第36話 アップルパイ!
「美味しいねこのアップルパイ、紅茶に合うわね」
みんなにアップルパイを切って味見させる。
「本当こんな調理方法があるんだ、今度教えてね」
周りに女の子の冒険者が集まり出した。
「良いですよ、ただ林檎がたまにしか手に入らないので手に入ったら教えます」
1人の女の子の冒険者が、おばちゃんに耳打ちする。
「なあアンタ、もし残りを売るならいくらで売るんだい?」
「え〜とこの半分残ったのをカブールさんがこの間は金貨5枚でお買い上げして貰ったので、皆さんの一切れでも金貨1枚と銀貨3枚位ですかね」
その瞬間3人の手が止まった。
「どおしました、美味しいので食べてください、紅茶も美味しいですね」
おばちゃんの背後の女の子の冒険者が、何かお金を集めている。
「あのー残りを金貨5枚で売って下さい、臭いが我慢出来ない」
「おばちゃんの背後の冒険者がお金を差し出して来る」
「なら一枚まだあるんで、こちらを同じ値段で売りますどうぞ」
女の子の冒険者達は嬉しそうにアップルパイを持っていく。
「なら残りはどおするんだい?」
「これから商業ギルドのサブマスさんの家に泊まるので、その代金代わりかな、なんちゃって」
「風香ちゃん2、3日泊まるお姉さんは構わないわよ!」
「まちな、私の家なら食事を出すよ、冒険者ギルドの食堂で鍛えた腕で料理を作るからこれは私の家で食べよう」
「何を言っているの、この子は冒険者! 私の家に行きましょうよ楽しいわよ」
みんながアップルパイの事で戦っていると入り口が騒つく。
「あれ〜領主さんが来た、何だろー?」
「本当だ、ホラサブマス行かないと仕事しなさいね」
「そうそう、2人で話し合うからさ」
「抜け駆けは駄目よ、待っててねそれと名前は風香ちゃんねよろしく」
サブマスは領主さん夫婦と話し合っている。何故かこちらを見ている気がする。
「風香ちゃん、ドラゴンバスターの表彰が有るからその話かもね」
「でも旦那様、今幽霊退治中だし、私じゃお話し聞くだけですね」
やはり領主夫婦はこちらに歩いて来る。
「ごめんね風香ちゃん、領主様がお話ししたいって」
「なら私は紅茶とお皿持って来るは」
「私は保護者でここにいるね」
「商業ギルドのお仕事はいいの、まだ混んでいるわよ」
「ふぅ、アレは今度の予約よ、ワイバーンがまた出たらよろしくて言う、お願いね」
「領主様こちらにどうぞ」
2人が私の反対側に座る。
「聞くがこの食べ物は、隣の国のアキの村で売った物と同じか?」
「もし、カブールさんから買った物でしたら同じです」
「そうなんだ、あやつが一切れワシに持ってきてのぅ、ワシが食べたので家内の機嫌が悪くてな」
「そんな事は有りませんよ、ただ姉の所で食べた物を私にじゃ無くて、貴方に渡した事に怒っているだけです」
言い方同じじゃ無いの?
「はいよ、皿と紅茶、風香ちゃん分けておくれ」
その瞬間両サブマスがため息をつく。そして天井を見る。
「オオそうだ、この食べ物の金額は如何程か?」
「半分残ったのをカブールさんに金貨5枚で売りました、仲間にはサービスで安くは売りましたけど」
「隣の領主は金貨10枚払ったと言った、なら正直に言ってくれた貴女にはやはり10枚払おう」
金貨10枚が、テーブルの上に置かれた。
「では貴方食べて同じ味か確認を」
「では一口……‥うまい、あの時と同じだ」
「はい貴方はこの間黙って食べたからおしまい、切った物は私が食べます残りは子供達に」
「おい待ってくれ」
「何か、私に文句があるの、黙ってこのアップルパイを食べた方!」
領主はスプーンを置いた。
「残りの半分は包んでくれますか、サブマス」
「はいいま、おばちゃんよろしく」
「あゝすぐ包む」
商業ギルドのサブマスは天井を見る。そしてアップルパイは消えて行った。
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