第3話 Side 冥界神ウィノア

 僕の名前はウィノア。最上位神の一柱で、他の者からは"冥界神"とも呼ばれている。僕のことをよく知らない下界の者達からは"地獄の閻魔様"なんて呼ばれている。


 まぁ、確かに大昔の僕は"閻魔"と呼ばれるに相応しいく罪人たましいを裁いてましたけど、死人の数が増えてからは配下の悪魔達に殆ど任せっきりです。


 いやね、考えてごらん?僕一柱で一日に万単位の魂の裁判をするんだよ?そんなことしたら幾ら最高神でも過労で摩耗しますわ。


 なので効率化の為に配下の悪魔達に任せています。余程重大な罪を犯した罪人たましいなんかは僕が担当することになっているけど、そんなことはこれまでに一回しか無い。


 "アストアミの世界危機"…あれは本当に悲劇だし胸糞悪かった。オマケにその後の始末で僕や悪魔達は過労状態でしたよ。天使族に救援要請を送って無ければ一体何人過労死してたことやら…。


 おっと失礼、かなり話が逸れてしまいましたね。とりあえず、今僕は絶賛焦りに焦っておりまーす。どうしてこうなんたんだぁぁ!!!


 遡ること十分前。


 やっべ。不注意で記憶を消去して無い状態の魂が一つ異世界の輪廻の輪に入ってしまった。流石に輪に入ってしまってはもう取り返しがつかないし…。まぁ、異世界とはいえど僕の管轄内だったのが唯一のが救いか…。とりあえず他に異常が無いか確認してから魂の行方と詳細を確認するか。


 ……幸い何処にも異常は無かった。ということで例の魂について調べるとしよう!多分そろそろ胎児にでもなってる頃だろうし———。


 ……は?ちょっと待って?


 自分の見間違いかと思いもう一度確認にするがやはり見間違いでは無かった。


 はぁぁぁマジかよ!?何で天使に転生してんの!!!つーか天使って確か僕の部下の悪魔同様、数百年に一体しか子を創造しない種族だよね?どんな確率だよ!!!それに天使族だと胎児の過程をすっ飛ばして即爆誕じゃん!!!


 内心で色々ツッコミながらも急ぎつつ詳細に調べる。


 まずはどの系統に———あった!!えーとサリエ……!?はぁぁマジかよ!!【固有スキル】持ってる!!!


 魂の転生先を特定出来たのに僕の意識は【固有スキル】に向いてしまった。



○【固有スキル】その者の素質や運によって発現するスキルのこと。努力での会得は可能だが非常に困難。生まれ付きでの習得はごく稀。



【固有スキル】《座標移動》始点と終点を指定し移動させる又は入れ替えさせることができる。使用者が座標を把握出来ていれば直接触れてなくとも使用可能。次元を超えた移動も可能。しかし扱うには高度な演算を必要とするため使用者への負荷が大きい。



 強いな。扱いは相当難しいが最大限に上手く使いこなせれば邪神は無理でも伯爵級邪人とは良い勝負が出来るんじゃないか?でも正直僕が神でなくともこんなスキルは欲しくないな。行使後の代償がヤバそうだし…。


 おっと、まずい。時間が無いんだった。


 確か"サリエル派"だったな。そういえば今サリエルが担当する世界って確か———。うん、ちょうど良いな。それに転生者なら狭い天界よりも地上に降りて自由に旅することを望む可能性もあるし、そのついでにやって貰うのもアリだな…。


 それはあの世界で起きている厄介ごとを転生者を通じて解決して貰うというものだ。だが、それは転生者が彼の部下の眷属であればの話。


 天使のことはあるじのルナさんに相談するのが最善。ということで…。

 

 と、とりあえずルナさんの所に行くか...


 僕は急いでルナさんのいる宮殿へと向かった。 



 ◆◆◆


※「派」=「系統」の認識でお願いします。



・神様っぽい喋り方とか自分はしりません。大体のキャラは標準語で喋らせます。ここは大目に見て欲しいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る