第8話 転生の理由

 うわ!?ど…どこから?


 僕は前後左右を確認するが、このサリエルを名乗る美少女以外は誰も居ない。


「(フフッ、驚いてるね。でも安心して、別に私はあなたをどうこうする気は無いから。それと今はあなたと《念話》を繋いでるから念じる感じで話掛けてね。)」


 《言語識字》のおかげで言語が日本語に聞こえるのは助かっていたが、まだ舌足らずで上手く発音出来ないので、これはすごくありがたい。


『(えっと…わかりました。僕はヘレンと申します。ついさっき名前を付けて貰いました。)』

「(そっか、ヘレンちゃんね?いい名前だね!!)」

『(あ…ありがとうございます。)』

「(ふむ、それで早速なんだけど、何故私があなたを呼んだかわかるかしら?)」


 わかるも何にも、そんなもの答えは一つしか無い。


「(僕が転生者…ってことですか?)」

「(大正解!!)」


 でしょうね。なにせ、ついさっき「転生者さん?」なんて確認とも受け取れる発言をしてたし。


『(もしかしてサリエルさんは僕が転生した理由を知ってるんですか?)』

「(知ってるには知ってるけど、あんまり詳しくはないわね。まぁ、私が把握してる情報だけ教えておくね。)」


 そう言ってサリエルさんはことの経緯の説明を始める。


 要約すると、僕の転生は神が関わっているらしい。どうも冥界神ウィノアという最高位の神様が輪廻の管理の最中の何らか不手際により、記憶が削除出来てない状態のたましいがその輪廻から外れてしまい、この世界の輪廻に入り込んでしまったと。


 この時点で色々訳わからんけど…わかったことは一つ!!


『(神様もミスはするんですね。)』

「(そっちかい!!まぁ、あのウィノア様がミスをされるなんて私には想像の及びもしなかったけどね。)」

『(そうなんだ。)』


 軽く小話を挟んだ後、再び説明に戻る。だがここからが凄かった。


 どうも僕の現在の種族である"天使族"だがなんと最短で四、五百年に一度、七つある系統のどこかに誕生するそうで、この世界で最も希少で数が少ない種族の一つだそうだ。僕のステータスの種族の欄に"サリエル派"とあったが、あれは系統を意味していたようだ。


『(つまり、僕はおよそ五百年に一度の奇跡で天使族に転生したってことですか。なんというか…これが仮に誰の手も加えられていない偶然の賜物なら凄い確率になりますね。)』


 僕のその反応にサリエルさんが付け足す。


「(いえ…それだけじゃないわ。前世の記憶を保持していたり、ウィノア様のミスをされる要素なんかも考慮したら…。)」


 いやいやいや。それ実現可能なのか?いや、可能だったからこそ今の僕がいるんだけどさ、最早天文学的確率なんてレベルじゃねーじゃん。


「(とりあえず、こう言った有り得ないような奇跡の連発によってヘレンちゃんは私の系統の天使として転生したということです。そしてここからが本題なのですが…。)」


 そこまで言ってサリエルさんは真剣な表情で僕を見つめる。僕も空気を察し、表情を改める。


「(率直に聞きます。あなたは地上に降りることを望みますか?)」



 ◆◆◆


【後書き】


・立場は違えど、いきなり《念話》で話しかけて相手の驚く反応を見て楽しむところはやっぱり似るのかもねー。



・遠くから話す時は《思念伝達》

・近くで話す時は《念話》



・第1話の後書きにも書いているのですが、最初の方は設定を固める話しとなっています。正直面白いか?と言われれば…って作者も思ってますw


 まぁ、ありきたりな設定ではないことを強調したような構成になってます。自覚がないだけで、この作品も王道なのかもしれないけど、作者はテンプレでないと思って書いてます。イェーイ!!!


 


 

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