第33話実際問題無理ゲーなんです!(知ってた)



今日もおネェ様のトレーニングを受けるために冒険者ギルドにやってきました!


まぁログイン地点が冒険者ギルドなのでやってきたわけじゃないですけどね……


昨日のトレーニングを思い出しつつ軽くウォーミングアップをする。



「あら、ゆら早いじゃない!」



おネェ様の声が近づいてくる。あれなんか足音が2つある……?



「ゆーらーさんっ!!!こんにちはー!」



あーいろはか。道理でなんか騒がしい音がすると思ったわぁ。



「いろはにおネェ様おはようございます。いろはは今日はログインできたんですね。」



「はいぃ!なんとか用事を終わらせることができたのでっ!!!」



それはよかったねぇ。いろはってなんか声だけなのに撫でて〜褒めて〜っていう雰囲気が伝わるのすごいね。



「あらあらえらいわねぇ。」



「お姉様ぁ髪がボサボサですぅ……!」



嬉しそうにいちゃいちゃしてるな……

ちょっと羨ましい。



「そういえば昨日、ゆらさんとお姉様はトレーニングするって言ってましたけど何をしてたんですか?やっぱり軽く杖を使わずに動けるようにとかですかっ?」



「そうねぇ。本を10冊詰んでランニングとか、5冊まで減らして素振りとか、ダンスを完璧に踊るとかかしら?まあ基礎的なものだから意外性はないかもしれないけれどぉ……」



「どこが基礎的なんですっ!?え、お姉様ってもしかして割とやばいお方ですかっ?それについて行くゆらさんもアレだし……もう普通の人が私しかいないですぅ…………」



いろはもいろはでだいぶアレだと思うけど……



「まあその成果として知ってる室内ならある程度動けるようになりました。でも、まだ屋外は少しきついですねぇ。やっぱり足元が見えないと障害物や段差に気づけずに転ぶのと、音だけで人の位置を把握するのは無理がありましたねぇ。」



「ゆらの猫耳だと私のうさ耳と違って音の拾える範囲が狭いみたいだし、このまま戦闘するのは厳しそうねぇ。」



「ですよねぇ……」



さすがにこのまま戦うのは厳しいよねぇ。PVPイベント出たかったけど諦めた方がいいのかも……



「あのぉ疑問なんですけど、ゆらさんって今度開催されるPVPイベントのためにトレーニングしてるんですよね?」



「そうですよ〜」



「そのつもりで特訓を組んでるわよぉ。」



「じゃあPVPのルール内のことで勝てればいいんですよね?」



いろはは何当然のことを言ってるんだろ……?



「そうですよ?」



「じゃあ速さだけに特化して、スタート地点から走って切るだけの動きを完璧にすれば極論勝てるんじゃないですか?」



「あっ!?」



「……そうね。多分闘技場で行うのであれば、戦神の闘技結界の中で行われるはず。ならば、それぞれの開始地点の距離を覚えて走って切りかかるだけの動きで理論上は勝てる……かしら。」



確かに、失ったもの全てを取り戻さなくても一点集中で訓練すれば、勝つ上では最も重要な決め手を手に入れることができる……ねぇ。なんでこんな単純なこと思いつかなかったんだろう。


いろはってアホっぽいけど、こういう時は頭が回るよね……



「私実は昨日用事が思ってたより早く終わったのでちょこっと闘技場に行ってきたんですよぉ。それで、スポーン位置を測ってきたんですけど……急に思いついたから測るものを忘れちゃったので、リボンに印をつけてきたんですぅ。」



いろはが取り出したリボンに合わせておネェ様が闘技場の床にレンガを置く。



「これなら、確かに距離を掴むためだけに歩幅と速度の調整、振るタイミングのトレーニングだけですむわねぇ。うん、いけるわ!」



「まあ、決して簡単じゃないと思いますけど……目が見えない状態で幅跳びするのと同じことですからねぇ。」



いろはの言う通りだね。だけど最初の絶望的な状況からしたらだいぶマシになったね。



「それでも、私はやりますよ。せっかくのイベントなんです。やってみせましょう。」



「その意気よゆらっ!!さぁて、じゃあ今日はまずは全速力で走る練習ね!!!瞬発力をあげるために合図似合わせて全力ダッシュを繰り返すわよ!!!」



……?あれ、これってゲームだよね。まさか短距離走選手並に練習しろって言われてます?



「あのぉ、スキルとかで解決ってできたり……?」



「何言ってるのぉっ!スキルをゲットしても肉体の速度が上がらなきゃスキルなんて無意味よっ!!!己の肉体を磨いた上でスキルは輝くのよっ!!!私のこの美ボディが証明してくれるわっ!!!」



そうですね……おネェ様のお腕もおみ足も素晴らしく筋肉の鎧を纏ってらっしゃいますもんね…………


人選ミス(パート2)



「さぁストレッチが終わったらひたすらダッシュ、筋トレよっ!!!」



「じゃあお二人様頑張ってくださいねぇ!私は個人でクエスト行ってきます!」



そう言うなりいろはは騒々しい音を立てて、出ていった。あいつ個人クエストとか言ってたけど巻き込まれたくないだけだろ。

よくも逃げたなぁ……許さん。( #`꒳´ )



「さぁさぁ、時間は有限よ!ほら早く始めましょ!」



「……はぁい。」



もうやだぁ……




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星空幻夢郷のステータスについて


基本的にはほとんどが種族と職業によって値が決まっている。一般的には知る手段がない。知の女神の巫女ならば、見ることは可能。

伸ばす方法としては職業の変更、もしくは地道なトレーニングしかない。ただし、星空幻夢郷はリアルと感覚がほぼ同じなため筋トレするとクッソ疲れる。

そのため、プレイヤー間では流行っていない。しかし、スキルのブースト系は大体がステータス値に掛け算するためトレーニングは侮れない。やはり筋肉は全てを解決する。

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