◆偽御嬢様の心の半分が彼で占められるようになった経緯
18歳の青年・有栖川合(ありすがわ ごう)。
彼はまだ若輩者ながら、亡き父の跡を継ぎ、星河丘財閥総帥の懐刀(表向きは秘書兼護衛、裏では直属の非合法工作員)として、忙しくも充実した日々を送っていた──のだが、その総帥の命令で、彼の孫娘の護衛+学友として、鳳翔女学院高等部に転入することになる。
「あのぅ、
「なに、2年くらいサバを読んでも問題あるまい。なんなら、病気で1年留年したことにすればよかろう」
「鳳翔女学院って、入学するのに学業だけじゃなく、血筋とかも考慮されるって聞いてますよ?」
「案ずるな、我が星河丘家の分家筋ということになっている新しい戸籍を用意してやる。学業面も、お主、大検合格レベルなのじゃから問題あるまい」
「たとえ、それらの条件を力技でクリアーしたとしても……私、いえ僕は、れっきとした男なんですよ!」
「大丈夫だ、問題ない」
「問題大アリじゃ、クソ爺ぃ!!」と絶叫したいのは山々だったが、それが言えないのが雇われ人の哀しさ。
しかも星河丘財閥を辞めようにも、これまでに後ろ暗い
不承不承、合は1ヵ月間の(女の子になりきるための)特訓の後、星河丘傘下の研究室で作られたという性転換薬を飲まされたうえで、「18歳の少女・川合ありす」として鳳翔女学院高等部二年B組に転入。総帥の孫・星河丘姫乃やクラスメイトたちと親交を結ぶことになる。
姫乃には「“彼女”が護衛として彼女のそばにいる」ことは伝えられてはいたが、聡明かつ天真爛漫な彼女は、ありすと友達となることを望み、その願いにほだされて“彼女”も徐々に本心から姫乃に友情を感じるようになっていく。
そして転入から半年後、3年生に進級し、ありすも、すっかり学院での毎日に馴染んでいた。
学院内はもちろん、寮暮らし(しかもルームメイト有り)なので、実質24時間フルタイムでお嬢様女子高生として生活しているのだが……。
元々“素質”があったのか、今では姫乃と並ぶ「憧れのお姉様」として下級生(一部同級生)の崇敬を集める身となっていた。
すでに姫乃と共に同学院の大学部に進学も推薦で決まっているため、「このまま、こんな穏やかな日々が続くのも悪くないかも」と思っていたありすだったが、休日に町に買い物に出かけた帰路、中学の時の友人・礼司とバッタリ出会い、“彼女”が有栖川合だと見抜かれてしまう。
「もしかして脅迫される?」と身構えたありすだったが、事情を聞いた礼司は「ずっと女のフリしてると肩が凝るだろ。息抜きがてら、これからも時々会ってバカ話でもしようぜ」というだけだった。
以後、成り行きで、月に数回程度、礼司と会うようになるありす。
「しかし……昔を知ってる俺から見ても、今のお前さんは、まるっきり鳳女のお嬢様にしか見えんなぁ」
「あら、それはもちろん“本物の鳳女学院生”ですもの。これでもわたくし、今年度の
澄ました顔でそんなことを言うありす。
そんなやりとりが続く中、徐々にありすと礼司の関係も変化していく。そう、単なる旧友から、友達以上の“異性”を意識した関係に……。
「本当によろしいのですか? ご存じの通り、わたくし、本当は……」
言いかける彼女の口を己の唇でふさぐ礼司。
「ああ、もちろんだ。今のオレの目の前にいるのは、可愛らしく、限りなく愛しい、川合ありすって女の子だけだからな」
──ついに身も心も深く結ばれたふたり。
その頃から、「ありすに恋人がいるらしい」という噂が学院内な広がり始める。
ミーハーな“お姉様”のファンな下級生たちは落胆するが、姫乃を始めとする友人たちは、彼女の恋を応援してくれるのだった。
そして4年後。姫乃とともに大学を卒業し、無事、ボディーガードとしての務めを終えたありすは、星河丘財閥を寿退職し、礼司の妻として家庭に入るのだった(総帥的には引き留めたかったが、孫の姫乃に釘を刺されたので断念)。
ありすと姫乃や学院時代の友人との親交は結婚後も絶えずに続いたと言う。
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とあるPCギャルゲ(エロゲ)をプレイしてて、ふと思いついたネタから、ダイジェスト(プロット)を書き下してみた作品。
ちゃんと全部書く時は、ヒロイン/主人公(?)をこのSSのようにTSさせるか、それとも発想元同様、女装っ子のままの方がよいか、迷うところ。
シチュエーションとしては後者の方が(ハプニング込みで)美味しい気もしますが、ラブシーン書くなら前者の方がハードル低いんですよねぇ。
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