第31話のろわれてるん……です?



なんとか書類整理を終わらせ、一息つく。



「ふぅ…よく終わったわねぇ。そう言えばゆら、その目どうしたの?」



「目、ですか?」



「いやいやいや、その血まみれの左目のことよ!?まさか気づいてないなんてことないでしょ?ていうかいろはもあんた癒術師なら治してあげなさい!?」



あーだからなんかさっきから遠近感が測れないのかぁ。でも血なんて出てたっけ?

不思議に思って左目を触ってみるが何かが手についた感触すらない。確認しても特に何も出ていないようだ。

不思議に思って右目を隠すと、見えなくなるため視界が欠けているのは確かなのかな?



「お姉様……血なんて出てませんよ?綺麗な青い目のままじゃないですかぁ。」



「え?こんなに血が出てるのに……ってこれ、もしかしてゆらは左目見えてる?」



「見えてないですねぇ。」



「えぇっ!?見えてないんですか?言ってくださいよぉっ!!!」



「いやぁ戦闘中ずっと視界欠けてたんで慣れちゃいまし……た?」



「慣れるって、ゆらも相当ねぇ……」



おネェ様にひかれるなんてなぁ。びっくりだぁ。

そんなにやばいことなんだっけ?片目くらいならまあいっかって思ったけど、ダメだったかー。



「えぇ…ゆらさんってやっぱり人間じゃないですねぇ。あ、でも痛覚設定私より低くしてるんですか?20パーくらいとかですか?」



「100パーセントですよ?」



「はぁ!?え、本当に人間ですか?なんで生きてるんですか!?」



いや、そこまで言う……?一応人間ですけどねぇ。

いろはも強くなったね。



「もちろん人間ですよ?」



「うん?旅人って痛覚をシャットアウトすることができるのかしらぁ?」



「そうですね。人によっては痛覚10パーセントとか、衝撃しか加わらない0パーセントのこともありますよ。」



「へぇ……だから反応薄い輩が多いのねぇ。もっと視覚的な恐怖に訴えるようにするわぁ。」



あ、おネェ様が悪どい笑みを浮かべてらっしゃる。

まぁ、やらかすやつが悪いからいいけどね。ざまぁ。



「あらあら、きっと面白いことになりますねぇ。あ、そういえば結局呪いって詳細わかったりしますか?」



「そうねぇ。大体こういうのはなんか原因があるんだけどねぇ。なんか変なもの持ってたりなにかに恨みか買ったりしなかったかしらぁ?」



心当たり……?ないですねぇ(すっとぼけ)



「ゆらさん!やっぱ恨まれてるんじゃないですかっ!!!」



「やっぱりメアリーちゃんですかぁ……」



「そりゃそうですよ!?家燃やしたんですからねっ!!」



まぁそっかぁ。あ、そういえばメアリーちゃんの魂とかいうアイテムゲットしてたわ。


ふと思い出して、取り出すと



「っ!?それ今すぐポイしなさいっ!!!」



おネェ様の大声に驚き、手から落ちる……?


あれ、くっついて離れないなぁ……?



「離れないですねぇ?」



「ゆ、ゆらさん大変ですっ!!!その亡国の王女メアリーの魂は満足するまでずっと呪い続けて離れないそうですっ!!!」



あらぁ、だいぶ熱烈なアプローチを受けてるねぇ。



「……そうねぇ。これ、私じゃどうにもならないわよ?多分冥界の神の巫女の領域ね。ゆらはどうしたいかしらぁ。」



「このままでいいですよ?」



「「はぁ?」」



いや、驚きすぎじゃないですか……?



「あ、でも片目だけじゃなくていいですよ?どうせなら両目を呪ってくださいな。貴女の受けた被害からしたら罰が足りませんからね。」



あ、全部見えなくなった。てことは聞いてくれてるんだね。よかった。

メアリーちゃんはお話できる子って信じてたからね。



「っていやいやいや、ゆら!!悪いことは言わないからすぐさまその子の対処しなさい!?なに呪い増やしてんのよ、アホじゃないの!!!」



「そうですよ!!!ゆらさん、一緒に行ってあげますからお祓い行きましょ!ね!?」



えぇ……2人とも必死すぎないですかねぇ。そんなにダメなことかなぁ?



「呪いを解呪する気はないですよ。恨まれて当然のことをしましたし、それに対する正当な罰ですから。ほかの誰でもないメアリーちゃんが呪うなら当然受け入れますよ。」



「「えぇ……」」



2人ともドン引かないで……(泣)

というか、こんなに短い付き合いなのに息ぴったりだね。羨ましいなぁ。



「でも、両目である必要ありますか?せめて片目でいいんじゃないですか?」



「……いや、それはせっかくだしトレーニングも兼ねて盲目状態で戦ってみたいなぁなんて。」



「ゆら……さすがの私でもあんたは怖いわ……弟子になる前だったら関わりを避けるくらいよ?まぁ弟子である以上離れてあげないけどね。」



おネェ様?貴女も大概な気がしますけど……



「ま、まあとにかく盲目状態でこれからは戦っていきます。あと耳がよくなったことである程度周りの把握ができますしね。」



「ゆらさんがそれでいいならいいですけど……」



んーでもまあ慣れないと戦闘までは厳しそうだし訓練しないとな……


あっ



「おネェ様明日時間ありますか?」



「えぇ、まあギルド内にいれば基本は私は自由にしていいって言われてるからねぇ。」



「じゃあ、お付き合いお願いしても?」



「……あら、いいじゃない。弟子の訓練に付き合ってあげるのは師匠の役目。もちろんよ。」



「えぇ……」



いろは、これくらいで引いてたらついて来れないですよ?おネェ様もだいぶですからね。



よっしゃぁ、戦闘訓練じゃぁ!!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


メアリーの呪いについて


普通なら何十回も死ぬ恐ろしい呪い。でも巫女の力で軽減されだいぶマシになって、視界1個と体調の不具合である。こちらの体調の不具合は致命的な場面で気づくレベルの些細なものだが余計に命とりになる悪質な呪いである。ただし両目にしたことにより、こちらは回避した模様。だが、普通に考えて視界ゼロになる方がやばいのでゆらちゃんはやばい。(多分天然物のぶっ壊れ)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る