第17話緊急クエストです!!!



霞さんから受け取った装備一式を身にまとった私達はおネェ様のいる冒険者ギルドに向かっていた。



「はぁ……負けました。やっぱり食えないお方でしたねぇ。いつか一泡吹かせてみせます……」



「でも、ゆらさんを認めたからこの装備をくれたんだと思いますよ?」



そうだといいんだけどねぇ。貸しを押し付けられて厄介事頼まれる未来しか見えない…



「そうですかねぇ。でも、やっぱり300万ティアもするだけあって装備自体は良いものですね。」



鮮血を思わせる真っ赤な生地にワンポイントであしらわれた翡翠のブローチ。優雅かつ動きやすいデザインのローブで際どいところもあるが結構気に入っている。



「でも、胸が開きすぎじゃないですか……?」



対するいろはは、チェックの茶色のポンチョにお揃いの柄の帽子、厚底ブーツにモノクルをつけた可愛い探偵風の装備だ。帽子についている白いボンボンがワンポイントになっていて本当にかわいい。



「そうですか?確かに大胆なデザインですけど、暗器を隠す場所が多くて、当分は変えられないですねぇ。借金もありますし……」



ご丁寧に尻尾を出す隙間まである。機能性抜群すぎる。



「そうですか……確かにいいものですもんね。しかもこんな性能見たことないですよもん……」



そう、何より性能が優秀なのだ。


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ゆらの装備



《枝垂れ桜》

アイテム名:イヤリング

暗器を投げた時に10パーセントの確率で魅了付与。


《血染めの魔道ローブ》

アイテム名:ローブ

斬撃時に出血付与。15パーセントの確率で追加で拘束付与。血を吸わせてね。もっともっと。


《執愛のシークレットブーツ》

アイテム名:ブーツ

ナイフを2本仕込める。抜いて5秒間は状態異常付与確率が20パーセント上昇。



いろはの装備



《すっごく賢そうなモノクル》

鑑定スキルで見られる領域が増える。

賢いでしょ!すごく賢いの!!!


《ボンボン探偵帽》

アイテム名:帽子

装備スキル『視線感知』


《探偵ポンチョ》

アイテム名:コート

装備スキル『鑑定偽装』


《編み上げブーツ》

アイテム名:ブーツ

逃走時に30パーセント加速。



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「一部の装備は意思が宿ってそうでちょっと怖いですけどねぇ。」



血染めの魔道ローブ…呪われないようにお祈りしなきゃねぇ。神様仏様ヘスティア様だよ(-人-)



「そうですか?私のモノクルはなんか愛着湧いちゃったかも……」



確かに、オリジナルな感じがあるのはいいかも。それに意思があるって言っても動いたりする訳じゃないしね。


そんな会話をしていると、冒険者ギルドの前に着いていた。



「本当に近くに出ましたね…どこの裏路地にも繋がってるっていうのももしかして……」



「十中八九本当でしょうね。どんな術をつかっているんですかねぇ…」



あの店主、何者なんだろうか…?

そう思いつつ、冒険者ギルドの扉を開ける。



「あら、ゆら達意外と早かったわねぇ。まあ、私の方も準備は出来てるわぁ。じゃあ行っくわねぇ!」



緊急事態エマージェンシー


これより、緊急クエスト『軍隊鼠の強襲』を開始します。30分後に西門へとお集まりください。繰り返します。緊急クエスト『軍隊鼠の強襲』を開始します。30分後に西門へとお集まりください。



おネェ様の声と共に街中にアナウンスが響き渡る。

周囲にざわめきが広がっていく。



「急になんだぁっっ!?」


「稼ぎ時だね。メンテナンスしなくちゃ。」


「さぁて、ポーションやアクセサリーはいかがですか!!!まとめ買いで安くしとくよー!!!」



混乱しているのがプレイヤーかな?逆に住民の人はたくましいなぁ……

そうこうしていると、おネェ様がこっちに駆け寄ってきた。



「あらぁ、とってもいい装備じゃない。どこで揃えたのかしらぁ?ゆら達の予算じゃ揃えられなかったはずでしょう?」



「蜃気楼というお店で…」



その名前を言った瞬間、おネェ様の顔が仁王像のような形相になった。



「あんの女狐のお店に行ったの!?塩撒きなさい!塩っ!!!」



「あははー…やっぱりおネェ様は知ってるんですね……」



そういうと、おネェ様は苦虫を噛み潰したような顔で



「あの女狐とは昔色々あったのよ…ってそんな事はどうでもよくて!その装備いくらしたのっ!?」



「2人合わせて300万ティアですねぇ」



「ッッカァーーーーー!あんの女狐めぇっっっ!ちゃっかり高品質なもの売りつけて貸し作ってぇっ!……あんた達絶対自分を安売りしちゃダメよ。そうね…1回の依頼は100万までふっかけなさい。それくらいでちょうどいいわ。」



色々あったんだろうな…本当に…



「そうなんですね。わかりました。」



「チッ、こんな時じゃなきゃあの辛気臭い店に殴り込みに行くのに…あーもうっ!!さっさと行って鼠叩きよっっ!!!」



モグラ叩きみたいな感じなのかな?まあ鼠もいっぱいいるっぽいし、楽しそう。


相変わらず先に行くおネェ様の背中を追いかけて、西門へと急ぐのだった。あ、いろはが人混みにさらわれてた。静かだと思ったら………


人混みを掻き分けて回収してっと、改めてしゅっぱーつ!!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


???

血染めの魔道ローブとモノクルは意思のある携帯品である。それ故に、■■■×××■の影響を受けやすく、人体の構成にまで効果をもたらす。嫌われては決してならない。なぜなら…………


ここで文章は途切れている。

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