「・・・あっ」
ふと見ると卵に少しの変化が見られた。
色などは特に変わりはないが卵の側面に羽のような模様が浮き上がってる。
「・・・なんだろう。。?」
「コトリさん、お疲れさまじゃ。これで診断は終わり」
「あっ・・」
「それでは卵を持って私のほうに来てくださいな」
「はい!」
スタスタ…
ガルド校長の言われた通り、羽のマークが浮き出た卵を持って近づいた。
「ふぉふぉふぉ、コトリさんはちゃんと卵を育ててくれてるみたいじゃね」
「えっ??どうしてですか??」
「診断の結果でじゃよ」
「!??」
「先ほど台座に卵を置いてくれたことで、その卵とわしが世界樹リーファによって繋がり色々と見ることができたのじゃ」
「それによるとなぁ」
「は、はい!!」
「卵の健康状態は二十丸で成長度合いも同様にスクスクと成長しておるぞ!」
「そしてあなたの状態は・・・少し心に疲れが見られるけどなぁなにか心当たりはあるかのぅ?」
「あっ・・・ちょっとだけ・・」
テストの回答のような結果を言われた。
でも本当だろうって思ったの。
なぜならその後に心の疲れのことを言われたから・・・
同居している子達とまだ上手くいかないところがあるし、私の性格のところで言い過ぎて傷つけてしまったことも・・・
だから、ガルド校長先生が伝えてきたことが本当だと思った。
「そっかそっか〜でもの、あなたなら心配せんでも大丈夫じゃ!」
「これから徐々に引っかかっているものも解け、いい形になっていくから安心せぃ〜」
・・・嬉しかった。ホッとした。
本当に自分の親に言われたような安心感で涙が出そうになる。
「あ・・・ありがとうございます,,,,,」
「コトリさんは大丈夫!そのまま自分が感じたもの思ったものを信じるんじゃよ」
「それが・・・」
スタスタスタ…ファサ
コトリに近づいて卵に直接触れた。
「・・・・・・」
「この子のためにもなるからのぅ」
「・・・は、はい!!!」
涙ぐんだ声を堪えて大きい声で返事した。
「うんうん〜!そして最後の言葉をのぉ」
「最後の言葉??」
先生達から聞いていた診断内容は全部聞いたけど・・・?
卵に触れたまま口を開いた。
「大切にしてくれてありがとう〜とっても嬉しいよ〜」
「それがこの子の気持ちじゃ」
「あっ…えへへ、、よかったぁ」
「あなたならきっと最後の試練もこの子と共に達成できると信じてるぞ」
「はい!!」
卵の健康診断が終わった。
ガルド校長先生、私の心、そしてこの卵の声。
意識してなかったけど、卵には意思がある。
それが分かっただけども大きな一歩。それとありがとうの声が聞けて安心した。
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小鳥の軌跡-コトリのキセキ- 初めての書き出し小説風 @mako1990_02
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