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PM4:20 探偵事務所 如月


 刑事達けいじたちによる、情報提供じょうほうていきょうに付き合わされ、笑顔で見送り椅子へと座る。

 厄介なのが来た事により、私の疲れが増してくる。


「お疲れ様。まさかいきなり、道警の刑事さんが来るなんてね」


「あぁ。全く、誰の伝手つてで来たのがさっぱりだが、面倒めんどうなのが来たよ」


 受付うけつけをしていた私の妹、ラスティアは今日分きょうぶん決済けっさいをしながら、私に言う。

 窓を開けて煙草たばこに火をつけ、煙を吐く。

 ラスティアは、おかわりのコーヒーを私のマグカップに注ぐ。


「それで?明日行あしたいくの?」


約束やくそくしてしまった以上はね。捜査本部そうさほんぶ中央警察署ちゅうおうけいさつしょでしょ」


「あそこしかなさそうだしね。店番みせばんはどうするの?」


「君と明日香あすかに任せるよ。それより、あっちから連絡れんらくは?」


「まだ来てないよ。多分たぶん、姉さんの方に直接来ちょくせつくると思う」


 ラスティアは、自分の分の紅茶こうちゃを飲み、資料しりょうをまとめる。

 ジリリリリ。ジリリリリリリ。

 煙草たばこを吸ってると古い電話でんわひびく。私はすぐ、受話器じゅわきを取り応答おうとうする。


「もしもし」


『あら?アルじゃないの。てっきりラスティアが出ると思ってた』


「セシリアか。どうしたの?」


 電話でんわ相手あいては、知り合いであるセシリアだった。

 どうやら、ひまあましているらしいが、話の口調くちょうからそうではない様だ。

 

『あなたが出たらなら丁度ちょうどいいわね。実は、色々いろいろと話し合いたい事があったのよ』


「へぇそう。例の件なら、私も今追いまおってるよ」


『それなら、話が早いわね。今晩一緒こんばんいっしょにどうかしら?』


「別にかまわわないけど、やってるの?このご時世じせいで」


『確かにそうね。このくにはやってないだけで、人の流れはそれなりにあるものね。ロンドンなんて全滅ぜんめつよ』


「この国はロックダウンなんて無いさ。なら、うちに来なよ。探すよりもマシでしょ」


『えぇそうね。そうさせてもらうわ』


 セシリアは、電話でんわを切り、私も受話器じゅわきく。

 吸い足りないので、もう一本煙草いっぽんたばこを口にくわえ、火をつけようとしたが、ライターに火がつかない。


「オイル切れだったな。後で足しておくか」


 ZIPPOのオイルがそこを尽きたみたいなので、小杖タクトで火をつけようとした。

 しかし、誰が指に火をともしてくれたみたいで、それに甘えて煙草に火をつける。


「明日香か。もう帰ってきたの」


「君が電話をしている間にね。気づくまでここで横にさせてもらったけど」


 この屋敷に居候をしている、七森明日香ななもりあすかが事務所に帰ってきたいた。

 私がセシリアと電話していた時に、戻ってきたみたいで、通話が終わるまでの間そのソファに横になって待っていたようだった。


「それで、外の様子ようすは?」


相変あいかわわらず殺風景さっぷうけいだったよ。店はどこもやってないし周りはマスクしてる奴らでいっぱいさ」


政府直々せいふじきじき規制要請きせいようせいだしね。まぁ、『魔術師まじゅつし』には打って付けの環境かんきょうだ」


「まぁ、例の件も対して動いてないよ。奴らは昼間ひるまは好まないって君が言ってたしね」


「それもそうだな。昼間でやるやつなんて、イカれた奴らしかやらないさ。この街じゃ特にね」


 調査をしてきた明日香は、私に報告ほうこくをする。例の事件については、手付かずだったみたいだ。

 煙草の火を消し、事件の資料をまとめめてるファイルをのぞく。すると、ラスティアが事務所の扉を開けた。


「2人とも、ご飯が出来ましたよ」


「うん。今行く」


「そんな時間か。なら、食事しょくじにするとしよう」


 ファイルを閉じ、明日香と共に食堂しょくどうへと向かう。

 3人で暮らしには大きすぎる食堂で、私達は食事を始めるのだった。


――――――――――――――――――――――


 向かおうとするが、後ろから気配けはいを感じて振り向く。


「いいのかしら?あんな警官けいかん依頼いらいを受けて」


 漆黒しっこくのドレスに身を包んだ仮面かめんの女が、ソファーに座る紅茶をたしまみながら話かける。

 アフタヌーンティーごと事務所に来た様だ。


「別に。邪魔じゃまになったら私だけでも肩を付けるさ」


「それだったら私的には助かるんだけど」


 溜息を吐きながら、振り向く。私は、その隣に座る。


「あの警官、しっかり目を張りなさい。面倒な事が起きるわ」


「目を張る。どういう事だ?」


「あの警官の中にわ。一緒に動くのはいいけど、十分気をつけなさい」


「……きもめんじておくよ。君が言う事は大体あってる訳だし」


「あなたも自分の身を知りなさいな。まぁ、知っているだろうけど」


 彼女は、私に何かを渡す。亜空間あくうかんから、タブレットを出し、それを私に渡す。

 私はそれを受け取ると、ボタンを押し起動きどうさせる。しかし、ラスティアの声が聞こえ、振り向く。

 私はドアを開けるが、また振り向くと彼女が消えていた。

 テーブルに置き紙が置いてあり、取ってみるとパスワードが書かれていた。

 やれやれと思いながら、改めて私は食堂に向かうのだった。

  

  

 

 

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