第5話

 このままじっとしてるのも何だか気がめいるし、あたりを観察してみようかな。

もしかしたら階段とか、脱出のためにのぼる道が見つかるかもしれないしな。

そんなものがあるならあいつがさっき見つけてるだろうし、あるわけがないんだけど、暇つぶしになるだけでもいいや。


とりあえず、さっきあいつが落としてくれた食料を拾っておこう。もったいないし。

片手だと土がはらえないから、拾った食料は土で汚れたままリュックに詰めた。

どれも袋に入っていたし、いざ飲み食いするときも、たぶん平気だよな?

今んところ、まだ腹は減ってないし喉も渇いてないけどな。


それにしてもなんか、地面が変だな。踏んだときの感触が、なんだか場所によって違うような。

ん、なんだ?

地面、よく見てみたら土じゃないぞ、これ。少し土もかぶさってるけど、その下は白い床っぽい。

コンクリートにしては、ちょっとぐにゃってしてて、なんだか面白い。

うわっ、すげえこれ!

床から文字が浮かんでる!腕時計のライトを照らしたとこからだ!

数字の1とか2みたいな文字が六つ並んで浮いてる。英語、じゃないよな?アルファベットじゃないし。それくらい俺にもわかる。


それにしてもどうなってんだろこれ。もうライト当ててないのに、まだ文字が浮いて光ってるぞ。

なんかまるでRPGの謎解きやってるみたいな気分だ。ユッキーなら読めるのかな、これ。



うーん、やっぱわかんないな。そもそもこれ、どっから読むべきなんだろ。

横文字っぽいけど、どっちが上か下かなんて判断できないしな。

実は国語みたいに縦から読むとか?どっちにしろさっぱりだ。

考えるのも飽きてきたし、もうちょっと周りを見てみるかな。

光ってる文字のおかげか、少しあたりが明るくなってるからちょうどいいや。


地面はほとんど、白い床でできてるっぽいな。これ以上ライトを当てても変化ないし、見ててもしょうがないか。

もうユッキーの非常食は全部拾えたかな。他に落ちてるのは土や小さな石、っていうか砂利?くらいだ。

壁の方は、どうやらただの土っぽい。でも左手でさわった感じ、けっこうしっかりしてて、あまりポロポロ崩れないようになってる。

もしかすると、本当に隠し通路とかあるかも。周りをぐるっと一周するようにして確認してみる。

ビンゴ!

目の高さから足下までしっかり目を光らせたおかげで、腰くらいの高さに、白いぐにゃっとした壁があるのを発見できた。

これもライトを当てれば文字が浮かぶはず、ってあれ?変化なしかよ。なんだよ、せっかく謎解きクリアしたと思ったのに。

気付けばそれまで光ってたはずの文字も消えてる。ついでに腕時計のライトも電池切れか、もう消えかかってるし。




ってわああああああ!!


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