ダンジョンを抜けて

サラマンダーとの戦いを終えた僕は元来た道を行きダンジョンの出口へと辿り着く。

・もうここで終了か

・ホタテが強いのは知ってたけどちょっと強すぎてビビった

・配信お疲れ様です!

「そうですね、ダンジョンを抜けるので僕はここら辺で配信を終了させていただきます。

それでは、ありがとうございました!」


強い達成感と疲労感をしみじみと感じながらもようやくダンジョンを抜けた。

薄暗く湿っぽかったダンジョンからは完全に解放され僕の視界を太陽が照らしている。


「っはぁー、終わったぁ。

だいぶ傷も負ったし治療受けないとなぁ。」


実際僕は長時間におけるサラマンダーとの戦いで切り傷と火傷が複数箇所出来ている。

それなのに痛みを感じにくいのは先程までサラマンダーと戦ってアドレナリンが大量に分泌されていたからだろう。

入口付近で少しボーッとしているとこちらを発見した、このダンジョンを封鎖していた男達が駆け寄ってくる。


そして一斉に

「「「「ご苦労様です!」」」」

と労いの言葉を掛けてきた。


ゴツい男達複数人に囲まれその圧で僕は

「あ、ありがとうございます……」

と返すことしか出来なかった。


そのあとはトントン拍子で進み、政府からの依頼完了の処理や僕を回復する為の医療機関、そしてサラマンダーから入手した魔石の解析。

全てが滞りなく進められていった。


♢


今僕は病院にいる。

そしてベットに寝転がっている。

「回復スキル持ちの人に治してもらったからもういいんですがねぇ……」

病院の先生いわく外傷が治っても他に異常な部分が見つかるかもしれないから安静にしていろ、との事らしい。


あの後僕はあの人達に連れられて回復スキル持ちが在中している病院へと運び込まれたのだ。

それで今この状況に至る。


やることも無くボーッと天井を眺めていると

コンコン 、と僕の居る部屋をノックする音と「ホタテくんおるー?」と言う女性の声が聞こえてきた。


「居ますよ、入ってきて大丈夫です。日永さん」

そういうと扉を開け、入ってきたのはやはり日永さんだった。

「いやー、おつかれさん。ごめんな?初回からあんな依頼ホタテくんに頼んでもて。」

「いえいえ、僕もかなり楽しませて貰ったので寧ろこちらが感謝する側です。」


そう、僕が須佐之男というクランに入った理由を初日から達成させてくれたのだ。

この感じならもっと難しい依頼だってドンドンと入ってくる筈だ、あぁ胸が踊る。


「う、うぅん………ホタテくん?なんかニヤニヤしてて怖いで?」

「あ、あぁ。ごめんなさい。つい……」

やっぱりこの癖は治らないらしい。自分よりも強い相手を想像するとテンションが上がってしまうのだ。

そうして日永さんとの会話をしつつ僕は本題を切り出す。


「それで、なんですが。今回のサラマンダー、強化倍率は幾らだったんでしょうか?」


これは正直戦闘後に1番気になったことだ。

通常のキラーは大抵強化倍率が最低10から多くても50なのだ。

しかしアイツは50などと言うレベルでは無かった。

これに対し日永さんは少し真剣な顔になり


「それがなぁ、ちょっと倍率が異常すぎて測れへんのよなぁ。60とかならまだギリギリ出るらしいけど、それでも出ぇへんから60倍を超えてるってのは今の所確定やわ。

だからまだちょっと時間掛かりそう。」


そう言うとまたいつも通りのおしゃべりムードへと戻る。

「あ、そうそう。あの後ガンナー君が確認してくれたキラーの強化倍率は30行かへんくらいやったからこれで完全に依頼は終了、おつかれさま〜」

「そうですか、後でガンナーさんにもお礼を言っておかなきゃですね。」

「そうやなぁ、ならホタテくんが退院したら退院祝いのついでに入隊祝いも済ませよっか。

そこでついでにガンナー君とも会えるし。」


そうして僕達は会話を終えた。

少し、疲れたな……



そうして気が付けば僕は眠りについていた。

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