第6話
いってててて、床が崩れるなんてきいてねーよ。
ていうか、なんだよここ?俺、落とし穴に落ちて、さらにその下に落ちたんだよな?
なんでこんな明るいんだ!?ここって、地下のはずだよな?
なんでこんなめっちゃくちゃ広いんだ!?
しばらく体が痛いのと、目の前の光景にぼーぜんとしてた。
草や木が生えてるけど、今まで山で見てきたのと全然違って、芝生とかクリスマスツリーみたいだ。
うぇ!?虫か、これ?なんか、すげー色してる。青紫、とは違うな。でもなんか、ちょっとキレイだな。さわっても大丈夫かな?
あっ、なんか並んで飛んでる!真っ赤な頭、緑の体、青い翼。世界の鳥図鑑でも見たことない。
顔はオウムっぽいけど、なんか違う。
カラフルな鳥って意外と多いんだけど、もうそんなの関係ないくらい、迫力があってかっこいい。襲われないかな、俺?
とにかく、ユッキーに知らせないと。でもどうやって?
「あなた、大丈夫?」
「わああああ!!誰だよ!?・・・おっさん!?やけにちっちゃいけど、てか人間?」
「わたし、あなたの敵じゃないダス。あなたが困っているみたいだから、助けに来たダス」
「いや、敵じゃないとか言われても。そもそもここ誰?あんたどこ?」
「わたし、あなた達とは種が違うダス。ここはわたしと同じ種のすみかダス」
「種が違うって、でも日本語ペラペラじゃん!?なんかのイベントですか?」
「わたし達、あなた達の言葉というものは理解してないダス。
相手の波長を読み取って、それに合わせて意思疎通を図る音波を発しているんダス」
「なんかすげえ。でも語尾に田舎モンみたいにダスダスついてるじゃん?やっぱ日本語わかってるじゃん」
「それは、あなたのイメージに合わせて、わたしが音波を発しているからダス。あなたのせいダス」
「なんかゴメン。にしてもすげえなここ!なんか山と全然雰囲気が違うじゃん。てかなんでここに住んでんの?」
「わたし、あなた達の世界のこと、あまり詳しくないダス。何故ここで暮らしているのかと聞かれても、困るダス」
「ふーん。ていうかさっきから体がいてえ。天井が高すぎてよくわかんねーけど、俺よく生きてたな」
「この辺りは土がとても柔らかいダス。落ちたのがここで良かったダス。でもあなた、気を失っていたダス。治療の道具があるから、試して欲しいダス」
なんだこれ、ジャム?透明だけど。さわるとスーッってして、けっこう気持ちいいな。
なんか、手の痛みが引いてく。右手も普通に動くようになってる。
「効いてるみたいで良かったダス。他にも痛む部分があったら、それを塗るダス」
うわ、いつの間にか服がもうボロボロじゃんか。これは、もう脱いだ方がいいか。
でもこれ、返さないと。あいつ、怒らないかな。
とりあえずこのジャム、あちこち体につけとくか。
「元気になったら、わたしについてきて欲しいダス。わたし、王からあなたを連れてくるように言われているダス。あと、その服や荷物は預かっておくダス。なくしたり、放置するのは絶対にいけないことダス」
「えー?でも俺、パンツいっちょうなんだけど。なんか着るもんないの?」
「わたし、あなたに合う衣類は持ち合わせていないダス。もしかしたら、街に行けばあるかもしれないダス」
「じゃあ、それまで俺このままかよ。まあ、ここは寒くないし別にいいか」
「それでは、一緒に行くダス」
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