第12話しんでんにいきます!
おネェ様に連れられ街の中心部へ向かいつつ
「そういえば、この街と鑑定士に何か関係があるんですか?」
さっき聞けなかったことを聞いてみる。
「あら?そういえばあなたたちは旅人だったわねぇ……」
「その旅人というのも少し気になります……」
おネェ様が意外そうに目を細めていると、いろはさんも旅人という言葉に反応しておずおずと聞いてきた。
「そういえば話してなかったわねぇ。私達のようなこの世界の住人は、あなた達のように長時間の睡眠をとらなければならず不死性を持ち、神からの祝福を受けている存在を《異界の旅人》と呼ぶのよぉ。」
「神からの選定です、か?」
いろはさんが思い当たらないようで頭を悩ませている。
「いろはさん、最初に運命を選んだでしょう?多分あの時にそれぞれの祝福を得てるのではないでしょうか」
「なるほど!ゆらさん凄いです!」
キラキラとした顔でこちらを見上げてくるいろはさん。大したこと言ってないから純粋な眼差しがちょっと眩しいです…(困)
「話を戻すけどぉ、そうやって祝福を得た異界の旅人達は強力な力を持っていることが多いわぁ。だからこそ私達は旅人を受け入れるのよ。でも、マナーの悪い子達は私みたいな巫女が殺っちゃうけどね♡」
「不死の旅人を殺ることなんて……?あっ!」
「そうよぉいろは!ゆらの異端審問官とか、その系譜の力を巫女やこの地の管理者は持ってるのよぉ。私もちょこぉっとその力を持ってるから、ギルドで用心棒役に出張に来てるの。」
「なるほどそういう経緯でおネェ様程の人があそこにいたんですねぇ」
どう考えても、圧が違ったもんな〜
「そうよぉ。そして今向かっている神殿にもこの街の守護者として、私やゆらと同じような力を持っているのがいるのよねぇ……」
そう言いながら、苦虫を噛み潰したような顔をするおネェ様。そういえば、さっきから乗り気じゃなさそうだったけどもしかして守護者の人と何かあるのかな?
「お姉様は神殿にいる守護者の方が苦手なんですか?」
わぉ、いろはさん結構攻めたこと聞くなぁ。
「そうねぇ。なんか合わないのよねぇ…頭が固いっていうか、規律に厳しいというか。まあ知恵の女神の巫女なんだから仕方ないのだけどねぇ。」
知恵の女神様かぁ…確かに融通は聞かなそうなイメージかも
「確かにお姉様は自然のような力強い美しさがあるので、型にはまるような堅苦しいものは遠ざけたくなりますよね…」
「あらやだ!いろははいい子ねぇ。」
いろはさんは物事の本質をちゃんと見れる子なんだね。成り行きでパーティを組むことになったけど結構いいかも。
「話を戻して申し訳ないのですが、いろはさんの就いている鑑定士にも知恵の女神様は関わっているんですよね?」
「そうよぉ。知恵の女神であるアテナは、誰よりも知を重んじるの。探求の末に得た知識を信者に全部公開するくらいには…ね。」
それってもしかして…
「鑑定などで出る情報って知恵の女神様が得た知識ってことなんですか?」
「そうよぉ〜だからこそ鑑定士やそれに準ずるものたちはこの街に集まるの。他にも、自分の極めたい分野のことを深く知りたい時はこの街に来れば大抵わかるわぁ。」
「そう…だったんですね………あのっ、もしかして鑑定士ってお荷物じゃないんですか?」
「誰が言ったのかしらそんなこと?鑑定士はパーティに1人は必要な役職よ?戦闘時のモンスターの弱点や自分達の状況、他にも回復役職としても重んじられる万能な職業、お荷物なんて言う方が狂ってるわ。」
いろはさんは泣きそうになりながら
「そうですか、、よかったですぅ。ありがとうございます…………」
情報を得られる職業が弱いわけないよねぇ。戦いにおいて情報の有無は勝敗を分けるもの。
「私はゆらさんの隣にいていいんですね…」
「勿論ですよ?私からお願いしているんですから。鑑定士で癒術師なんていう貴重な人材なんですから喉から手が出るほど欲しいですよ。」
そう、おどけて言ってみせると
「ありがとうございますぅっ………」
いろはさんが泣きじゃくりながら抱きついてきた。
泣いている女の子を放っておく外道じゃないので、抱き返しながら背中を撫でて落ち着かせる。
10分ほどそうしていると
「わわわっ!すみませんお恥ずかしいところをお見せしましたっ」
「いろはさん、気にしないでいいんですよ。むしろ役得ですから。」
かわいい子に抱きつかれるのが嫌なわけないよね
「あ、あの、ゆらさん。私のことはいろはって呼び捨てでお願いします。」
あら、びっくり
「えーっと、いきなり呼び捨ては申し訳ない気がしますが……」
「呼び捨てで呼んでほしいんです!あと敬語もやめてください。」
「えぇ……いろはさんも同じじゃないですか…………」
「私はいいんですうっ!!!」
理不尽……
「わかりましたよ。いろは。これでいいですか?」
「敬語………」
ジト目で睨むいろは。これはこれで可愛いかもね。
「敬語はいつものことなので許してくださいね?」
「むぅ…」
ほっぺた膨らませちゃった…かわいい
「もう、ゆらにいろは!いちゃついてないでさっさと行くわよぉ!!!」
既に歩き始めてたおネェ様に置いていかれないよう2人で追いかける。
そうして、ギルドから20分ほど歩いたところで神殿へとたどり着いた。
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ゆらの生態8
本は結構読む方。クトゥルフ神話とか神話系がそこそこ好き。ただ、本を読み始めると読み終わるまで動かないため、時間が取れない時は読めない…つらい………だそうです。
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