第17話 お披露目会後の脳内レポート

 緊張し過ぎてあんまり覚えてないけど、無事お披露目会は終わった。一応、サリエルさんの系統の天使たちには認知してもらえた。


 ちなみに天使たちと言っても二十にも満たない人数しか居なかったけどね。予想では三桁ぐらいは居ると思っていただけにこの誤算はラッキーだった。


 まぁ、そんなことはどーでもいい。天界を見て周った辺りである程度察しはついてたからね。


 それよりも天使族って見た目なら人間と殆ど変わらないんだな。しかもほぼ全員が人とは思えない程に容姿が整ってた美男美女だったしね。


 その光景を見た瞬間、僕の中の容姿の基準が崩壊したような気がしたけど、それもまだ予想の範囲内。何せ、サリエルさんや両親、姉二人にカルミナさんを筆頭としたメイドさんたちなど、容姿端麗な人しかいなかったのだから。


 そしてね。いざ場に出てみれば、あまりに異常過ぎて、カルト宗教か何かですか?という感想しか出てこなかった。


 まずねー、神聖な雰囲気を醸し出す空間で彫刻の如く一切動かずに頭を下げて跪く白と青の統一された衣を身に纏う天使たち。そりゃあ何かの儀式ですか?と言いたくもなるさ。


 始まる前にサリエルさんに聞いてみればレイラー以来、約二千年ぶりのお披露目会だったそうだ。


 そう考えれば、こう言った演出も…大事…だったのか?ちょっと僕には理解出来ないけど。


 ちなみにその天使達の中に家族の四人や既に僕のことを認知しているメイドさんたちはいなかった。


 まぁ、当然だよね。皆んなそれぞれの持ち場があるのだから。


 つまりはこの場にいる天使たちは僕が転生してからまだ面識の無い…恐らく、さっきの話しに出た帰還組の人たちなのだろうな。


 大半が好意の目でこちらを見ていて、凄く居心地が悪かったなー。


 僕はあーいう視線を向けられるのは苦手だ。『あーもう、逃げ出したい!!早く終わってくれ!!』って思ってたぐらいには…ね。


 そんな感じで眼下の光景を前に思考をフル回転させているとサリエルさんが説明を始めた。


 内容を大まかにまとめるとこんな感じだったかな。



① 名前がヘレンであり、セザールとイヴァンの子であること。


② 僕が特殊個体であること。


③ そこに目を付けた女神様が直々に僕を[監視者]として下界で活動することを命じたこと。


 事前に聞いていた内容そのままだった。


 ちょっと気になるところと言えば、″地上″を敢えて″下界″と表現しているところかな。これは恐らく、誇り高く人類種族を見下しがちの天使達に配慮したのか、それともサリエルさんの上位者としての矜持か、あるいは両方だろう。


 それにしても威厳と覇気を纏わせた口調には驚かされた。まだ会って二日ぐらいだけど、サリエルさんのゆるい口調からは想像出来ない変貌ぶりだった。


 その後は特に何かが起きることも無く、普通に説明が終了した。僕は最後に言われた通りに軽く会釈し、控えていたルドさんの指示に従い、その場から立ち退いた。


 とまぁ、これがお披露目会の内容だ。


 具体例を出すなら、学校の転入生の紹介みたいだった。本当にただ立ってるだけ、それだけで終わった。


 まぁ、緊張と恥ずかしさが最高潮に達して、手脚の震えが止まらなかったけどね。それに気付いたのか、何人か薄笑いを浮かべる人もいた。


 あーもう転生後初の黒歴史だよ…。


 そんなことを考えていると偶然にもサリエルさんとばったり出会した。


 そう言えばサリエルさんに聞いておきたいことがあったことを思い出した。折角なので、この際に聞こうとサリエルさんに《念話》を繋いでくれるように目でアピールする。


「(どうしたの?)」

『(すみません。ちょっと聞きたいことがあって、この後時間は大丈夫ですか?)』



 ◆◆◆


・人前に立つことに慣れておらず、思考が停止していたため、その回想が脳内レポートとなっています。

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