第17話
「ところで、質問があるのですが、聞いてもらえますか?」
なんだ?
「海と、山。どっちの方が偉いかなんて、聞くまでもないですよね?」
どっちが偉いとか、ないと思うけど。
「海の方が、より多くの命を生んでいます。というより、海が全ての生き物達の起源なんですから。聡明な貴方なら、知っていますよね?
それに、海は山が出来るより、ずっと前からいるんですから」
でも、海がなかった時代だってあったはず。それに多分、山の元となる大地は、海より前からあったのでは?
「う、ぐぬぬ。か、かわいくない。貴方、カズ君以外に、友達いないでしょう。いえ、間違いない」
失礼な。他に友達くらいいる。
「じゃあ何人いますか?」
「さ、二十人くらい」
「あ、嘘ですねそれ。私、貴方の心が読めますから。本当に仲が良いと言えるのは、せいぜい三人でしょう?カズ君含めて」
く、でも、だったらどうした。お前は、僕にカズ以外の友達がいないと断言した。でも実際は二人いると、お前も認めてる。
「うぐ。本当にかわいくないですね、貴方は」
ところで、お前はどうなんだ?誰か、友達はいるのか?
「もちろん、いますよ。いえ、いるどころか、この世に存在する全ての生き物が、私の友達と言っても過言じゃありません」
その中に、本当に自分と心を通わせられる存在はいるのか?
「ぐ、く、くぅ」
まさか、ゼロか?それならお前は、僕に負けてるな。
「ぐ、ぐ、く、くそ。ほんっとうにかわいくないです。自分と相手が心を通わせられてるかなんて、知る術はないです。
テレパシーでも、不十分なのに。だから、貴方もゼロといっていいはずです。おあいこです」
そうかもしれない。でも、それでいいんだと思う。言葉や、思いやりだけが全てじゃないだろうから。
自分の中で、悩み続けることが、大切なんだと思う。
「そう、ですか。何だか、とても悔しい気分です。でも、すっきりしました。礼を言います」
変なやつだな。礼を言われるようなこと、何もしてないのに。
「やっぱり、かわいくない」
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