第10話 切なる願い
「では2つ目のお話です」
「それは、あなた達に卵を渡してもう1ヶ月経ちますので、卵の健康状態などを検査をします〜」
「卵の・・・健康診断??」
みんながキョトンとした表情をしてる中、コトリが質問した。
「そうです、健康診断です〜」
「卵はもちろんですが、あなた達自身の状態や"シンアイ"率などを調べます」
「・・・シンアイ率??」
「先生!シンアイ率って何ですか?」
「卵とのシンアイ率です〜」
「…それってどうゆうことですか??」
「うーんと…卵をお渡しした時に私から大切にしてほしいってお伝えしたかと思いますが、その理由がありまして〜」
「その卵には皆さんと同じように意思があります」
「そんな卵とあなた達自身との"シンアイ"率を調べるってことです〜」
「・・・」
「わかりやすく言うと、卵からどう思われているか!を聞くってことですねぇ〜」
「卵をお渡ししてからどんな風にしていたか?あなた達自身がどんな感情を抱いたのか?そして、そんな時間を過ごした中で卵がどんな風に思っているか?を調べるためです〜」
「卵が私のことをどう思っている・・・か」
「そうです〜、なので必ず参加してくださいね〜」
…
健康診断と聞いて、なんとなくどんなことをするのかは理解していた。
けど、卵が私のことをどう思っているか?なんて想像していなかった。
そもそもこの卵がなんなのかも分かっていない。
来る時がきたらこの卵をとある場所まで配達するとしか言われていない。
それでも、初めて卵を渡された時にコトリは大事にしたいって感じた。
理由は分からない、でもそう感じた。
チラッ…
卵に意思があるなんて思っていなかったけど、シグナス先生の説明を聞いて卵が私の事をどう思っているのか知りたいって思った。
そして出来るなら対話もしてみたいって。
持っている卵に視線を向け小さく呟いた。
「あなたはどう思っているかな?」
…
「さて、話が長くなってしまいましたが、私が今日伝えたかったことは以上です〜」
「なにか質問などはありますか〜?」
スッ….
ミネリアが手を挙げた。
「はい、ミネリアちゃん〜」
「診断の結果、"シンアイ"率が低かったらどうなるんですか?」
「う〜ん、、、なにか罰則があるとかは特にないですね〜」
「ただ、卵の成長や状態が悪くなってしまい、たぶん結果的にあなた自身が傷付いてしまうことがあるかもしれません」
「よく分からないですよ先生・・・」
「あなた自身が卵に対してどのような思いを感じどうしたいか?が大切なことかなって思いますね〜」
「・・・はい」
「ではもう今日は遅いのでこれで失礼しますね〜」
「あっ最後に・・・」
「先生なんですか?」
「前にも言ったことですが、私としては!みんなに渡したそれぞれの卵、どうするかはあなた達次第ですが、どうかどうか大切にしてほしいです」
「健康診断まで時間は少ないですが、今一度その卵と向き合って自分がどう感じ、どうしたいのか見つめる時間を作ってください」
「その時間がいつか卵にとっても、あなた自身にとっても大切なものになるはずですから」
また最後の先生はいつもと少し違った。
「・・・わかりました」
強制とも違う、先生がするべき事だからとも違う。
そう、まるで切なる願いをするような感じの・・・先生だった。
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