第15話 村で商売
昨日は2人で家の中を探して売れる物を見つけていた。
候補は石けんと男女様のTシャツとタオル、俺は下着も売りたかったが風香の抵抗で断念。
タオルは外に出したら収納の中の数は減つて無い、石鹸もナイフで切って10個のキャラメル位の大きさにして売る事にした。
Tシャツはリュックにした時に数が戻ったのでこれも大丈夫と思った。
後は値段をどうしようかな、洋服は中古ばかりで新品は売って無かったので銀貨一枚で売る事にした石鹸も同じだ、全部売れれば銀貨19枚が手に入る、異世界での初めての商売だ。
朝、朝食を食べてお弁当を持って徒歩で村へ、門番さんと話して広場で物を売る事を伝える、広場なら地代は掛からないそうだ。
俺と風香は常連の邪魔をしない様に、列の端の方にテーブルとパラソルを立てる、朝自転車の収納庫にあったので持ってきた。恐らく外にテーブルを出したので、女神様がきっとくれたんだと思う、女神様に感謝。
「それじゃ商品を出そうか」
Tシャツ2枚とタオル2枚を出して、石鹸はとりあえず5個出して置く。
「さてお客さんは来るかな」
「のんびりと待ちましょうよ、宣伝も出来ないんだし第一御客さんはまだ歩いてないわよ」
確かに物を売る人たちが、準備をしているだけだ。
「はい紅茶、それでも飲んで待っていましょう」
少しすると、肉を焼いたり、パンを売ったりそれを買いに来る人が少しずつ増えて来る。
俺達の商品はみんな見て行くが、高いのか誰も話しかけて来てくれない。
どうしようか、もし売れないと異世界生活が送れなくなる。
お昼になったがまだ一つも売れない。
「さあ旦那様、お昼にしましょう、おにぎりを作って来ました。
具はシャケとおかか、後梅干しも有りましたのでそれも有ります」
「風香は料理上手だなあ、嫁にして良かったよ!でもその内俺の料理も食べさせてやる」
2人でおにぎりを食べて午後に備える、自転車が無いので早めに門の外に行かなくては! 売れれば宿に泊まれるかも。
「すまんが、この商品は本当にこの値段で売ってくれるのか?」
反対側の商人が声を掛けてくれる。
「はい銀貨1枚です、高いですか?」
「イヤ安すぎるので聴いただけだ、ならこのシャツとタオルを全てくれ、在庫は無いのか?」
「タオルもシャツも後1枚有ります、3枚づつですがどうしますか?」
「なら銀貨6枚を出すので、全部頂く、それとこの小さい物は何なんだ?」
「え〜と石鹸です、手や体を洗う物です」
俺は水筒から水を出して泡立てる。
「こんな感じで、手や体につけると汚れが落ちます」
何故か商人は水筒を見ている。
「どうしましたお客様?」
「イヤこれも在庫が有れば全てくれるか」
一個は使ったので9個を売る事にした。
「その水入れは土で出来ているのか?」
「えぇ、土で出来ています、薄くて軽いので重宝してます」
「少し触らせてくれんか、その様な物は初めて見るのでな」
俺は商人に水筒を渡す、これは不味かったと一瞬思ったが。
「これを金貨1枚で売って貰えるか?」
「風香どうする?」
「私達ももう一つしか持って無いので、今回は諦めて下さい。もし伝手で手に入ったらお分け致します」
「そうか、ワシはこの川の先のウギル王国で商人をやっているカブールだ、もし王国の王都に来たらカブール商店を訪ねてくれ売る物が有れば吟味して買い取ろう、今回の商品は安すぎだ最低銀貨5枚で売らないと、中古の服が売れなくなる」
「そうなんですか、これからは値上げします」
「ワシには安く売ってくれよ、よろしくな」
商品を持ってカブールは自分の所に戻って行く。
「旦那様安すぎだって、やっぱり新品は高いのよね。危うく他の服屋さんから苦情が来て大変だったかも、これからは気おつけましょう」
「ああ、でも売れたから嬉しいよ、なんか腹減って来たなぁ」
「じゃあ、紅茶とアップルパイ食べます?」
「おお良いね、カブールさんにも一切れ持って行くかな」
「1ホールあるので2切れなら持って行っても良いですよ」
俺はカブールにアップルパイを持って行った。
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