『あーやとふーや』 中


 おしょうさんは、てがみのうつしをみせてくれました。


 『はいけい。ちょうちょうさん。おげんきですか。ぼくは、げんきです。さて、ちょうちょうさんも、たぶん、すでにごぞんじかもしれない、とはおもいますが、このまちのちかには、2000ねんまえにあったというまちのいせきがねむっています。それは、せいふにより、ながくかくされてきました。ぼくのてらは、たぶん、2000ねんまえには、すでにありました。そこで、ちかのまちについての、もんがいふしゅつのしりょうがつたわります。それは、ちきんときかいでつくられたぶんしょです。しゃしんもそこにはありますが、ながいつきひで、ちょっとかすれています。ところで、みさきのおきにあるうみのなかのいえのちかには、ふるいふるい、ちかのまちにおりるみちがあります。あのおたくは、いりぐちをまもるいちぞくのしそんです。いまは、せいかつにこまっていて、おとうさんはでかせぎにゆき、おかあさんがまもりびとのやくわりをしています。こどもたちは、まだ、よくはしりません。しかし、そろそろ、ひみつをつたえるじきです。わがてらは、ながく、そのやくわりをになってきています。これは、もちろん、ひじょうにふかいいみがある、ひみつです。これをしったひとは、あのいっかをないがしろにしたり、たいせつにしないと、ちいをうしなう、とされています。まあ、それは、たんなるでんせつです。さて、せんじつ、てらのかいしゅうこうじをしているかいしゃのだいくさんが、てらのちかから、にさつのほんをみつけました。それは、2200ねんまえの、かんこうがいどにさつです。たいせつに、はこにいれてありました。かなり、よいじょうたいにあります。で、かのじょは、ぼくに、それをとどけてくれました。あなたさまの、むすめさんです。もうしわけありませんが、ぼくは、くちどめを、しました。せんじつ、ちじさんにおあいしたさい、そろそろ、このはなしをこうひょうし、ちょうさし、ほどなく、ちかのまちのいちぶは、こうかいして、かんこうちかしたい、とのおはなしがありました。そうすれば、しゅうにも、まちにも、たくさんのしゅうにゅうになりますでしょう。いりぐちは、もちろん、あのおたくになります。わがてらは、じゅうせきをにないます。あなたさまも、まさしく、ときのひととなるでしょう。ちじさまにきいていただいて、かまいませんので、ぜひ、わがてらに、ごしえんをねがいます。また、あのおたくのごえんじょも、おねがいします。』


 あーやはたずねました。


 『これ、ほんとのはなし、ですか?』


 おしょうさんは、いいました。


 『ちかにいせきがあるのは、ほんとだよ。てらのちかにも、ひみつのいりぐちがあるんだ。ろくだいまえのじゅうしょくさんが、ちかとしのすぐてまえまでゆき、もんからなかをのぞきみた。そのいりぐちには、がんじょうなとびらがあり、とびらはにじゅうになっていて、そのとびらととびらのあいだには、おそろしい、かいぶつが、ばんにんをしていた、と、ほうこくしょには、きちんと、きろくされている。そのじゅうしょくさんは、あまりのおそろしさに、それいじょうはすすまなかったらしい。で、いごは、とちゅうをふうさして、たちいりきんしにしたんだ。それいらい、いりぐちのばしょは、わからなくなっていた。さて、きみたちのいえのちかにも、いりぐちがあるのもほんとだよ。おとうさんとおかあさんは、ちゃんとしっていて、そのもんまで、おりたことがあるんだ。でも、そこにも、かいぶつがいたみたいだ。まあ、どれも、きいたはなしで、ぼくは、まだ、みていない。しかし、ほんがでたところには、どうやら、さきがあって、たぶん、わならなくなっていた、ちかにおりる、つうろみたいなんだ。』


 『それ、うそ、ですか?』


 ふーやがたずねました。


 『ちがうね。でんせつは、うそではないんだ。ばんにんのはなしは、すいそくだけどね。またその、ないようがただしいかどうかは、まだ、わからないがね。もしも、きちんと、たしかめたら、ほんとうになる。ちょうちょうさんは、まもなく、ちかをみたいと、いってくるだろう。さきに、さがしにゆくかい?』


 ふたりは、こたえました。


 『うん!』



      ⛰️

      


 

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