第34話修行です!!!



ひたすら足を動かし距離感を体に刻み込む。



「ゆら、あと150回よっ!!!」



あはは……まだまだだなぁ……


余計な思考を削ぎ落とし、体の動きのみに集中する。


最初の1歩に体重をかけ踏み込み、次の1歩は浅く蹴る。普通に走っては読まれてしまう。だからこそ不規則に地面を蹴る強さを変える。だが、決して最後の位置が変わらぬように斬り掛かる地点は変えずに斬りの速度は変える。


結果は変えずに、過程を変え続ける。


同じ結果を繰り返せ。違う過程を踏み続けろ。


それだけを意識し続ける。



疲れたなぁ……




「ゆら、今10cmズレたわよ!あとだんだん斬り掛かるタイミングが遅くなってるから、もっと速度を重視して!!!ほら、テンポあげて!!!」



「……っ、はぃっ!」



…………おネェ様はやっぱり厳しいねぇ。


疲れで少し踏み込みが遅くなるのも、見逃してはくれないのかぁ……



「ほら、余計なこと考えない!!!」



もしかして心読んでます?



「はい……」



必死におネェ様の指導をもとに修正を続け、なんとか500回終える。



「はい、とりあえずは終了よぉ。」



「はいっ……」



「次は速度をさらにあげるために目標秒数に達成しなかったら私が積極的にキルしていくわぁ。結界は貼ってあるから、安心していいわよ!」



……ひぇぇ



「あら、返事は?」



「はいぃっ!」



あ、返事しちゃった。おネェ様の圧に負けていつも返事しちゃうんだよなぁ。


………もしかしてなんかスキル使ったり?


あっ、殺気を感じる。なんでもないです。



「さぁ、ゆらも休めたところだろうしサクサクいっちゃいましょうか。」



え、まだ5ふん……



「さぁ動かないと殺っちゃうわよぉ〜」



あ、はい



「はい1000本行くわよ〜!!!」



さっきより増えてませんか?やっぱり怒ってますよね!??



「動かないならっ……」



「あがぁっ!!!」



おネェ様容赦なさすぎません?


そんなこんなでさらに厳しくなったおネェ様にしばかれつつ、なんとか目標秒数内で距離を詰めることができるようになっていく。


地点からズレたら殺られ、タイミングがズレたら殺られ、遅くなったら殺られる。



そんな地獄を潜り抜け、なんとか体に刻み込むことができた。


いやぁ、これでやっと終われる……



「今日はこのくらいでいいかしらねぇ。じゃあ明日から毎日イベント当日までやるわよぉ。」



「え?」



「まだまだ改善点は山積み、パターン数も少ない。やることしかないわよ。休んでる暇なんてないわぁ。」



…………



あぁ、地獄は終わってなかったみたいだね。逃げる……なんてしたら死ぬからやるしかないかな。頑張ろう。

うん。(死んだ目)



「はぃ………」



毎日、毎日、来る日も来る日も訓練をし続ける。



「おネェ様、ゆらさっ……って、えぇどうしたんですか!?」



「あぁ、いろはですか。」



「いろは、いらっしゃぁい。」



「な・ん・でっ!!!バク転の練習してるんですっ!?」



「いや、走りのパターン足りないなぁと思いまして……」



「ゆらさん!?目を覚ましてっ!!!」



突然駆け寄ってきたいろはに肩を揺さぶられる。


そんなに揺さぶられるとだいぶ痛いんだけどな。そんなにおかしいかなぁ?


ってあれ……?



「そうですね……私なんでバク転の練習してるんでしょう?」



「あ、よかったぁ。正気に戻った……」



「ゆらったら何言ってるのぉ。それくらいできないと単調な動きになっちゃうでしょ?」



「ぜぇったいそんなことないです!!!」



いろはが珍しくおネェ様に怒ってる。なんか見えないのに威嚇してる小動物感が伝わってくるなぁ。



「もぉ……これからがいいところだったのにぃ。」



「おネェ様やっぱり面白がってましたね!?」



「だってこんなによく動くおもty……弟子がいるならねぇ。」



おもちゃって言いかけませんでした!?


あのままいってたら修羅の道を行きすぎて帰れなくなるとこだったかも……

危ないところだったな。仕方ないからいろはに感謝しとこうかなぁ。なんとなく癪だけど。



「もう私がいますからね。安心してください!」



…………?



「そういえば、いろはが逃げたのが原因では……?」



「あっ!?」



ムカついたので、いろはの声がする位置にものを投げつけていく。



「や、やめてくださいっ!死んじゃいます!?なんでそんな正確に投げてくるんですか!?」



「おネェ様と休憩中に戦闘訓練した時に身につけました。」



「それって休憩じゃないですよねっ!?って、謝りますからもう許してぇっ!!!」



いい感じにスッキリしたので、やめてあげようかな。



「仕方ないですねぇ。」



「はぁ……なんとか助かりましたぁ。」



「いろは、あの攻撃を避けるなんてやっぱりいい足してるわねぇ。そうだ!貴女も一緒にトレーニングしましょ!!!」



「それはいいですね!一緒にやりましょう!!!」



「そうよねぇ!早速準備してくるから待っててね♡」



よし、道連れ成功。やったね。



「ぴぇぇぇぇっ!?」



「一緒に楽しく訓練しましょうね、いろは?」



「ぴぇぇぇぇ……………………」



そんなこんなで弟子が増えてご満悦のおネェ様に指導されつつ、イベントの前日になった。



「よくやったわぁ。ゆらもいろはも頑張ったわねぇ。ここまで着いてくる子達は初めてよぉ。」



無我夢中でやってただけなんだけどな……



「うぅぅ……もう私一生分の筋トレした気分です。」



「気持ちはわかりますけどねぇ。おネェ様の弟子ならまだまだ色々ありますよ。」



「ひぇ……」



「そうよぉ。また一緒にトレーニングしましょうねぇ?」



「はぃ……」



いろはが小声で怯えてる。まあ逃げるのは無理だから一緒に頑張ろうね。



「じゃあ、今日はこれにて解散!!!しっかり休んで、明日に備えるのよ!ここまでやったんだから結果出さなきゃ許さないわよ☆」



最後のセリフは冗談だよね?

予選敗退とかだったらなんかしばかれそうなんですけど……


おネェ様の言葉に怯えつつ、ログアウトする。




いよいよ、明日だぁっ!!!



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いろはの恐怖レポート


お姉様の訓練受けてみましたけど、あれヤバいです。すごい量の筋トレと頭のおかしいトレーニングが私の体をボコボコにしていくんです。でも、動きが良くなるんで効果はあるんですよね。


そういえば、1回私お姉様のいない隙に逃げ出したんですけど……


なんと気づいたら訓練場にいたんです。何事もなかったように。でも、お姉様はすごい笑顔で……

あ、逃げられないなって悟りました。

もう2度と受けたくないですぅ………

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