vsサラマンダー(キラー)2

「おいおい、アレCランク推奨のダンジョンに出てきていいモンスターじゃねぇだろ。」

・俺が知ってるサラマンダーじゃない

・実際あいつの強化倍率どれくらいなんだろ

・穂高さんあれ勝てるのかな?


あんなの俺は戦いたくねぇな…穂高が自分からやりますって言ってくれて良かったぜ。

アイツは当たり前のように攻撃を逸らすか避けるかしてるが、まぁ俺だって出来るけどよ……当たったら明らか即死レベルだろ。


実際穂高は初撃でサラマンダーの片目を潰したがそれ以降は防戦一方だ。

穂高はスキルで遠距離もいけるがそれだって避けられりゃしまい、近距離なんざあの刀が業物であったとしても間違いなく弾かれるだろう。

だから勝機は、スキルによる防御無視の耐久戦、魔力で構成されているサラマンダーと現実の肉体を持つ穂高では明らかに消耗の差で穂高が不利。

そのくせ何考えてやがるか…スキルを込めた石をばら撒きやがった。

簡易地雷としては役に立つだろうが、撒いた石の出せる火力は石と同じサイズ分だけだ。

ブラフだったとしても、いずれはバレるのは明白。キラーの知能は通常のモンスターの比じゃない事は探索者のアイツが1番理解してるはずだ。

……俺はアイツのことをよく知らねぇが、A+の探索者な事は確かだ。

何より、気に食わねぇが日永の目利きだ、こんな所で死ぬような探索者に目をつけるような馬鹿じゃねぇ事は俺が一番わかってる。

なら負ける事はねぇ。

だがあのサラマンダーは、何とも言えねぇがやべぇんだ。

ただでさえ赤いサラマンダーの表皮が赤黒く染まってまるで血にでもまみれたような見た目になってやがる。

あのブレスだって100メートル以上離れてるこっちですらちょっと暖かくなってくるレベルだぜ?

「お前ら、マジでこういう事があるから情報の確定してないダンジョンに潜る事は辞めとけよ?」

・俺なら速攻漏らす

・アイツがドロップする魔石がどんなもんか気になるよな

・値段ヤバそう


しかしアイツ……本当に何を考えていやがる?確かに火力難は有るだろうが、この時点なら俺だってサラマンダーをある程度は削れる範囲内だ。

撒いた石に警戒してサラマンダーはブレスを吐いて、穂高はかろうじて避けるのみ。

このままじゃジリ貧のはずだ。何よりサラマンダーはブレスで同時に石を飛ばしながら穂高へと着実に近づいている。

俺は少し見ていられなくなった気がして、声をかけてしまった。

「穂高!やばそうなら直ぐに言えよ!」


だが、こちらを振り向いたアイツは

確かに


♢


あぁ、熱い

生きてるって感じがするなぁ。

間違いなく今までで最大の火力だろう。僕が戦ってきた中じゃ多分トップレベルだ、倍率もそう。ガンナーさんが声を掛けてきてからもう何十分と経っただろうか?

良い、イイね。最高だ。

撒いた石も全てブレスで吹き飛ばされた。

僕の刀も君程に強化された皮膚ならスキルを通した防御貫通でないと攻撃を与えることは不可能。

なんて素晴らしいんだ。

須佐之男に入ってこんな仕事が速攻で舞い込んでくるなんて、天職だろう。

「なぁ、君もそう思うだろ?」


片目以外は無傷のサラマンダーへと話しかけてみる。

相変わらずツレないらしくヤツはその返事をブレスとしてお返ししてくれた。

だが

「……芸が無いよ、確かに君はサラマンダーだが、キラー種なんだ。もっと少しは捻れるだろ?もっと、もっと僕にくれよ。」


楽しめた戦いももう同じ事を繰り返すだけだ。敵の火力を楽しみ刀を何度も弾かれるだけ。

少し飽きてきてしまった。


「あぁ、やっといい位置に来てくれたな?」


僕が撒いた石たちに込められた事象は何だったのか?確かにそれは「砕かれた」事象ではあった。つまり砕かれる前はただの大きい岩だ。

だが僕のスキル事象付与には少し特殊な性質がある。

それは1度与えた事象を無効化することも可能と言うこと性質。

これにより砕かれた石は砕かれていなかった事になる。その際付与した事象は消えるが確かにメリットも存在する。

ならば砕かれた石たちの真ん中に敵を配置すれば?

敵は再生する石に挟まれるだろう、だがそれだけでは終わらない。再生した石の中に敵はそもそも存在しなかった事になるのだ。

挟んだ物を強制的に削り取る……


「事象無効」

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